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映画ラブ

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素人の映画感想文的な何かです。
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#映画感想文

Netflix映画『カレとカノジョの確率』

Netflix映画『カレとカノジョの確率』

 物語のガイドとして登場するナレーター役の女性が物語の始めの方でそう忠告するように、これはただの恋愛映画ではない。
 愛の物語の背後にある、運命としか呼びようがない何かの話なのだ。

 タッチの差で乗る予定だったロンドン便に乗り遅れたカノジョ。次の便に切り替えて、待ち時間に空港ロビー内のデスクでスマホの充電をしようと思ったら、充電器が壊れていると隣の女性に教えられる。諦めて席を立とうとしたら反対側

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映画『市子』

映画『市子』

 川辺市子(かわべいちこ)の話だ。
 けれども、彼女はこの世に存在しない。
 彼女は舞台や映画というフィクションの中の存在だから。
 でも、同じ様な境遇の人はあなたの隣にもいるかも知れない。あなたが知らないだけで。

 数年の交際と同棲を経たある日、長谷川は市子に婚姻届を見せてプロポーズする。レストランやディズニーランドでのサプライズではなく、自宅でのひもじい夕飯の時だ。結婚の申し出を聞いた市子は

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映画『BlackBerry』

映画『BlackBerry』

 どんなことにも光と影がある。
 
 技術オタクが作り出した素晴らしい製品も、それを理解して売ってくれる人がいなければ購買者には届かない。届いたとしても時代の後押しが無ければ皆に受け入れられるものではない。
 カナダ発の携帯情報端末の新しさは、キーボードを備え、貧弱な携帯電話回線でもメールのやり取りが出来る革新的な技術的発想の賜物だった。スマートフォン市場で一時は世界第二位となり、アメリカのスマホ

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Netflix映画『アトラス』

Netflix映画『アトラス』

 人形AIロボットの反乱を凌いだ人類。ただし、その首謀者たるAIロボ、ハーランは宇宙に逃げてしまった。
 その戦争から28年。彼らの逆襲が始まろうとしていた。

 主人公はジェニファー・ロペス演じるAIの分析官アトラス。彼女の母親はAIと人間をリンクさせる神経リンクというデバイスを作った優秀なAI技術者だった。そしてハーランを作ったのも母親だった。見た目は人間そっくりなAIロボだった。
 ある日、

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Netflix映画『終わらない週末』

Netflix映画『終わらない週末』

 ニューヨーク・マンハッタンに程近いブロンクスのアパートメント。青く塗られた壁を背にヘッドボードが置かれたベッド。夫婦の寝室は広い。
 夫が朝早くに物音で目を覚ますと、妻が衣類をスーツケースに詰めて旅支度をしている。その様子を見た夫はベッドの中から声を掛ける。
 妻は、眠れなかったから、と言う。
 そして、急に思い立って海辺の貸家を予約したから家族で旅に行こうと。いつ予約したのだと聞けば、今朝だと

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映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』

 安心して見られる娯楽映画の要素を兼ね備えているザ・ハリウッド映画だ。すっかりシリーズ定着したトランスフォーマーの第七作。もはや車が変身してロボットになるということ自体が売りではなく、宇宙を舞台にした壮大な物語になっているのも、ここ最近の定番。

 宇宙を舞台にした戦いがあり、カーチェイスがあり、仲間を助ける友情や家族の絆、子供の登場、約束を果たすことに、サクセスストーリーが存分に含まれている。そ

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映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

映画『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

 ジョン・ウィックシリーズの第4作。
 まぁとくにかくドンパチやるだけの映画なので、内容はあまり期待しない方が良い。大して何も残らない割に長尺だから、時間が勿体ないという人は見ない方が良い。前作まで見ていて興味があるという人やキアヌ・リーブスが好きだという人までをも止めるつもりはない。

 命を狙われるジョン・ウィックが世界を逃げ回り、それを狙う殺し屋達が追いかける構図に、少しだけドラマ要素を押し

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映画『ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

