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進め!海パンビキニ探検隊『ベトナム謎の暗闇洞窟で純白のおむすびを探せ』


(この物語は、すべてリアルに体験したことです)


1000日という長い旅がもうすぐ終わろうとしている。

世の中が大変な状況の中で旅を続けているって、ずいぶんなことしてるなって思われる方もいるかもしれない。

違う。違う。
ちょっと格好つけた言い方をしてしまってごめんなさい。正確に言うと、自分が続けている旅とは日本全国のおむすびを食べて毎日noteに記事を1000日間書き続けるチャレンジのこと。


北は北海道から、南は沖縄まで。
毎日コツコツ、一歩ずつ進んでいく。
おむすびという日本の食文化のイマを自分の五感で体験し、自分の言葉で世界へ伝えている。
真冬の釧路湿原の中をカヌーに乗ったり、屋久島の縄文杉の下でおむすびを食べたりと、少し冒険みたいなこともやっていたりもする。
秋田県で有機米作りをしながらおむすびに合うビールを企画し、大手ビール会社から商品化をしたりもした。


「おむすび界のマルコ・ポーロ」
そんな風に自分の中でこっそり呼んでいたりもする。

そんなおむすび界のマルコ・ポーロ最大の冒険記を今日は書いてみたいと思う。

まだ普通に海外に行くことのできた2019年の夏。
ベトナムの世界遺産ホンニャ・ケバンにある暗闇洞窟と呼ばれる謎の洞窟と、そこにあると言われるワイルドなおむすびを探しに。




1.一睡もできなかった国有鉄道


湿地帯の上を浮かぶように、ゆっくりと列車が走っていく。
さっきまで覆っていた赤紫色の空を塗り替えるように、黄金色のバンドが地平線を太くする。

結局、一睡もできなかった。

ベトナム中部にある中核都市ダナンから、ベトナム国有鉄道の寝台列車に乗車したのは、前日の22時のことだった。
1か月も前からベトナム国有鉄道のホームページを翻訳しながら苦労して取った切符だ。異国の地でゆったりと寝台列車の個室旅を楽しむ。そんなシミュレーションを自分の頭の中で何回も何回も繰り返してきた。

なのに・・

予約していた寝台列車の個室のカーテンを開けたときに、何度も思い描いていたあのシミュレーションと全く違う光景が目に飛び込んできた。
なんと、自分が予約していたベッドに見知らぬベトナム人のおばさんが勝手に寝ていたのだ。

それだけではない。
無情にも本来個室に用意されているはずのミネラルウォーターもそのおばさんに飲まれ、スナック菓子も封を空けられていた。
切符と個室のナンバーを確認したけれど、間違いなく自分が予約したベッドだ。

どうしよう。

車掌さんを探そうとしても、この長い列車編成の中どこにいるのかがまったくわからない。いたとしても、語学が苦手な自分には、この状況をちゃんと伝えられる自信がない。ましてや深夜だ。周りの個室はすべて閉まっており、見渡しても人の姿が見つからない。
こうなれば、このおばさんにどいてもらうしかない。意を決して、おばさんを揺り動かした。
「どいてください」「ここは自分の席なんです」
ほぼ日本語で話しかける。すると、おばさんがのそのそと動き出した。

このおばさんは絶対に確信犯だ。

悪びれる様子もなく、そのままの恰好で起き上がりそのまま個室を出ていく。おおかた、チケットを持っている人がくるまで、寝てやろうと思っていたのだろう。

異国の地の深夜列車。
荒らされたベッドにシーツ代わりの毛布を2重に引き直して、横になる。

それから6時間が経つ。結局、眠りにつくことはなかった。





2.解放されたドンホイの朝

南北に細長いベトナムを一本にむすぶベトナム鉄道。
政府出資100%の会社が運営していて、ほぼ国鉄にあたるそうだ。日本の鉄道にくらべると駅も列車も駅員さんたちも、のんびりしているというか、せかせかしていないように感じる。
列車はひとことでいうとレトロ。しかもお洒落レトロというよりかは、懐かしい感じがするレトロだ。


特に気になるのが、列車内に取り付けられているスピーカーだ。これがかなり古いみたいで、駅に着く前に流れる車掌さんのアナウンスがまったく聞き取れない。ガーガーピーピー、英語なのか現地の言葉なのかまったくわからないような状態だ。

たまに途中駅で止まることもあるけれど、その停車時間もバラバラだ。中には1時間ぐらい止まっている駅もある。荷物の積み込をしているのかもしれないし、時間調整をしているのかもしれない。気になっては窓の外を見るけれど、動いている人は見当たらない。不思議だ。

