とべ (岡部淳太郎)

ヲタク兼詩人。 とべとしてアイドル界隈に出没し、岡部淳太郎として詩集を出している。 と…

とべ (岡部淳太郎)

ヲタク兼詩人。 とべとしてアイドル界隈に出没し、岡部淳太郎として詩集を出している。 とりあえずここでは詩でもアイドルでもウルトラマンでも、何でも書ける場にしていきます。

記事一覧

日記(しずか)

けっきょく、しずかになってゆくことが、このいのち のもくてきであることをしる。はとうのようにおしよ せるむねのいたみも、あれくるうふううのような、じ んせいのじけ…

日記(オカルト)

こうして日々 人から離れて一人で暮らしていると 自らの存在が希薄になって 空気のなかに溶けてしまいそうに思えてくる きっと僕は 世界から隠されてある 隠されたもの…

日記(日々)

頭上から日々がのんべんだらりと垂れてきて 道の上に寝そべるので そいつをよけながら歩いた ところが日々は うねうねと気持ち悪い動きで こちらの脚にまとわりつこうとす…

本能

生きたい。生き残りたい。この宇宙のいのちの星に 一つのいのちとして生まれたからには、生まれ持っ たこの本能を、せいいっぱい開放して謳歌したい。 だから俺は、自らを…

夭折をあきらめて夜が明けてゆく

 かつて、いまよりもずっと若い頃、僕は夭折に憧れていた。いま考えると何とも恥ずかしい話であるが、かつては若くして死ぬことに感情的に強く惹かれていたのだ。中学生の…

掌篇・風と葉の対話

――俺は吹いている。こうして強く、また弱く、絶えることなく吹きつづけている。俺が吹くのをまともに受けていながら、どうしておまえは落ちないのか。 ――私はただの一…

風の頁

ひらひらと、頼りなく風に吹かれて、煽られて、めく れる頁、めくれる言葉、歌になる言葉、歌が記された 紙片、ただの頼りない、薄いいちまいずつの紙が、そ こに言葉が記…

『ウルトラマンネクサス』における「闇」の構造

 2004年から2005年にかけて制作放映された『ウルトラマンネクサス』は、それまでのウルトラシリーズの約束事というか暗黙の了解のようなものをいったん崩して多くの新設定…

もうここは詩からウルトラマン、アイドル、音楽と、自分が興味あるものであればなんでも書ける場にしていきます。アイドルのライブレポート書いてふっきれました。

月刊PAM 船井美玖 BIRTHDAY LIVE「あの日の記憶」

 2024年4月27日(土)、下北沢MOSAiCで行われた月刊PAM、船井美玖BIRTHDAY LIVE「あの日の記憶」に行ってきた。御存じの方には蛇足になるが、月刊PAMとは船井美玖(ふない…

ウルトラマンに関する長めの評論、ここに出しちゃおうかな。

日々を数える

雲が木の枝の頂に突き刺されていて その傷口から青いものが覗いている ひとりで歩いていると 常に何ものかから斥けられているように感じる もう終りかもしれないと思って …

「帰ってきたウルトラマン」のアイデンティティについて

(註)以下の文章は2015年5月に書いたものです。ご了承ください。 「帰ってきたウルトラマン」のアイデンティティについて ――あるいはウルトラブレスレットの問題  …

多作であること

 何日も詩が書けないと不安になる。これは昔からそうだが、特にインターネットを通して詩を発表するようになってからはその傾向にますます拍車がかかったように思える。そ…

とりあえず書く。

 noteはじめてみたので、とりあえずなんか書くことにする。  とべ、または岡部淳太郎です。詩人として岡部淳太郎の名前で2005年頃から活動。これまで(2024年4月現在)に…

日記(しずか)

日記(しずか)

けっきょく、しずかになってゆくことが、このいのち
のもくてきであることをしる。はとうのようにおしよ
せるむねのいたみも、あれくるうふううのような、じ
んせいのじけんたちも、あとからふりかえれば、すべ
てしずかであることにしゅうれんしてゆく。そこにい
たると、すべてのかこもげんざいも、あるいは、みら
いへのふあんも、どうでもいいことになってくる。く
もがゆっくりとうごき、よるのほしがしりょぶかけに

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日記(オカルト)

日記(オカルト)

こうして日々
人から離れて一人で暮らしていると
自らの存在が希薄になって
空気のなかに溶けてしまいそうに思えてくる
きっと僕は 世界から隠されてある

隠されたもの
それをオカルトと呼ぶ
幽霊や妖怪や異星人や超古代文明
魔術や予言や超能力の類のことだ
それらは世の常識から隠されてある
だからオカルトなのだ

僕もきっと 存在が科学では証明されていない
僕は繰り返す実験では証されえない
だから

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日記(日々)

日記(日々)

頭上から日々がのんべんだらりと垂れてきて
道の上に寝そべるので
そいつをよけながら歩いた
ところが日々は うねうねと気持ち悪い動きで
こちらの脚にまとわりつこうとするので転びそうになる
俺は日々の動きをかわすのにせいいっぱいだ
これではとても 歩いて目的地になどたどりつけそうもない
周囲を見回すと 人々が同じように
それぞれに固有の日々をよけながら歩いていて
それはまるで 優雅に踊っているかのよう

