見出し画像

2000年11月19日 (J2最終節)浦和レッズ史に残る奇跡の試合を綴ってみた



まもなく始まるカタールワールドカップ。
世界中が熱狂の渦に飲み込まれるフットボールの祭典の前に…
日本のJリーグのスタジアムで起きた熱狂の記録をまとめておこうと思う。


・・・・・・・・・・・・・・・


浦和レッズを応援して30年。
シーズチケット歴も25年になるので見てきた試合も何百試合になったのかもうわからない。

30年間見てきた試合の中で、本当に印象に残っている試合を1試合だけ、本当に熱かったゴールをひとつだけ選べと言われたら…
かなり迷ってしまうけれど…

自分は22年前の今日11月19日の試合とそこで決まったゴールを選ぶだろう。


J2最終節の奇跡

2000年11月19日(土)J2最終節。

浦和レッズは駒場スタジアムでサガン鳥栖を迎え、J1昇格がかかる試合を行った。
他会場の結果もあり引き分けではダメで勝つしかないという状況。

満員の浦和駒場スタジアムで行われた試合は、本当に苦しいものだった。

前半からのいい流れがあり先制点を決めることができた。しかし後半途中で同点ゴールを奪われ、スタジアム全体が重たい雰囲気に変わっていく。

そして、自陣ペナルティエリア内での一発レッド。
退場者が出て、相手にPKが与えられる。
ここで、相手に決められたら試合が決まってしまい、J1昇格が遠のくという大ピンチになってしまう。

「なんとか防いでくれ!」
スタジアム全体が祈るようにキーパーの西部選手を応援する。


しかしキーパー西部選手が飛んだ方向は、キックの弾道とは逆だった。
ボールはゴールへ向かっていく…

「やられた」

一瞬そう思ったサポーターも多かったに違いない。

ところが…
シュートはゴールを少しだけ外してゴールポストにあたり、跳ね返ってきたそのこぼれ球を相手の選手がシュートをするもゴールの上を越えていったのだ。

浦和の歴史に残る絶体絶命のピンチを乗り越えることができた。

試合はそのまま延長戦に突入。
土橋選手が延長Vゴールで勝利を決めて、最後の最後でJ1昇格を決めることができた!

J1復帰を決めたゴールの瞬間、周りのサポーター達と抱き合い、皆泣きながら喜んだことを今でも覚えている。





久々にYouTubeに上がっている動画を見たけれど、サポーターの声援が熱く放送がよく聞こえないくらい。
最後のゴールについて解説の方が「浦和レッズサポーターの全ての気持ちが乗ったシュート」と言っていたが、まさにその通りだと思う。

そして、このPK失敗、この延長Vゴールがなければ…今のアジアを戦えるような浦和レッズはなかっただろう。


この試合について、浦和レッズのことを書いているnoterさん達もいろいろ思いを綴ってくれているので紹介させていただく。


清尾 淳さん

 そのネガティブシンキングをコールリーダーのひと言だった。
「おい、2万人!」
 おぅ!
「そりゃ、2万人の声じゃねえだろ!」

 いかりや長介のようなセリフで、駒場は笑いに包まれ、嫌な緊張感がなくなった。同時に「2万人」というのは自分たちにも呼びかけているんだと、メーン、バックの指定席サポーターの闘う気持ちが高まった。
 1シーズンの苦しい闘いの成果を今日出そう。それのためにみんなが全力を出そう。
 駒場に来るときに緊張のあまり吐き気を催したと後で明かしてくれたコールリーダーの第一声(第二声?)で駒場が一つにまとまった。


遠山勤さん

駒場全体が悲鳴混じりのざわめきに包まれる。後で知った事だが、このPK宣告とほぼ時を同じくして、昇格を争う大分が先制点を挙げていた。
どんな作家でも、演出家でも、映画監督でも描き切れないだろう意地悪で最悪のシナリオ。私は、PKの場所を目の前にする西側スタンドで、文字通り凍ってしまっていた。帰宅後、録画していたテレビ埼玉の中継を見ると、「えっ、赤。赤ですか。えーっ」という上野アナの悲鳴のような実況と、ユニの裾で顔の汗(涙か)を拭いながらピッチを下がる室井の姿を映している。室井は「俺のせいで来年もJ2か」と、この時思っていたという。

このPKのシーンは今でもスローモーションのように思い出すことが出来る。蹴られたPKは右へ飛んだ西部とは逆の方向に。「もうダメだ」と思うと、ボールはポストを叩き、跳ね返ったボールはキッカーの下へ。再び蹴られたシュートはゴール上方を通過した(これが反則という事に、この時全く気付かなかった)。浦和は最大のピンチを脱した。10人対11人という不利な状況は続くものの、選手もスタンドも力を取り戻していた。


kaz_goalさん

終盤のレッズは苦しみながら、なんとか2位に留まってはいたが、くらいついてくる大分の結果を祈るような気持ちで確かめる日々が続く。
そして迎えた最終戦。
先制はしたものの、まさかの失点。
レッドカードで一人少ない状況からの、目の覚めるようなVゴール。

この日の試合は、まるでこの一年を象徴するかのような展開だった。
ここまでドラマチックにしなくても…と、さっきまで事あるごとに祈りを捧げていたサッカーの神様に小言を言いたくなってしまったが、おかげで何年経っても忘れられない。



machikoさん


同点のまま延長戦へ。そのとき現れた岡野のダッシュで元気を取り戻せた気持ちになりました。他会場の結果は全く見てなかったのですが、Vゴールでも勝てばJ1に昇格できることは認識していました。

そして、延長戦前半5分、フリーキックのこぼれ球が土橋の下へ。蹴ったシュートはゆっくりゴールマウスに吸い込まれていきました。

その瞬間、信じられないものを見たような気がしましたが、すぐに我に返り、あらん限りの声で叫んだ私がいました。
前年の残留争いの苦しさ、このシーズンのJ2での戦いのもどかしさ、すべてのことを洗い流してくれるカタルシスでした。



ファンやサポーターの想いが重なり、大きなチカラとなる。それらが語られ受け継がれてクラブの歴史を作っていく。

22年前の今日。
浦和レッズ史に残る奇跡の試合だった。



このマガジンでは、スポーツのファンの熱量を高め、熱狂のスタジアムを作っていくことをテーマに書いています。



#日記      #エッセイ #コラム #Jリーグ #スポーツ #サッカー #サポーター #応援 #ファン #スポーツマーケティング #スタジアム #浦和レッズ #ファンベース #あの日のわたしたち #Jリーグと私





この記事が参加している募集

ファンベースデザイナー、地域創生プロデューサーなどしてます。 おむすびnoteを毎日書いてたり、浦和レッズを応援したり… みんなが、好きなこと、応援したいことを素直に言える世の中にしたいなあ。 皆さんと、いろいろなコラボをしたいです! ぜひぜひご連絡ください!