そもそも乗車したダナン駅で1時間ほど遅れていたので、自分が降りるドンホイ駅に何時に着くのかが全くわからない。時刻表によると朝の5時前に着くはず。でも、1時間遅れなのか、オンタイムで着くのか、まったくわからない。
途中からポケットWifiを取り出しスマホのgoogleマップを見て、今いる位置を確認することにした。電波はとぎれとぎれなので、完璧に正確な位置とはならないかもしれないけれど、だいたいの位置はわかるようになった。
自分が学生の頃に、沢木耕太郎の深夜特急に憧れてアジアを列車やバスで旅をしたことがある。その時は、地球の歩き方の本1冊しか持っていなかったのだから、時代はずいぶんと進歩したものである。


朝の6時過ぎ、列車は目的駅のドンホイに到着した。
結局、ダナンでの1時間遅れは巻き返すこともなく、そのままの遅れで進んでいったらしい。急いで荷物をまとめ下車することにする。

ドンホイの駅のホームは、かなり低い。かなり低いというか、ほぼ線路というか地面である。列車のタラップから、そのホームか地面かわからないところにエイヤと飛び降りた。

むわっ。

熱帯特有のねっとりとした湿気を含んだ空気が鼻孔を埋め尽くした。肺もびっくりしたのかもしれない。どう呼吸していいのか戸惑っているようだ。

スー ハァー

意識して深呼吸をしてみた。やっぱり外の空気は気持ちいい。こもったような油臭とガーガーピーピーとスピーカーの鳴り響く列車から、8時間ぶりに解放された朝だった。




3.世界一の洞窟銀座「ホンニャ・ケバン」

近年、世界中から注目を集めているベトナムの世界自然遺産ホンニャ・ケバン国立公園。

4億年以上前に形成された、アジア最古のカルスト地帯と言われている。
広さは日本の佐渡ヶ島くらいと言われていて、その中に大小300もの鍾乳洞が発見されている。毎年のように新しい洞窟が発見されているらしく、さながら世界一の洞窟銀座というところだろうか。洞窟の一部は観光ができるようになっており、世界中から多くの人が訪れるスポットになっている。

ホンニャ・ケバン国立公園の弱点はそのアクセスだろう。ベトナムの大都市であるホーチミンやハノイからだと国有鉄道で中部の小都市ドンホイまで行って、そこからバスに乗り換えラオス国境の方に向かって山道を登っていくのが一般的なコースになっている。

その入り口にあたる山には、ホンニャ・ケバンと書かれた大きなサインが掲げられていた。アメリカのハリウッドを真似したのかもしれないな。
青空と緑色のコントラストが自分を向かい入れてくれているように感じた。



4.世界でいちばん美しい洞窟への扉


のどかな田園地帯をバスに揺られること2時間あまり。徐々に景色がジャングルに変わっていく。世界で最も美しいとされる天国洞窟(パラダイスケイブ)がある山のふもとに着いたのだ。

洞窟のイメージって、ちょっと不気味で薄暗い感じ。その洞窟に天国という名前を付けているなんてどんなネーミングセンスなんだろう。もしかしたら、自然とは別方向でキラキラにライトアップとかされているのかもしれない。そんな想像が頭を駆け巡る。


早く洞窟の中を見てみたいところだけど。この天国洞窟の入り口はかなり遠くにあるらしい。バスでは登れる場所ではないらしく、駐車場でバスから降ろされ、そこから電動カートに乗り換えて山道を10分ほど登る。ここが洞窟の入口かと思ったら、そうではないらしい。洞窟の入口はもっと奥でジャングルの中を30分ほどトレッキングをしなくてはならないとのこと。

ベトナムの夏も東京の夏と同じように、湿気が多く暑さも強烈だ。ちょっと歩いただけでも、汗がどんどん噴きだしてきて持ってきたミネラルウォーターもあっという間に空になってしまった。暑い。もうヘロヘロだ。
早く洞窟につかないかなあ。とブツブツ言いながら山道を歩いていく。


ヒュー

なんだろう。熱帯の風の中にひんやりとした風が混ざった気がした。

ヒュー

もしかして!


