佐藤健作︱和太鼓奏者

TOKYO2020・東京オリンピック閉会式にてソロ演奏。98年サッカーWCup・仏大会…

佐藤健作︱和太鼓奏者

TOKYO2020・東京オリンピック閉会式にてソロ演奏。98年サッカーWCup・仏大会閉会式にて大太鼓を演奏。08年文化庁芸術祭にて和太鼓奏者初の新人賞受賞。16年イギリスBBC「グローバルビーツ」に出演。 和太鼓の新たな世界を切り開き、「和太鼓に選ばれた男」と称される。

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  • 演奏バリエーション31『今日の遊打(ゆうだ)』

    リズムと打ち方、太鼓の種類を毎回変えたショートショートの演奏バリエーション

  • 稽古雑感『本日の遊行メモ』

    日々の稽古で感じたことを書いています。

記事一覧

「魂がフルえる本」 その9《太古からの呼び声 — 『火山列島の思想』 益田勝実》

「火山列島の思想」は11の小篇をまとめた本ですが、題名となった一篇をご紹介します。 著者の益田さんは、昭和の時代にもっとも活躍した国文学者のひとりです。 内容を…

「魂がフルえる本」 その8《われは宇宙なり — 『COSMOS/宇宙』 カール・セーガン》

 子どもの頃から、宇宙が好きです。  夜空に輝いている星を眺めたり、星雲や星団の写真を見ると、ゾクゾクとその美しさに心を躍ります。 星の知識はほとんど無いし、星…

「魂がフルえる本」 その7《 流れの中にこそ — 『イティハーサ』 水樹和佳子》

水樹和佳子さんが、最初の掲載から13年をかけて完結させた大作SF漫画。 『イティハーサ』とは、サンスクリット語で「歴史」を意味するそうです。 舞台は、神世の時代の…

「魂がフルえる本」 その6《だから私は、さびしんぼう — 『夢の色、めまいの時』 大林宣彦》

大林宣彦監督の映画が好きです。 大林監督の代表作といえば、「さびしんぼう」。 映画界の巨匠・黒澤明は、スタッフ全員に「『さびしんぼう』を観るべし」と言ったそうで…

「魂がフルえる本」 その5 《すべては一つ — 『投影された宇宙』 マイケル・タルボット》

『投影された宇宙』は、1994年に発行された『ホログラフィック・ユニバース—時空を超える意識』を改題したもので、およそ30年前に出版されました。 私が手に取った…

「魂がフルえる本」 その4《生きている実感— 『自分の体で実験したい』レスリー・デンディ+メル・ボーリング》

いつも立ち寄る近所の古本屋さんでこの本を発見したとき、タイトルだけでズキュン! ときめいてしまいました。 目次をご紹介します。 ワクワクする見出しが並んでいます…

「魂がフルえる本」 その3《私と私たちの間で— 『いま私たちが考えるべきこと』 橋本治》

私は、「橋本治」さんの本が好きです。 橋本さんの本はいつも、思いもよらなかった「世界に対する見方」に気付かせてくれます。 どの本について語ろうか悩みましたが、「私…

「魂がフルえる本」 その2《爆発せよ!— 『ヤマタイカ』 星野之宣》

『ヤマタイカ』星野之宣 『月刊コミックトム』(潮出版社)1986年11月号初出 「ヤマタイカ」という作品は、ざっくり言うと、沖縄の巫女の血を引く「神子(みわこ)」が主…

「魂がフルえる本」 その1《「生」ぜんぶの中から生まれてくる思想 — 『文章の話』 里見弴(とん)》

『文章の話』(岩波文庫)里見弴(1888〜1983) 「文章の話」というタイトルから、「文章の書き方を説明する本」を想像してしまいますが、まったくそういう本ではありませ…

2022年 初打ち

四尺三寸大太鼓:銘「不二(ふじ)」 令和四年 初打ち 新年あけましておめでとうございます。 昨年11月からはじめた、毎日の配信「本日の稽古メモ」と「今日の遊打(ゆ…

今日の遊打(ゆうだ) #031

三尺平胴大太鼓:銘「瑞波(ずいは)」 『サキハヒ(さきわい)』抜粋 「サキハヒ」とは、力が頂点に達して、花ひらく様子をあらわす日本の古語。 一刻一刻、積み重ねら…

