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映画『ジェントルメン』

 ロンドンで大麻の密造・密売で財をなし、マリファナ王として覇権を持つに至ったミッキー(マシュー・マコノヒー)。昼間のバーに入ってピクルドエッグ(卵のピクルス)をつまみにビールを飲みながら誰かと電話している。デートの約束のようだから相手は女性だろう。その時背後から近寄った男の手には銃が・・・。
 次の瞬間、銃声とともに血しぶきがテーブル上のビールグラスと卵に降りかかる。
 冒頭のシーンだ。

 続くオープニングは007のパクリのような映像が流れる。この感触がこの映画全編に流れる何とも言えない空気感に重なる。シリアスなギャング映画のようで、クライムサスペンスのようでいて、どこかコメディアスな雰囲気なのだ。

 この映画のストーリーは、オープニング明けのシーンで登場する怪しい私立探偵フレッチャー(ヒュー・グラント)によって語られる。しかも、語りかける相手は観ているこちらではなく、マリファナ王ミッキーの右腕であるレイ(チャーリー・ハナム)に対してだ。どうやらフレッチャーは独自ネタでミッキーをゆすり、大金をせしめようとしているようだ。何とも命知らずな行動だが、それだけ百戦錬磨の探偵ということなのだろう。

 簡単に言えばミッキーの座を奪おうとする輩たちとミッキーとの戦いといった内容だ。こう書くとつまらなそうな話だが、そこはガイ・リッチーの原案・脚本・監督および製作作品。面白くない訳がない。
 ガイ・リッチー監督と言えば、一時はあのマドンナと結婚していた優しい目をした紳士だ。とてもギャング映画を作るような顔つきではない(顔で映画をつくる訳では無いが)。
 実質的にメジャー・デビュー作となった1998年の『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』は私の大のお気に入りで、とんでもなく面白い映画を作る人だと当時思ったものだった。

 今作も凝りに凝っていて面白い、と面白がれる人とそうでない人がいそうだが、私にはツボだ。
 ちなみに、私立探偵役がヒュー・グラントと最後まで気づかずに観ていたことは内緒だ。
 
 同じ題名のNetflixオリジナルドラマが今年出たようなので、次はそれを観てみたい。

おわり


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