木々の隙間から、石が敷き詰められた大きな踊り場のようなものが見えた。
ようやく天国洞窟の入り口に到着したのだ。
世界遺産の天国洞窟はそのまま入ることができないらしく、その成り立ちや洞窟内での注意事項をたっぷりレクチャーを受けた。どうやら中に入る人数には厳しい制限があるらしい。さらに30分ほど待たされてからようやく洞窟の入口に案内をされる。

予想外だったのが、その入り口の狭さだ。
その大きさを例えると新宿の雑居ビルの裏手の階段ぐらい。人がすれ違うのがやっとなくらいだ。何人かが入り口に重なると、あっという間に渋滞が起きてしまう。そう考えると、先ほどのレクチャーの時間は入口の混雑調整も兼ねていたのかもしれない。

入り口を入ると木製の階段を下へ下へ降りていく。どこまで降りていくのだろう。降りても降りても底が見えない。どうやらビルで言うと地下12階相当にあたるくらい下まで降りるらしい。もちろん帰りは、このビル12階分の階段を登らなくちゃいけない。そんなことを考えながら地下へと向かっていった。



5.天国洞窟はハリーポッターの世界

天国洞窟の中は、その名の通り本当にパラダイスだった。
まるでハリーポッターの世界に入り込んだような、幻想的な景色。

不思議なかたちをした鍾乳石が、あちらにもこちらにもゴロゴロしている。カーテンみたいな形をしているような鍾乳石もあれば、カボチャのシャンデリアみたいな形のものもある。そのどれもが数十メートルもある巨大なものだ。天国の名前になっているのはそのスケールだけでなく、色も関係あるかもしれない。石灰岩が濡れていて光があたっているところがキラキラ輝いている。よく見ると濡れて光っているのではなく、その鍾乳石自体も光っているようだ。鍾乳石の中に含まれる成分が光を反射することでパール色に発光していたのだ。

ただただ、ため息しか出てこない。
このひとつひとつの鍾乳石が、何十万年、何百万年という気の遠くなるような年月をかけて作られたもの。果てしない時間の積み重ねからくる、圧倒的な美しさ。地球上で、これに敵う美しさは存在しない!とその場で言われてしまったら多くの人が納得してしまうだろう。

この天国洞窟は、わかっているだけで全長が31km以上もあるらしい。(現在、観光で行けるのは1km先まで)
しかも一番高い天井部分で、なんと100mも高さがあるらしい。
途中には巨大なホールみたいな場所があった。後から調べたら東京ドームがまるまる入ってしまうくらいの大きさらしい。
とにかく美しく、圧倒的に広く、まさに地中に現れた天国と言える場所だろう。



6.滑空せよ。水泳せよ。

この旅の最終目的地、それは暗闇洞窟だ。

この暗闇洞窟について日本ではその存在をあまり知られていないらしく、事前情報はほとんどなし。わかっているのは、その名の通り光がまったく届かない暗黒の洞窟ということ。しかもその奥に地底湖が眠っているらしく、そこを目指して洞窟探検ができるらしいのだ。

暗闇洞窟は、先ほどの天国洞窟からバスで1時間ぐらい離れた山岳地帯にあるらしい。うっそうとした山道を登っていくと、前方にエメラルドグリーン色の湖が見えてきた。

バスは、この湖の崖の上にある建物で停車した。ガイドに聞いてみると、ここが暗闇洞窟の探検基地になっているとのこと。見た感じは清々しいレイクサイドで暗闇感がまったくない。ちょっと拍子抜けする。

受付で誓約書(怪我しても責任取らないよ的な)にサインをさせられ、現地スタッフから洞窟までの道のりの説明を受けると、緩んだ気持ちが一気に引き締まってきた。そうだ探検をしにきたんだ。
現地スタッフの説明によると、ここから暗闇洞窟まではかなり離れていて、そこに行くためには様々な試練を乗り越えないといけないらしい。

しかも、もうひとつ試練がある。それは洞窟探検の格好だ。
暗闇洞窟に行くための格好は水着しか許されていないらしい。しかも男性は海パン、女性はビキニのみだ。ラッシュガードやワンピース型の水着は許されていない。持ち物も一切持っていってはいけないとのこと。メガネの人はチェーンをつけて固定。それ以外は、服や靴はおろか、スマホやカメラ、ペットボトルなども持つことができない。その理由は後ほどわかるのだけど…この時は疑問しか感じなかった。

でもしょうがない。先に進むにはそのルールを守るしかない。
自分も海パン一丁、裸足という姿になった。
恥ずかしさを通り越して「もうなんにでもなれ!」的な気持ちにもなってくる。

ライフジャケットとヘルメット、そして湖を渡るためのハーネスが1セット支給された。これらを装着すると気持ちが高揚してくる。気分はすっかり川口浩探検隊である。猿人バーゴンでも双頭のヘビでもなんでもござれなのだ。

