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11月19日(2000年) スタジアムに満ちていたもの 

11.19 バックスタンド西側。
ゴールを真横に見る位置にいた私は、土橋選手のシュートが間違いなくネットを揺らしたのを、しっかりと確認出来た。
選手の誰かが、スローモーションに見えたと試合後のインタビューで話していたが、
確かにボールの軌道をゆっくりと目で追っていた気がする。
そんなはずはないのだけれど。

終盤のレッズは苦しみながら、なんとか2位に留まってはいたが、くらいついてくる大分の結果を祈るような気持ちで確かめる日々が続く。
そして迎えた最終戦。
先制はしたものの、まさかの失点。
レッドカードで一人少ない状況からの、目の覚めるようなVゴール。
この日の試合は、まるでこの一年を象徴するかのような展開だった。
ここまでドラマチックにしなくても…と、さっきまで事あるごとに祈りを捧げていたサッカーの神様に小言を言いたくなってしまったが、おかげで何年経っても忘れられない。

さすがに不安がよぎった延長戦前。
「よし、やるしかないんだ」と前を向かせてくれたのは、ピッチを横切るようにダッシュする岡野選手の姿だった。
土橋選手はヒーローインタビューで、
「チームやサポーターの思いが乗ったシュート」だと言った。
乗っていただろう、あのVゴールにも、
外れたPKにも。

何かを成し遂げる時、ピッチに立つ選手だけが重要な訳じゃない。
ベンチに入らなかった選手の思いや、スタッフ、たとえその場に居られなかったとしても、関わる全ての人の思い。
何より選手たちを信じて、一緒に闘うサポーターの思いが、必要だと改めて思う。
そんなスタジアムでありたい、これからも。

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