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京都〜日光を9日間で走った話2024(その6)
階段は、登るより降りる方がきついのだという事実を知る人は、ランナーに相違ない。
マラソンの経験がある方なら思い当たることでしょう。決死の思いでフルマラソンを走破した翌日の朝、会社へ向かう電車で駅のホームへ下る時、そして駅から歩道に降りる時、階段の下りで大腿四頭筋の収縮運動がもたらすあの激痛を。そう、手すりに捕まりながら必死の思いで降りる際、バリアフリーのために駅に設置されたエレベータのありがたみ
京都〜日光を9日間で走った話2024(その5)
「う〜う〜う〜」
声にならない声とはこのことを言うのでしょう。食したものを全て戻してなんとか眠りにつくことはできたものの、昨日70キロ走行して消費したエネルギーは適切に補填されず体調も回復せず、私は得体の知れないうめき声とともに翌日の朝を迎えざるを得ませんでした。しかも今日も同様に70キロを走らねばなりません。その上全区間最大の難所である美濃十三峠も待ち構えています。
長距離のランニングでお腹
京都〜日光を9日間で走った話2024(その4)
「いや〜やっぱりホテルの朝食は美味い!」
毎年定宿にしている彦根市のホテルで一日目の夜を過ごした翌朝、私は宿で無料で提供される朝食とモーニングコーヒーを堪能しておりました。道中はどうしてもコンビニ食が多くなる中、せめてホテルでの朝食でビタミンや食物繊維、カルシウムやミネラルを補給したい、そう私が思ったとしても一体誰が非難できるというのでしょう。
「さて、そろそろ出かけるとするか」
朝7時前に
京都〜日光を9日間で走った話2024(その3)
は?自己紹介ですか!?
なんとか前日中にスタート近くのホテルまで移動し、翌朝身支度をして会場の京都御所に着いた私でしたが、競技説明を終えた大会会長殿はおもむろに皆に自己紹介を求めたのです。
なにしろ日光まで走り通す参加者は30名限定の募集。そのうち今日のスタートには25名が来ています。確かにこの人数なら全員挨拶をしたとしてもそれほど時間はかかりません。
しかし、マラソンの大会での挨拶といえば、通
京都〜日光を9日間で走った話2024(その2)
「まずい、、これは明日の京都のスタート時間に間に合わない可能性がある」
スタート前日の夜、品川駅の新幹線乗換口。この日からのぞみ号は全車指定席となり、指定券を購入せずして乗車することは不可能となっています。むろん私も心得ており、そのため1時間前には品川駅に到着し、指定券を購入後車中の人となるはずでした。
しかしかの指定券売り場は、まるで舞台の幕が上がった瞬間の劇場のように多くの人々で溢れていま
京都〜日光を9日間で走った話2024(その1)
忘れるということは、時として恵みである。しかし私の記憶の欠落は、そんな甘美な語句で包み込むにはあまりにも無秩序で、猛烈だ。
GWを丸ごと使い、京都から日光東照宮まで、およそ570キロを走破する大会「例幣使みちジャーニーラン」。昨年度無事2回目の完走を果たし、意気揚々とわが埼玉に帰郷した私ではありましたが、しかしふと我に返った私はそんな勝利の美酒に酔うこともなく、一人果てしない絶望感に苛まれてしま