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「翔んで埼玉2」の未解決問題を考察する(その2)

え?公開四週目で早くも興行収入15億円ですか?

確かにヒットするだろうとは思っておりましたが、それにしてもここまで売れるものですか。よほど日本国民は虐げられた民衆を題材とした物語がお好きなのか、もしくは単にMなだけなのやもしれませんが。ああ、女王様!今宵も我が醜い埼玉は、その大いなる愛のムチで昇天するのです。

それはさておき、本映画はその公開に際し、主役のGACKT氏は「この映画はパート2で終わり、その次は無い」と明言しておりました。
その言を聞き、私をはじめとしたさいたま県人はみな愕然として膝から崩れ落ちたと思われます。何しろ前作で打ち出された「日本全土さいたま化計画」は今回は何の進展もしていないどころか、あやうく大阪の粉もんミサイルで大阪化されてしまうところだったではないですか。
まさか豊臣400年の恨みがこんなところで炸裂するとは夢にも思いませんでしたが、すみません大阪の皆様、豊臣の恨みはぜひともさいたまではなく江戸に向けていただければと思います。ここらには百姓しかおらんでげすよ。

さて、前回では本映画の未解決問題として、三重県の謎と滋賀の謎を解説させていただきましたが、本日はその続編をお届けしようと思います。前回同様映画のネタバレを含みますので、未視聴の方はぜひとも今すぐ映画館に行かれることをお勧めします。年末年始はこの超感動大作の話題でご家族の団らんも大いに賑わうこと間違いありません。

謎3 大阪府知事は何の罪で逮捕されたのか?

劇中では、大阪の粉もんを満載にしたミサイルが、埼玉は行田から打ち上げられた迎撃ミサイルによって粉砕され、ほどなくして大阪府知事は京都市長と神戸市長とともにお縄となりしょっ引かれて行く様子が描かれております。「せめて、せめて大阪万博だけはやらしとくんなはれ〜!!」と言いながらどこかに連れて行かれる大阪府知事を見て、「おごれるもの久しからずまた春の夜の夢のごとし」という平家物語の一節を思い浮かべずにはいられませんでしたが、一方で私は、

彼らは一体何の罪で捕まったんだ?

という疑義により非常に釈然としなかったのも事実です。
前作では、悪の権化として描かれていた東京都知事が捕まった理由は群馬の山奥に裏金を隠していたという罪状が克明に描かれていたのですが、今回は全くその説明がなされておりません。通天閣をミサイルとして使ったことによる器物破損罪かとも思ったのですが、それなら迎撃のために行田タワーを打ち上げた埼玉解放戦線も同様でしょう。翌年から田んぼアートの見物ができなくなる行田市民の怒りは推して知るべしです。

それ以外にも、和歌山県民を白浜で、そして埼玉解放戦線を甲子園で強制労働にさせたことによる刑法224条の人身売買罪、もしくは235条の強制労働罪に当たる可能性も高いのですが、逮捕されたタイミングが行田タワーによる通天閣ミサイルの迎撃であるため、その時にその罪状を唐突に適用するのはいかにも不自然です。

それならばなぜ、あのミサイルの衝突を機に、彼らは逮捕されてしまったのか。
それは、あの衝突により、人類にとって貴重なエネルギーが大量に宇宙の藻屑と消えてしまったこと、そのことが要因であるに違いありません。
映画では、あのミサイルは成層圏を超え、おそらく地上50キロメートル以上の中間圏まで到達し、そこで爆発したように見て取れます。さすれば、搭載された大量の炭水化物の粉はすべて宇宙のデブリと化し、二度と地球に戻ってくることはありません。
現在、地球規模で大規模な気候変動が発生し、人類の必要とするエネルギー消費も大きな問題となっている中、かの世界でもあのような大規模な浪費が許されるはずはありません。SDGsの一つである「飢餓をゼロに」や「つくる責任、つかう責任」の達成に対しても非常に大きな後退となります。
よって大阪府知事は、廃棄物処理法、そして食品リサイクル法違反の罪に問われた可能性が最も高いと考えます。食い物の恨みは恐ろしい、彼も今回身をもって知ったのではないかと思います。ぜひとも塀の中で心から改心していただき、釈放された暁には存分に大阪万博を(開催されるんですかね)楽しんでいただければと思います。
なお同時に逮捕された京都市長と神戸市長についても言及すると、神戸市長は産地偽装罪と言われたのに対し京都市長の罪状は明示されておりませんでしたが、まぁ間違いなく不敬罪でしょう。だって、あそこで桓武天皇を持ってくるのはいくらなんでも反則ですよね。

謎4 主題歌「咲き誇れ埼玉」の歌の真意は?