そして、出発の時間がやってきた。
待合室からひとりひとり順番を呼ばれ、崖の上の出発台へ進んでいく。湖のほうから悲鳴みたいな声が次々と聞こえてきた。いきなり大きな試練が待っているようだ。そして自分の番がやってきた。出発台の上に立ち、ロープにハーネスを取り付けられた。高い。かなり高い。下を見るとかなり下にエメラルドグリーンの水面が見える。体が小刻みに震えていた。

なぜ、崖の上に立たされたかというと、実は、ここから暗闇洞窟に着くまでに、次のような試練が待ち受けていたのだ。


①崖の上からジップライン
かなりの高さから、大きな湖を一気に渡る。高低差もあるし距離も長い。
高所恐怖症の自分にとっては、かなり度胸が必要だった!

②冷たい湖を泳がされる
ジップラインで対岸に着いたのもつかの間、湖に飛び込むようにガイドに言われる。なんとここから洞窟の入り口まで泳がないといけないらしいのだ。
もちろんライフジャケットがあるので沈むことはないけれど、エメラルドグリーン色の湖は深さがまったくわからない怖さがあるし、とにかく冷たい。必死に手足をバタバタさせるしかなかった。


なんとか泳ぎ切った後、ようやく暗闇の洞窟の入口に到着する。先についた人たちもグッタリしているようだ。でも疲れている場合じゃない。ここからが本当のスタートなのだ!



7.各国から集結、海パン&ビキニ探検隊

人数が揃ったところで、いよいよ暗闇洞窟に入っていく。まったくの暗闇なので道にはぐれないように、ここからは15人が隊を作って進んでいくとのことらしい。

この隊の中の日本人は自分たちだけ。他はアメリカ人、スペイン人、フランス人、オランダ人、ニュージランド人、イギリス人、スウェーデン人と、みんなバラバラ国から来ていた。若い人から年配の方までいる。なんとなく欧米系のノリのいい人たちが集まっているようだ。

ガイドが隊の前方と後方に位置し、その間に参加者が1~2mくらいの間隔を持って進んでいくことに。進むときは間隔を空けすぎてはいけないし詰め過ぎてもいけないらしい。装備はヘッドライトひとつ。ヘッドライトを当てた場所だけ何があるか、誰がいるのかがわかる。それ以外の場所は本当に漆黒の闇で、その場所が広いのか狭いのかもわからないような状態だった。

足元は全員裸足だ。洞窟はとにかくヌルヌルしていて滑りやすかった。
場所によっては、胸まであるような水の中だったりすべり台みたいに滑って降りていく場所なんかもあった。言われた通り、前の人と間隔を詰め過ぎず、開きすぎずを保ちながら慎重に進んでいく。

洞窟の中はとにかく声が反射しやすい。いろいろな国の言葉で、ウォーと言った驚嘆の声やキャーと言った悲鳴が響き渡っている。この隊はかなりにぎやかである。





8.暗黒の地底湖で泥パック


30分ほど洞窟を進んだだろうか。

これまで進んでいた通路のような洞窟とは違い、天井が高く左右にも開けた空間にたどり着いた。少し先の方に目を凝らしてみる。地面に反射したライトの光がユラユラ揺れているようにも見える。

どうやら、この旅の目的地に辿り着いたようだ。これこそが漆黒の闇に佇む幻の地底湖らしいのだ。
この暗闇洞窟の地底湖には面白い特徴がある。実はこの地底湖は泥の湖であって、その泥の密度がかなり濃いため、中に入ると体が自然と浮いてしまうらしいのだ。しかも、この地底湖の泥はお肌にとてもいいらしく、この泥を体や顔に塗るとスベスベ艶々になるらしい。

地底湖の滞在時間は20分ほどだったと思う。
各国から集まった海パンやビキニ姿の冒険者たちは、頭から足まで湖に浸かり湖の底に溜まった泥を掻き出して体に塗りたくったり、暗闇の中をプカプカ浮いたりしていた。
こうして、謎の暗闇洞窟探検は全身泥パックができる地底湖に浸かることで終わったのだった。


【暗闇洞窟の探検の様子は同行していたガイドが、GoProで撮影したものを共有してもらってます】



行く道があったのならば、当然、帰りもある。
体中に泥を塗りたくったせいか、行きよりも滑りやすい。行きよりも時間をかけて慎重に慎重に歩きながら、ようやく洞窟を出ることができた。
洞窟の篭った空気からの解放。生ぬるいジャングルの風が心地よく感じる。