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本能

本能

生きたい。生き残りたい。この宇宙のいのちの星に
一つのいのちとして生まれたからには、生まれ持っ
たこの本能を、せいいっぱい開放して謳歌したい。
だから俺は、自らをごまかさない。自分の欲求を恥
ずかしいとは思わない。俺は生きたい。生き残りた
い。死にたくなんてない。認められたい。褒められ
たい。賞讃されたい。抱きたい。やりたい。嘗め回
したい。入れたい。出したい。揉みたい。おまえを
めちゃくちゃにし

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夭折をあきらめて夜が明けてゆく

夭折をあきらめて夜が明けてゆく

 かつて、いまよりもずっと若い頃、僕は夭折に憧れていた。いま考えると何とも恥ずかしい話であるが、かつては若くして死ぬことに感情的に強く惹かれていたのだ。中学生の頃から詩のようなものを書き始めていた僕は、日々胸中に沸き起こる感情を題材にして猛烈な速度で書きながら、心のどこかでぼんやりと自分は遅くても三十歳ぐらいで死ぬんだろうなと思っていた。時代は八十年代に入ったばかりで、ちょうど「ノストラダムスの大

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掌篇・風と葉の対話

掌篇・風と葉の対話

――俺は吹いている。こうして強く、また弱く、絶えることなく吹きつづけている。俺が吹くのをまともに受けていながら、どうしておまえは落ちないのか。
――私はただの一枚の葉に過ぎない。時に弱く吹き、時に強く吹き、変幻自在に吹く方向を変えることが出来るあなたから見れば、私など取るに足らない存在であろう。けれど、私はしがみつく。私がつながっているこの枝に。
――なぜしがみつくのか。しがみついたところで、おま

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風の頁

風の頁

ひらひらと、頼りなく風に吹かれて、煽られて、めく
れる頁、めくれる言葉、歌になる言葉、歌が記された
紙片、ただの頼りない、薄いいちまいずつの紙が、そ
こに言葉が記されてあるというだけで、どこか尊いも
ののように錯誤される、たとえそれが、意味を纏った
言葉や、蛙の子のような音の元となるものであったと
しても、それはりかいされ、愛唱され、夢のなかで口
ずさまれることすらある、また風が吹いて、吹き飛ば

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『ウルトラマンネクサス』における「闇」の構造

『ウルトラマンネクサス』における「闇」の構造

 2004年から2005年にかけて制作放映された『ウルトラマンネクサス』は、それまでのウルトラシリーズの約束事というか暗黙の了解のようなものをいったん崩して多くの新設定を導入した異色作として知られる。そのためか、視聴率的には大苦戦を強いられたが、その物語が完結した現時点から振り返ってみると、単に奇を衒った斬新さを狙ったものではなく、それらの新設定は必然をもって練られ、周到に配置されていたのがわかる

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もうここは詩からウルトラマン、アイドル、音楽と、自分が興味あるものであればなんでも書ける場にしていきます。アイドルのライブレポート書いてふっきれました。

月刊PAM 船井美玖 BIRTHDAY LIVE「あの日の記憶」

月刊PAM 船井美玖 BIRTHDAY LIVE「あの日の記憶」

 2024年4月27日(土)、下北沢MOSAiCで行われた月刊PAM、船井美玖BIRTHDAY LIVE「あの日の記憶」に行ってきた。御存じの方には蛇足になるが、月刊PAMとは船井美玖(ふないみく)と宇都宮未来(うつのみやみらい)の二人によるアイドルユニットである。去年のプレデビューあたりから知って、8月あたりから数は少ないものの何となくライブに行き始めた。個人的には二人のうちの船井美玖ちゃんの方

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ウルトラマンに関する長めの評論、ここに出しちゃおうかな。

日々を数える

日々を数える

雲が木の枝の頂に突き刺されていて
その傷口から青いものが覗いている
ひとりで歩いていると
常に何ものかから斥けられているように感じる
もう終りかもしれないと思って
低いところにあつまる枯れたような眺めを見つめてきた
どんな力で
ここまでやって来たのか
どんな日々を
数えてきてしまったのか
この身だけでなく
すべてが赦されるまでに
どれだけの日々を数えねばならないのか
そのすべてを背負うような気持ち

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「帰ってきたウルトラマン」のアイデンティティについて

「帰ってきたウルトラマン」のアイデンティティについて

(註)以下の文章は2015年5月に書いたものです。ご了承ください。

「帰ってきたウルトラマン」のアイデンティティについて ――あるいはウルトラブレスレットの問題

 円谷プロダクションとTBS製作による特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』は、一九七一年四月から放映が開始された。表題に「帰ってきた」とあるように、製作側の意図としてはかつて大ブームを起こした先行作品『ウルトラマン』(一九六六年

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多作であること

多作であること

 何日も詩が書けないと不安になる。これは昔からそうだが、特にインターネットを通して詩を発表するようになってからはその傾向にますます拍車がかかったように思える。そのため、年間で100篇とか詩を書くようになっている。要するに多作なわけだが、おそらく多作であることは僕の詩を書く態度や動機と直結しているように思える。どういうことか。
 正直に言えば、僕が詩を書くのは自己救済のために他ならない。若い頃から現

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とりあえず書く。

とりあえず書く。

 noteはじめてみたので、とりあえずなんか書くことにする。
 とべ、または岡部淳太郎です。詩人として岡部淳太郎の名前で2005年頃から活動。これまで(2024年4月現在)に自費出版で3冊の詩集とAmazonオンデマンドで2冊の詩集を出してます。既刊詩集は以下の通り。

1『迷子 その他の道』(2006年・ミッドナイトプレス)
2『生の拾遺』(2012年・七月堂)
3『風葬の春』(2022年・

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