そして、映画は大円団を迎え、エンドロールに移ります。そこでは、前作でも主題歌を歌い、今回は映画本編にも出演されたはなわ氏による「咲き誇れ埼玉」という非常に感動的な曲が流れ、多くのさいたまを愛する県民とともにそれが高らかに歌われます。
はなわ氏のYoutubeではフルコーラスのPVが公開されておりますので、まだご覧になっていない方はぜひとも視聴いただければと思います。埼玉の各自治体の代表者がおのおの名産品を携えて登場する場面も、最後の体育館での全員のダンスも非常に感動的で、おそらく県民なら誰しもが感動の涙に打ち震える仕上がりとなっていますが、その歌詞をよく聞くと、さいたま県民の屈折した感情がよく表現されています。

一番では、「一度もさいたまのことは、好きとか嫌いとか考えたことすら無かった」と、ある種達観した思いを歌い上げていますが、これが二番になると少し変わります。

「本当は素晴らしいところばかりだけどわざわざ教えない。だってそのままの埼玉が大好きだから」

ここで一番とは打って変わり、実はさいたま県民は埼玉が大好きなのだ、との思いが高らかに歌われます。
そしてさらに

「自転車漕いで、荒川を渡って来ませんか」

とまで言い放ちます。ああ!なんという屈折した感情なのでしょう。すぐ前で「そのままが良いからわざわざ教えない」と公言したにも関わらず「遊びに来て欲しい」と前言を撤回してしまうとは。

私は、この歌詞の1番からラストに至る変遷について大いに悩みました。この意味するところは一体何なのでしょうか。ここは先週に引き続き、世界的な名探偵であるシャーロック・ホームズ氏に登場していただきましょう。

「なんだ、簡単なことだよワトソン君。歌詞をよく聞いてみたまえ。あくまではなわ氏は、『自転車漕いで荒川を渡って来ませんか』と言っているのだ。電車や車で来いなどとは一言も言っていないんだよ」
「あ、、そうか、東京から自転車で荒川を渡って埼玉に行くルートは、首都高5号線と並行する荒川大橋、国道17号の荒川橋、埼玉県道64号の新荒川大橋の3本のみで、それらはいずれも川口市と戸田市にしか通じていない。さすがに自転車でこれらの長い橋を渡ると疲れてしまうはずだ。」
「ふふふ、気がついたようだね。だからあの歌詞は、さいたまに遊びに来るにしても、川口くらいにしておいて欲しい、ということを言いたかったんだね。それなら、少なくともさいたま市から北は、そのままの埼玉が保たれる、というわけなんだ」
「なるほど、でも東京都民は、その川口に来てもいったい何をすればいいんだい?」
「ふふふ。まぁそんなことよりワトソン君、君も一緒にこの素晴らしい歌を楽しもうじゃないか。ロンドンっ子の我々だって涙が出てくるよ。さて、そろそろ我々もベーカー街に戻るとするか」

確かに、荒川を自転車で渡るとあの長い橋と風にやられておそらく川口でめげて帰ってしまう可能性が高いと思います。ですので今度の年末年始に埼玉にでも遊びに行こうと考えられている方々は、ぜひとも東上線に乗って川越あたりまで来ていただければ、これぞ埼玉という風情を楽しむことができると思いますのでよろしくお願いいたします。

さて、ようやくこれで全ての謎が解決となりました。これで平穏無事に私も年を越せそうです。。え?なんですか?この映画大ヒットにつきパート3の制作も決まったのですか?しかも次は九州が舞台!?
一体全体、麻実麗氏は何の目的で海を渡った遠い地にまで足を運ぶのでしょうか。そして今度は、どこの県が迫害を受けるのでしょうか。そして全国さいたま化の結末は?

興味は尽きませんが、そのときはまた、このページにて皆様とお会いして謎を解決していくことにいたしましょう。

(この項おわり)



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