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虹色ドリーミング(第17回)


#創作大賞2024
#お仕事小説部門

第三章『毒薬とハイパーダイナマイトありがとう』

【アオイ】
マドモアゼル。サ・ヌ・フェ・リアン。全て大丈夫だった。
機内食は迷った挙句、全てチキンにした。
パリでは、英語とフランス語がペラペラの日本人が通訳についてくれた。
ライブも日本語でOKだった。
みんなニジドリの動画を観て、予習してくれていた。ただ、本場の「Tiger Fire Cyber…………」がちょっと怖かったけど。
今回の旅はあたしにとって、とても楽しいものになった。
一日目、フランス料理のフルコースで本場のワイン(ブルゴーニュだって)を楽しんだ。
二日目、中華料理で初めてウサギを、かわいそうだけど食べて、紹興酒を楽しんだ。
三日目、日本料理で、日本のビール(ドイツビールを頼むと命知らずだと言われたので)を楽しんだ。
えっ?飲んでばっかりだって?自己紹介でも公言してるんだからいいじゃないか。ライブはもちろん盛り上がったんだし。
カレンは帰国したら、すぐに写真集の撮影でバリ島へ行くらしい。
パリの次はバリ。青海と青梅、新丸子と下丸子、パレスホテルとプラザホテルを間違えるミオタンなら間違えそうだ。
カレンがバリにいる間はライブがない。
個人の活動をしているメンバーは忙しいみたいだけど、あたしは特に予定がない。大舞台続きでがんばったからお酒でも飲んでゆっくり休もうと思う。
最終日にみんなでお土産を買いに行った。
「アオイ様はそれだけぇ?」
「うちは両親とあと一人分だけだから」
「有希もそれだけぇ?」
「うん、パパとお隣の広瀬さんの分」
「ユリポンはぁ?」
「妹二人と実家の分、ってキョウカどんだけ買うの?」
「だってうち、育ち盛りの弟と妹が5人と、6人を育てるパワフルな母親と、8人を養うパワフルな父親がいるんだもん」
キョウカの家はきっと賑やかで楽しいんだろうな。ちょっとうらやましいな。父さんと母さん元気かな、なんかずっと話してない気がするから、帰ったらパリの話でもしようかな。もう一つのお土産はもちろん綾香の分。お揃いのペンダント。
さあ日本に帰るぞー!

【中川華蓮(赤色)】
初の写真集『カレニズム』の撮影で来たバリは9月でも酷暑。でも日本みたいな湿気がないので過ごしやすい。
若手で新進気鋭のカメラマン板垣尚さんが撮ってくださるので、とても楽しみ。かわいく撮ってもらえるといいな、と思っていたけれど……
「もう少し彼女感を出して」
「はい」
「うーん、もっと彼氏に甘えるような感じで」
「すみません。私、彼氏がいたことがないんです」
「そうなの?じゃあ誰か好きな人とか想像して」
「はい」
好きな人……誰だろう?社長?カレニストの誰か?うーん。あっ、板垣さん結構タイプだから、板垣さんとデートしてる感じでやってみよう。
「おっ、良くなった。いいよ。うん、かわいい、もう一枚」
こうして毎日板垣さんと脳内デートをしている内に、私は板垣さんのことをどんどん好きになっていった。

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