ホッとできたのは一瞬だった。まだまだ試練は終わらないのだ。目の前にある湖を渡らないと元の場所に戻れないのだ。行きはジップラインで滑空できたけれど、高低差があって帰りにはないらしい。

帰りに用意されていたのは、カヤック。そうカヤックを漕いで広い湖を渡って帰るのだ。行きは5分で滑空してきた湖を30分ぐらいかけて渡り切った。もう全身ヘトヘトだ。ジップライン、スイム、洞窟探検、そしてカヤックを乗り越えてきたのだから。

それでも、泥だらけの海パン&ビキニ軍団は、みんなニコニコしている。
刺激的で神秘的な、ここだけしかできない特別な体験をしてきたのだから。





9.ご褒美はワイルドな洞窟料理

レイクサイドの建物に戻ってシャワーを浴びると、オープンエアなテラスへ案内をされた。これから名物の洞窟料理を食べるらしい。
バナナの葉が大皿代わりになって料理が運ばれてきた。バナナの葉のうえには炭火で焼かれた豚肉や鶏肉がこんもりと盛られていた。その他に野菜やビーフン、卵焼きなども盛られている。洞窟探検を思い出すようなワイルドな感じだ。

どうやって食べるのかわからなかったけれど、どうやらライスペーパーに具材を包んで食べるスタイルらしい。赤色、黄色、白色のおこわ風のお米もある。写真には写っていないけれど、この横に普通のご飯もあったりもするので、ちょっとしたお米祭りである。

スウェーデンから来た女性バックパッカーと同じテーブルになった。ちょっと緊張。片言の英語で、住んでいる国の話や暗闇洞窟の感想を話してみた。
どうやら、スリリングな洞窟探検でテンションも上がっているみたいだ。
こういった人との交流も旅の魅力かもしれない。


10.米のライスペーパー包みは純白おむすび

大きなバナナの葉に盛りつけられたお米は、もち米を混ぜて蒸したおこわタイプ。本来、東南アジアのお米は日本のお米に比べて粘りが少なく、おむすびに向かない。その点、おこわのモチモチな粘り気はおむすび向きだ。

ライスペーパーに、ご飯と炭火焼チキンと卵焼きを巻いてみる。日本の海苔というわけじゃないけど、その姿は白いおむすびにも見えないことはない。
旅のもうひとつの目的はベトナムでのおむすび探し。ダナンやホイアン、フエなどの街中では見つからなかったけれど、この洞窟料理の中でその姿を発見することができた。

ニョクマムのタレを少しつけて、かじってみる。野趣あふれる味が口の中に広がっていった。きっと爪の間に残っている泥が、いいスパイスになっていたことだろう。



エピローグ


あれから2年半が経った。

あの冒険の記憶は、今でも美しい色として残っている。寝台列車の中からみた黄金色の朝焼け。パール色に輝く天国洞窟。ジップラインの上から見たエメラルドグリーン色の湖。漆黒の闇に包まれた洞窟。

海パンとビキニの探検隊。
今の状況から考えると人と人との距離がかなり密だったなとか、あの泥の湖は衛生的に本当に大丈夫だったのかなど、いろいろ思うところが出てくる。

それでも、いま世界を脅かしているこの状況が終息し自由に海外旅行に行けるようになったら、このような冒険をまたやりたいし、いろいろな人とも触れ合いたいと思う。


本家のマルコ・ポーロは24年間世界を旅し、日本のことを黄金の国ジパングと書き記した。自称おむすび界のマルコ・ポーロは、1000日の旅のゴールに何を書き記すのだろう。その先の風景は何色に見えるのだろう。

その時がきたら、またnoteで報告しますね。お楽しみに(終)




※写真は、自分で撮影したものです。(暗闇洞窟はスマホ持ち込み禁止だったので、ガイドさんが撮ったものを使わせてもらっています)


※こちらの旅行記は、「1000日間で1000のおむすびを食す男」の特別編として、2019年8月~9月に書いた記事を元に、追記編集、再構成して書き上げたものになります。
ベトナムに向かう途中、香港空港で学生デモに遭遇したことも!

※毎日、おむすびの食リポをしていますので、よろしければ読んでみてくださいね。↓


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ファンベースデザイナー、地域創生プロデューサーなどしてます。 おむすびnoteを毎日書いてたり、浦和レッズを応援したり… みんなが、好きなこと、応援したいことを素直に言える世の中にしたいなあ。 皆さんと、いろいろなコラボをしたいです! ぜひぜひご連絡ください!