映画『ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』

 シリーズ7作目のミッション・インポッシブル。
 第一印象は、流石にトム・クルーズが老けたなということだった。それでもとてつもないアクションをこなすのだから人間の域を超えている。それだけ映画愛があるということなのか。どれだけお金を手に出来るからといって、出来ることではない。これじゃあ、命がいくつあっても足りない。

 それ(entity)と呼ばれる暴走したAIを止めるために必要な鍵を探し出すのが今

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映画『花腐し』

映画『花腐し』

 『春されば卯の花腐し我が越えし妹が垣間は荒れにけるかも』
 「春になると、あの子の家の生垣に卯の花が咲く。それを傷付けつつ、垣根を乗り越えて逢いに行ったものだ。しかし今や、その生垣もすっかり荒れ果てているなぁ。」という万葉集の歌。

 6年間同棲していた彼女が家を出ていって3日後、海岸で打ち上げられているのが見つかった。別の男との心中だった。なぜそんなことになったのか、主人公の男は茫然自失の日々

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映画『愚行録』

映画『愚行録』

 週刊誌の記者が1年前の殺人事件を追う。郊外の住宅地に建つ一軒家で、サラリーマンの夫とその妻と娘が惨殺された事件だ。しかしまだ犯人は捕まっていない。
 上司は今更そんな記事書いてどうすると取り合わないが、意外にも編集長がゴーサインを出す。

 記者の妹が育児放棄の子ども虐待容疑で逮捕されたところだった。編集長はそれを知って、彼の好きなようにさせようとしたのだ。
 この兄妹、父親から虐待を受けた過去

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映画『ゴジラ-1.0』

映画『ゴジラ-1.0』

 ゴジラマイナスワン。

 終戦直後の日本を未知の巨大生物が襲う。
 銃も砲撃も効かないその生物の名前はゴジラ。
 撃退作戦に動かない国や世界をよそに、国民の有志が立ち上がるのだが。。。
 
 事前情報によるミスリードかも知れないが、低予算におけるCGとVFXのPVだと感じてしまった。
 映画に何を求めるのかによると言えばそれまでだが、CGを除けば駄作だと思ってしまったのだ。俳優たちは頑張っていた

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映画『すばらしき世界』

映画『すばらしき世界』

 十代の頃から入ったり出たりを繰り返し、人生の大半を塀の中で暮らしてきた元ヤクザ者の三上が、娑婆で真っ当に生きようと足掻く姿を描く。
 幼い頃に母親と別れ施設で育った彼は、老いた今でも捨てられたと認めたく無い一心で、現れない母の行方を気にかけている。

 真っ直ぐ過ぎるがゆえに許せず、直ぐにカッとなって暴力に出るのは、組で教わった人としての道なのだろうか。それとも幼い頃に抱いた母親への想いからだろ

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映画『Winny』

映画『Winny』

 P2Pファイル共有ソフトウェアのWinnyを開発した47氏(金子勇)の逮捕・裁判を題材にした映画だ。
 Winnyが登場した当時、専ら違法にコンピュータソフトウェアや映画などのデータを入手する用途で普及していた印象がある。そうしたデータに対する著作権意識が全般的に低かったとも言える。
 そうした中、違法にデータをアップロードした人のみならず、そうしたプラットフォームを作成したソフトウェア開発者が

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映画『シェイプ・オブ・ウォーター』

映画『シェイプ・オブ・ウォーター』

 耳は聞こえているが喋ることが出来ない元孤児の女性が主人公。
 舞台はアメリカ、時代は60年代だろうか。
 映画館の2階にあるアパートに住み、政府系研究機関建物の清掃係をしている。

 ある日、彼女の勤務先研究所に危険な生物が持ち込まれる。それは人間のような形をして二足歩行をすることが出来、しかし全身を鱗で覆われた半魚人のような水生生物だった。時に人間を襲うその生物は機密の研究対象として解剖されよ

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