見出し画像

映画『ミニオンズ フィーバー』

 子供の頃は、ちょっと悪いことをしてみたくなるものだ。子供の頃の悪い者への憧れは、大人のそれと違って純粋で、深い意味は無い。どちらかと言うと悪戯心に近いものだ。
 人様に迷惑を掛けてはいけません、人の物を盗むのは悪い人のすることです。悪いことをすると警察に捕まります。道徳的であることと、子供の悪戯は全く別次元のもの。社会に出ていない以上、社会の善悪とは無縁の世界に生きているのが子供なのだ。どんなに社会的な道徳を諭してみても、実感を伴って理解することは難しい。

 今で言えば反社ということになるのだろうが、世界で1番のヴィラン(悪者)になること夢見ているミニボス(怪盗グルー)が、応募していた悪党チームのオーディションに行くことになった。大人気取りでやる気満々だったのに、12歳に満たない子供の出る幕ではないと追い返される。だが、目を盗んで悪党グループの持つ中国の秘宝を盗み出すことに成功する。それがバレたミニボスは悪党に囚われてしまう。

 そんなミニボスは、自宅の地下に大量のミニオンズを飼って(?)いる。普段は大した役に立たず身勝手な幼児のようなミニオンズだが、囚われたミニボスを救うためにサンフランシスコに向かう。そんなミニオンズの冒険活劇だ。

 大人社会の中で幼児が暴れ回る様は現実的ではない。それどころか、そもそもの舞台設定が非現実的な話なのだ。けれどミニオンズに置き換わればリアルなストーリーとして受け入れられるのだから面白い。どこか人間らしいその奇妙な生物は、無邪気でイタズラ好きで愛らしさを兼ね備えていて、少々面倒くさいけれど生活を豊かにしてくれるペットのような存在だ。動物のペットよりは人間寄りで会話もできるのだから、うちにも一匹欲しくなる。
 いや、そう思ってしまったら制作者の思うツボだ。そんな罠にははまらないぞ。

 笑うまいと思っていても笑わせに来る奴らに笑わせられてしまうのはいつも通りだ。どうせなら大声で笑ってしまえ。騒いでしまえ。奴らと一緒にフィーバーしてしまえ!

おわり


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?