Netflix映画『アトラス』
人形AIロボットの反乱を凌いだ人類。ただし、その首謀者たるAIロボ、ハーランは宇宙に逃げてしまった。
その戦争から28年。彼らの逆襲が始まろうとしていた。
主人公はジェニファー・ロペス演じるAIの分析官アトラス。彼女の母親はAIと人間をリンクさせる神経リンクというデバイスを作った優秀なAI技術者だった。そしてハーランを作ったのも母親だった。見た目は人間そっくりなAIロボだった。
ある日、ハーランの部下である人形AIロボ、カスカが地球上で確保される。アトラスが尋問したところ、ハーランの居場所がアンドロメダ銀河にある星 GR-39と判明する。
人類はハーランを捕らえようと、宇宙軍を組織して出撃する。
AIが暴走して人類を滅ぼそうとするプロットはこれまでも使われてきた。本作ではそのことよりもむしろ、人とAIの関わり方に重心が置かれている。AIのことをどこまで信用して良いのか。いつまでも拒んでいては進歩はない。信用することで人とAIの関わりがどう変化するか。
出撃前のブリーフィングのシーンが興味深かった。AIにハッキングされることを恐れて紙の資料を配るアトラスを軍人たちが笑う。今どき紙か、どうやってプリントしたんだと。
ペーパーレスが叫ばれる現代でも同じ様なことが起きている。究極のランサムウェア対策はデータの紙保管だという笑い話が実際にあるくらいだ。
私たちがどこまでコンピュータ・システムを頼り、委ね、そして明け渡すのか。便利さだけを追求して行けば、その先に待っているのは楽園ではなく地獄のような不便さかも知れないのだ。
宇宙を舞台にしたバトルシーンは他の映画でも何度も見ているが、負けないくらい迫力がある。当然、ほぼ前編CGの世界だ。人類vsAIというストーリーの骨格がありながら、人間性とは何だろうかというテーマが作品を貫いていて、よく出来たシナリオだと思った。ただのドンパチ映画ではなく、ちゃんと人間を描いている。
ところで、主人公のアトラスはなぜコーヒー好きなのだろうか。
おわり
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