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虹色ドリーミング

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アイドルとは、夢とは、恋とは、虹とは、そしてアイドルのライブとは。 それらを文章化した意欲作(長編)
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#アイドル

虹色ドリーミング(第39回)

虹色ドリーミング(第39回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【ファイナルライブ】

 私たちの卒業のニュースは多くのネットニュースやメディアで取り上げられて、12000枚のチケットは即完した。
 11月4日はうろこ雲が浮かぶ秋晴れの良い天気だったけど、夕方から天気が崩れるという予報が出ていた。
 いよいよ泣いても……いやみんなで『泣かない』って決めたから、泣かずに笑って終えるライブが始まる。
 いつもの円陣。
「今日

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虹色ドリーミング(第37回)

虹色ドリーミング(第37回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

 お店は日曜の夜にしては混んでいた。久実ちゃんが予約してくれていたので、私たちは個室へ。
「えーと、今日は……八海山の純米大吟醸。あとこれと、これください」
 程なくお料理とお酒が運ばれてきた。
「お疲れ様ー、かんぱーい。それで?久実ちゃん何か相談事があるんでしょ?」
「そうなんですよ。実は彼氏と最近すれ違ってばかりで……」
 か↑れしじゃなくてか→れし。

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虹色ドリーミング(第31回)

虹色ドリーミング(第31回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【緑色 リナチー】

『マナ@リナチーズ
私リナちゃん推しで、将来はリナちゃんみたいなアイドルになりたいです。まだライブ行ったことないけど、いつか行ってリナちゃんとお話ししてみたいです』
 すごく嬉しいな。マナちゃんは東京住みの小学生の女の子。お酒を提供しているライブハウスにはなかなか来られないと思うけど、会いたいなあ。会って抱きしめてあげたい。男のファンだ

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虹色ドリーミング(第30回)

虹色ドリーミング(第30回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

 消灯時間になったので、私たちは病院を後にした。帰り途のコンビニでそれぞれが食べたいものを選んで買って帰った。
「コンビニのお弁当っていうのも何か味気ないな」
「たまにはいいじゃん」
「俺は食べられればなんでもいい」
「和兄はすぐ、なんでもいいって言うもんね」
 よし、切り出そう。
「……ねえ、パパあのね」
「ダメ」
「えっ?だって」
「ダメなものはダメ」

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虹色ドリーミング(第27回)

虹色ドリーミング(第27回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

 さて、今日はこの後恵比寿のカフェで、三女のえりの婚約者を紹介される予定。
「ねえ、えり本当にいいの?」
「大丈夫だって、絶対分かるから」
 ゆり、ゆか、えり、三人とも同じ服と同じ髪型。本当に大丈夫かなあ。怒って帰ったりするよね、絶対。だって、今までパパ以外に見分けがついた人は一人もいなかったのに。
「おまたせ」
 振り返ると……おおイケメン!歯が真っ白でス

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虹色ドリーミング(第23回)

虹色ドリーミング(第23回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

舞台の下からでも、お客さんがたくさんいるのが分かる。完売だから3000人はいるかな。ステージ背面に大きなスクリーンがあって、その映像は舞台下からでもモニタリングできるようになっている。今は私たちのMVが流れている。
≪夢のレールが続いていく≫
≪ファイナルアタックとどめの一撃≫
≪さあ走り出そう 君となら≫
≪火と火がぶつかりあって≫
≪Say Hello

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虹色ドリーミング(第22回)

虹色ドリーミング(第22回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【大畑真紀(旧姓 永橋)】
  今日は私たちの結婚式と披露パーティーに来てくれてどうもありがとう。
  地味婚ブームだから、2人で「入籍だけしようね」って話してたんだけど、ニジドリメンバーが「結婚式に出てみたい」って言うので、メンバーと身内、それと2人の友人を呼んで、式とパーティーをすることにしたの。
  彼の仕事はイベントの総合プロデュース。当面は共働き。

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虹色ドリーミング(第21回)

虹色ドリーミング(第21回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【トラウト@ゆりぽん酢】
俺、よく食べる子が好きなんだよね。でも食べ方が汚いのはダメ。きれいに、かつ美味しそうに食べる子。ギャル曽根とかもえあずとか。そしてユリポン。
訓練が仕事の俺より食べるんじゃないかな。でもやせてる。やせの大食い。どういう仕組みになってるんだろう。本人は胃下垂気味だって言ってたけど。
もえあずもアイドルと兼業してるから、ユリポンも大食い

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虹色ドリーミング(第20回)

虹色ドリーミング(第20回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【ココD@リナチーズ】
  最初に見た時、彼女は物販で手持ち無沙汰な感じで立っていました。次に見た時は、物販中に他のグループのオタクにフライヤーを配っていました。
  リナチーのチェキ列に並んだのは3回目からです。まだ方言が抜け切っていなくて
「上京して1人でがんばっているんだな、応援してあげたいな」と思いました。
  アニメ好きだっていうので、共通の話題を

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虹色ドリーミング(第19回)

虹色ドリーミング(第19回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【カレン】
  テレビ番組で、お客さんを入れてのスタジオライブをやることになった。
  収録後の楽屋でユキが言った。
「ねえ、放送日にみんなで集まって観ようよ」
「それいいね、タコパとかしてさ」
「わたし、餃子パーティーがいいなぁ」
「誰の家にする?」
  キョウカの家は8人家族、ユキはお父さんと2人暮らし、ユリポンは姉妹3人暮らし、アオイ様のとこは実家。一

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虹色ドリーミング(第18回)

虹色ドリーミング(第18回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

  写真集の撮影も無事終わって最終日の夜、みんなで打ち上げをした後、尚さんに誘われて二人でバーへ行った。
「はい、おつかれさま。乾杯」
「乾杯、尚さんありがとうございました」 「どういたしまして、カレンちゃんと仕事がしたいと思ってたからさ」
「えっ、なんか、ありがとうございます」
「さっきからありがとうしか言ってないよ」
「えっ……あ、すみません、こういうと

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虹色ドリーミング(第17回)

虹色ドリーミング(第17回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

第三章『毒薬とハイパーダイナマイトありがとう』

【アオイ】
マドモアゼル。サ・ヌ・フェ・リアン。全て大丈夫だった。
機内食は迷った挙句、全てチキンにした。
パリでは、英語とフランス語がペラペラの日本人が通訳についてくれた。
ライブも日本語でOKだった。
みんなニジドリの動画を観て、予習してくれていた。ただ、本場の「Tiger Fire Cyber…………」

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虹色ドリーミング(第16回)

虹色ドリーミング(第16回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【ラジオ@最杏チーム】
実を言うとこのイベントには攻略法がある。
去年のマレーシアのJAPAN EXPO出場権争奪イベントでのことだ。
カカシは『プレモニー』のオタクとして、イーグルは『ミストレス』のオタクとして参加したのだが、お互いに「あっちには負けたかもしれない」と思ったそうだ。他のオタクの数は50人程度の中で、二つは100人ずつでいい勝負だったらしい。

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虹色ドリーミング(第14回)

虹色ドリーミング(第14回)

#創作大賞2024 #お仕事小説部門

【安達杏花(オレンジ)】
「本日は私、安達杏花の生誕祭にお集まりいただきありがとうございます」
  事前に販売した300枚のピクチャーチケットも無事完売できて本日に至る。ちなみに、私と有希は4月から大学生やってる。私は今日で19歳。
  ソロはこの日のためにオレンジのドレスを新調した。
「それでは聴いてください。君の知らない物語」
  この曲にした理由は好き

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