今日の遊打(ゆうだ) #030

四尺三寸大太鼓:銘「不二(ふじ)」 正面打ち 『ちはやぶる』抜粋 「ちはやぶる」とは、古い日本の言葉で神様に掛かる枕詞。 「ち」は、チカラのち 「はや」は、すば…

今日の遊打(ゆうだ) #029

一尺四寸長胴太鼓 横打ち 地打ち:Roland R-8 どんつどっこ ♩= 150 弾む陽気なリズムは、横打ちがベストマッチ! 少し小ぶりな太鼓で軽い響きを活かすと、イカした演奏…

今日の遊打(ゆうだ) #028

二尺桶太鼓:銘「大宝(たいほう)」 神楽打ち 地打ち:Roland R-8 どんどこ ♩= 100 神楽打ちは、見た目よりもしっかり打つのが難しい。 全身で打つには、肩から背中を…

今日の遊打(ゆうだ) #027

TIKIセット(大太鼓セット) 三尺一寸大太鼓:銘「蒼鷹(そうよう)」 三尺大平胴太鼓:銘「瑞波(ずいは)」 二尺二寸長胴太鼓:銘「玄亀(げんき)」 地打ち:Roland R-…

今日の遊打(ゆうだ) #026

一尺六寸長胴太鼓 伏せ打ち 『山蝉(やませみ)』抜粋 地打ち:Roland R-8 どんどこ ♩= 150 ちはやぶる和太鼓塾でおもに教えている『山蝉』。 本来は2パートで掛け合…

「魂がフルえる本」 その9《太古からの呼び声 — 『火山列島の思想』 益田勝実》

「魂がフルえる本」 その9《太古からの呼び声 — 『火山列島の思想』 益田勝実》

「火山列島の思想」は11の小篇をまとめた本ですが、題名となった一篇をご紹介します。 著者の益田さんは、昭和の時代にもっとも活躍した国文学者のひとりです。

内容をおもいっきり要約すると、

「日本らしさ」というのは、その風土によってもたらされた。
そして、そこには日本各地にある「火山」の存在がとても大きく関わっている。

ということになると思います。

火山というのは、いちど噴火すると、その影響

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「魂がフルえる本」 その8《われは宇宙なり — 『COSMOS/宇宙』 カール・セーガン》

「魂がフルえる本」 その8《われは宇宙なり — 『COSMOS/宇宙』 カール・セーガン》

 子どもの頃から、宇宙が好きです。
 夜空に輝いている星を眺めたり、星雲や星団の写真を見ると、ゾクゾクとその美しさに心を躍ります。 星の知識はほとんど無いし、星座も誰もが知っているものしか知りません。
 ただボンヤリと、宇宙の誕生やこの世界の成り立ちを想像して、その計り知れないスケールの大きさに思いをはせると、不思議と心身に力が充ちてくるのです。

 中学の時、私は剣道部だったのですが、その合宿で

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「魂がフルえる本」 その7《 流れの中にこそ — 『イティハーサ』 水樹和佳子》

「魂がフルえる本」 その7《 流れの中にこそ — 『イティハーサ』 水樹和佳子》

水樹和佳子さんが、最初の掲載から13年をかけて完結させた大作SF漫画。
『イティハーサ』とは、サンスクリット語で「歴史」を意味するそうです。

舞台は、神世の時代の日本。
「目に見えぬ神々」を信奉する村の少年、鷹野。
同じ村で真言告をあやつり、鷹野が兄のように慕う青比古。
赤子の時、川に捨てられていたのを鷹野に拾われ、兄弟のように育った少女、透祜。
この3人を中心に物語は進みます。

ある日突然、

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「魂がフルえる本」 その6《だから私は、さびしんぼう  — 『夢の色、めまいの時』 大林宣彦》

