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エッセイ

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日々思うことをあれこれと
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2023年6月の記事一覧

それぞれの山を登る

SNSで自称読書好きの愛読書が○○みたいな揶揄を見たけれども、博覧強記に憧れはするが、さりとて読書量や読んでいる本のセンスで人を見下すマウンティングが横行するのは寒々しいなと感じてしまう。

これは音楽や収集癖でも同じであり、根本的に自分の好奇心や探究から始まったものが、比較や格付けによって当初の愛情から承認欲求や他人との差異をつけるための目的のための目的に化てしまう状況に繋がりやすいと思う。

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創作届けは不純な不受理

私が文章を書く際に、タイトルから書くことがほとんどで、書きたい内容から逆算して名前をつけることは、ほとんどない。

胸の中、あるいは右脳が左脳かどちらかに存在する書きたいことを無意識に分類して、なんとなしに名前を与えた地図を手元に足を進めていく。

地図といっても、そこにあるのはゴールの場所といまいる場所の名前くらいで、未開の地でこそないものの、あとは現地に赴いて、通りにくい場所は己で切り開かなけ

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青春は前世で終わった

人間、誰でもモテ期があると申しますが、私の場合はちっともそれがなく、漫画で描かれるようなキャッキャウフフを経験せぬままに今生を終えそうな気配もないではない昨今。

あるいは、記憶に残らぬ時代に、産科の看護師さんたちに愛でられ、そこで人生のモテ期ポイントを消化し尽くした可能性もございます。もしくは、今後迎えることができれば老年期に、スタイリッシュな入れ歯を得た私が近所のご婦人型にゲートボールに誘われ

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伝え方はアメーバー

電子メールが登場し、それがSMSやLINEといった類に発展し始めた時から、なんとなく違和感があったのだが、最近になりより感じることがある。

それは生身、フィジカルな肉声での通話よりも、チャット的な文字のやりとりが幅を利かせるようになったということだ。

これはSNSの発展も関係しているような気がしていて、若者の活字離れだなんて古い言葉を使ったとしても、紙の本は読まずとも、日々のやりとりで膨大な数

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論破を受け止めるバンパー

ディベート番組をエンターテイメント化できている人たちは優秀であると思う。その昔、NHKで真剣10代しゃべり場という、名前の通り10代の男女を集めた討論番組があったが、あれもあれで理想論と世間知らずゆえの暴論と異端気取りが溢れていて実に良かった。

ディベートは、自分が本当に思っていないことでも論を組み立てて主張しなければならんので、自分には全く向いていないのだけれど、論を組み立てていく過程を見るの

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蜜の味と罪の匙

人の不幸は蜜の味なんてことを昔の人は言ったそうですが、結局それはみなさま他人事だからなわけで、そいつを醜いなんて思っちまうわけですが、映画や小説を好むひとは映画【トゥルーマン・ショー】のように、のぞきみちゃんなわけです。本質的には。

そもそも、人は生まれながらに罪を背負っているなんてもうしますし、ご存知のように100人いればその数だけ思考パターンも行動様式も違うわけです。罪の味も似通ってしまう部

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ばらの花と長い旅のはなし

雨降りが続くと、くるりのばらの花を聴きたくなる。あの曲は、ひとつの長い静かな別れの歌でありながら、また一つ旅立ちの歌であるように私は思う。

そういえば、故ダイアナ妃が亡くなられた後に、エルトン・ジョンが既発曲であったCandle In The Windに新たな歌詞を加えて捧げたという話を聞いた。さよなら英国の薔薇という歌詞。

もともとは、マリリン・モンローに捧げた曲が、ダイアナ妃へ捧げる曲にな

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雨に掛ける毛布を織るように

毎日うんざりするほど悲惨なニュースが流されている。主として誰が誰に傷つけられたとか、殺められたとかその類のニュース。意図的に集めて流しているのではないかとすら思ってしまう。

自分は親に対して質問したことはないが、これだけ人が殺められるニュースを流せば、子供が親に対して、なぜ人を傷つけてはいけないのか、殺めてはならんのかという問いは出てくるだろう。

自分が姪から問われたら、なんと答えるだろうか。

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真夜中スーパマーケット

夜の世界が好きだ。

警備員ですら仮眠する真夜中の、スーパーマーケットや植物園に想いを馳せる。生きながら化石になっているような夜中の世界の住人を、こっそりと、みてみたい。

動物園は夜行性の生き物が、仮初めの住まいに囚われているようで気がひけるし(昼の動物もそれは同じだが)夜の美術館はそれはそれで視線が怖いように思う。

だから、植物園の夜。だから、スーパーマーケット。無粋な監視カメラのようなもの

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わたあめをきりわける

悲しいことがあっても卒業写真のページは見ないタイプの人間だけれど、ある瞬間に湧き出す記憶の湖というものは私にも存在していて、音楽や匂いといった要因がその蓋を外す契機になりやすい。

恥の多い生涯ならまだしも、それを避けて隠遁するようなロングアンドワインディングロードになってしまっているが、それでも暗い夜の砂漠の焚き火に集まる旅人のように、私にも想いを交わした相手がいる。

その人と一緒に聴いた音楽

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かみさまきいてますか

安心しないでください。吐いてますよ。

ひとりだと思わせて、隣人を愛させながら、遠くの人は憎ませるような卑怯で残酷なかみさま。

神は死んだと、それもまた死んだ誰かが言う。勝手にしやがれと私は思う。迷える子羊をローストにして生贄に捧げても無表情で試すようなかみさまはいらない。

全て歌は祈りであった。それを録音し、拡散して札束を得た誰かは神でなく人であった。資本主義ではお金が神さま。紙さまが神様。

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サブスク時代のdigについてモグラは語る

ジャズやクラシック、あるいはヒップホップなどのアナログ蒐集者の語るうんちくうんちくんが苦手。それは知識量のマウント合戦やレア物を発掘したものが偉いという権威主義的なものを感じるから。

権威主義や様式美の全てが悪いわけでは無いし、蒐集者のみが成し得る偉大な編纂の結果と言うものもあるのだけれど、こと音楽に関して言うと、しのごのいうまえに今あんたの耳に届いている音楽は理屈の前にあんたの心にはどう響いて

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世界でいちばんうつくしい病気

昔、神田うのさんが出ていたCMで、世界中を敵に回しても君を愛していると男が、うのさんに愛を告げた瞬間に、その部屋の周囲をヘリやら戦車やらが取り囲むという類の作品があったような記憶があるのだが、ああいうセカイ系というか、君と僕の世界みたいな雰囲気は若い頃にはありがちなんだろうか。

例えばロミオとジュリエットは地域における家と家の呪いみたいな話だが、偽物のつもりが実は本当の毒薬だったみたいなコントじ

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重い気持ち 重い愛

タイトルは小沢健二さんの強い気持ち強い愛より。湿度がキツすぎて、メンタル迷子になってしまっている方がわりと多い気がしますが、私もまたその一人。

本能ぶっ壊れた動物とはいえ、人間も動物なので気候の変化には敏感になるわけです。天変地異の前に動物はいち早く反応するというしね。

さて、世間では広末涼子さんの不貞についてさんざ騒いでいるようです。ダウンタウンの浜ちゃんの時やら、ジャニーズのこれまでに比べ

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