【レビュー】『昨季からの進化で示すJ2優勝への本気度』~第1節ジュビロ磐田VSファジアーノ岡山~
試合結果
スタメン
マッチレポート
準備してきた攻撃が機能した岡山が白星発進
岡山が準備してきたことを存分に発揮し、J1昇格を争うライバルの磐田を撃破した。
ヤマハスタジアムに乗り込んだ岡山が可変システムで攻め込んだ。中盤がダイヤモンドの[4-4-2]でスタートすると、右サイドは田中が絞ってSBの河野が高い位置を取り、左サイドは佐野が張り出す。右サイドで細かくパスをつないで磐田のプレスを交わし、大きなスペースが広がる左サイドから佐野がドリブルを仕掛けていく。最前線に入る坂本が下がって縦パスを収め、左SBの鈴木喜が輪笠の隣にポジションを取ることでパス回しがスムーズになり、磐田を押し込んだ。主体的な攻撃を展開する中で、26分にCKから柳が競り勝ったボールを櫻川が押し込んで先制に成功した。31分には後方からパスをつなぐと、一瞬のスキを突いて中央から飛び出した田中の落としから櫻川のミドルシュートはポストに当たるも、坂本がPA左から強烈なシュートを突き刺した。
後半は選手交代を行った磐田が攻勢を強める。遠藤が左右に配球してリズムを作り出し、SBの松本と鈴木雄が高い位置を取る。サイドからのクロスが増えると、52分に山田大記のクロスにジャーメインが右足で合わせるも、シュートは柳のブロックに遭った。
磐田の攻撃に対してCBを中心に粘り強く耐える岡山は、53分にGKからスタートしたビルドアップで相手の勢いをいなしていき、櫻川のシュートは相手DFに阻まれるも、こぼれ球を佐野が押し込んでリードを3点に広げた。
それでも磐田が怒涛の追い上げを見せる。64分に松原を左SB、17歳の後藤を最前線に投入する。左サイドで数的優位を作り、松原が鋭いクロスをゴール前に供給してゴールに迫り続けると89分に松原のクロスを後藤がワンタッチで流し込んで1点を返す。その3分後には遠藤のピンポイントクロスを後藤が頭で合わせて2点目を決めた。
試合終盤は岡山が磐田の怒涛の反撃を受けたが、柳とバイスを中心にクロスを跳ね返し続け、全員で危険なスペースを埋めた。開幕スタメンを飾った山田大樹も枠に飛んできたシュートを冷静にキャッチし、守り切った。
プレシーズンに積み上げてきた可変システムとビルドアップが機能した岡山が、アウェイの地で磐田を押し込んで3点を奪取。終盤に喫した2失点は課題であるものの、今季に目指すチームの方向性に対して自信を深める勝利となった。
コラム
増加したターゲットで相手を惑わすセットプレー
岡山が昨季にセットプレーから5プレー以内に奪った得点は「30」。昨季に挙げた総得点「61」の半分だった。そんな自他ともに認める武器は、さらに期待を膨らませるものに進化しており、今季のチーム初得点を生み出した。
26分、5本目のCKだった。河野諒祐が蹴り込んだボールがファーサイドに飛んでいくと、後ろから走り込んだ柳育崇が相手2選手に競り勝って中央に折り返す。これに誰よりも早く反応した新加入の櫻川ソロモンが左足で流し込んだ。
引き続きキッカーを務める河野が精度の高いボールを供給する中で、今季はゴール前の迫力が一段と増している印象だ。
抜群の存在感を放つ188cmの柳と186cmのヨルディ・バイスに、190cmの櫻川と183cmの鈴木喜丈が加わっている。先制点が生まれたシーンは柳、バイス、鈴木が助走を付けてファーサイドから走り込み、櫻川がニアサイドで待ち構えていた。高さと強さを兼備した4選手が異なる立ち位置を取ることで、相手をかく乱することができた。
今季は的を絞らせないセットプレーで相手を恐怖に陥れる。