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日記(しずか)

けっきょく、しずかになってゆくことが、このいのち
のもくてきであることをしる。はとうのようにおしよ
せるむねのいたみも、あれくるうふううのような、じ
んせいのじけんたちも、あとからふりかえれば、すべ
てしずかであることにしゅうれんしてゆく。そこにい
たると、すべてのかこもげんざいも、あるいは、みら
いへのふあんも、どうでもいいことになってくる。く
もがゆっくりとうごき、よるのほしがしりょぶかけに
またたき、それらのしたで、すべてのきおくもちしき
も、ひとつのかたいいしのなかにぎょうこしてゆく。
そのいしをむねのまえにだいて、しずかに、ここにあ
ることだけをいしきする、そんなしずかへとかえるい
のちのひびがあっていい。わたしは、わたしであるこ
とをこえて、すべてをあいする。すべてのぜんあくも、
すべてのこうふこうも、このよのきせきもひさんも、
すべてをあいして、それらをまぜあわせて、ただしず
かになっていって、きえていって、それから、わたし
であることがきえて、このよとあのよのすべてに、う
すく、しずかに、そんざいをひろげてゆく。わたしこ
そがせかい、せかいそのものがわたしであるがゆえに。
 
 
 
(2024年6月)

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