「魂がフルえる本」 その6《だから私は、さびしんぼう — 『夢の色、めまいの時』 大林宣彦》

大林宣彦監督の映画が好きです。

大林監督の代表作といえば、「さびしんぼう」。
映画界の巨匠・黒澤明は、スタッフ全員に「『さびしんぼう』を観るべし」と言ったそうです。

私は、高校生の頃、映画館ではなく、新聞のテレビ欄で「さびしんぼう」の放映を知り、自宅のテレビではじめて観ました。
感動して、その時録画したものを何度もなんども見返したのですが、その放映中にニュース速報が入ってしまったので、くり返し

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「魂がフルえる本」 その5 《すべては一つ  — 『投影された宇宙』 マイケル・タルボット》

「魂がフルえる本」 その5 《すべては一つ — 『投影された宇宙』 マイケル・タルボット》

『投影された宇宙』は、1994年に発行された『ホログラフィック・ユニバース—時空を超える意識』を改題したもので、およそ30年前に出版されました。 私が手に取ったのは、10年、ひょっとすると15年くらい前かもしれません。 この本を読んだときの衝撃は相当なもので、自宅用のほか、お出かけ用に、すぐにもう一冊を買ったのを覚えています。 本文だけで400ページ以上ある分厚く重い本ですが、当時はいつもカバンに

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「魂がフルえる本」 その4《生きている実感— 『自分の体で実験したい』レスリー・デンディ+メル・ボーリング》

「魂がフルえる本」 その4《生きている実感— 『自分の体で実験したい』レスリー・デンディ+メル・ボーリング》

いつも立ち寄る近所の古本屋さんでこの本を発見したとき、タイトルだけでズキュン! ときめいてしまいました。

目次をご紹介します。

ワクワクする見出しが並んでいます!
どの章も、自分の知りたいことを徹底的に調べるために、痛くても、辛くても、具合が悪くなっても、気を失っても!、自らの体を使って実験しつづけた、奇人たちの物語が描かれています。

第一章の「あぶり焼きになった英国紳士たち」は、人間はど

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「魂がフルえる本」 その3《私と私たちの間で— 『いま私たちが考えるべきこと』 橋本治》

「魂がフルえる本」 その3《私と私たちの間で— 『いま私たちが考えるべきこと』 橋本治》

私は、「橋本治」さんの本が好きです。
橋本さんの本はいつも、思いもよらなかった「世界に対する見方」に気付かせてくれます。 どの本について語ろうか悩みましたが、「私」という存在を深く考えさせてくれた、この一冊を紹介したいと思います。

この本の概要を「はじめに」から引用します。

橋本さん自身が書いているので、間違いのない内容紹介ですが、なかなかに分かりづらい・・ でも、そういう内容なのだから仕方が

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「魂がフルえる本」 その2《爆発せよ!— 『ヤマタイカ』 星野之宣》

「魂がフルえる本」 その2《爆発せよ!— 『ヤマタイカ』 星野之宣》

『ヤマタイカ』星野之宣
『月刊コミックトム』(潮出版社)1986年11月号初出

「ヤマタイカ」という作品は、ざっくり言うと、沖縄の巫女の血を引く「神子(みわこ)」が主人公で、彼女は邪馬台国の「卑弥呼」の魂を受け継いでいます。 神子は、父や弟と共に、古代に火山と共に生きた「火の民族」の熱い魂を蘇らせようとし、敵と戦いつつ、本来のマツリ(祭り)「ヤマタイカ」を復活させようと奮闘。 沈んだはず

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「魂がフルえる本」 その1《「生」ぜんぶの中から生まれてくる思想 — 『文章の話』 里見弴(とん)》

「魂がフルえる本」 その1《「生」ぜんぶの中から生まれてくる思想 — 『文章の話』 里見弴(とん)》

『文章の話』(岩波文庫)里見弴(1888〜1983)

「文章の話」というタイトルから、「文章の書き方を説明する本」を想像してしまいますが、まったくそういう本ではありません。 確かに、最後にはその話になるのですが、その大半が「人間の生き方」を正面から語っている本です。

「たいことをたいせよ」

— 私は、なんだろうと、「たいものをたいする」方が、正しい生き方だと信じています。 この習慣によって、

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2022年 初打ち

四尺三寸大太鼓:銘「不二(ふじ)」
令和四年 初打ち

新年あけましておめでとうございます。


昨年11月からはじめた、毎日の配信「本日の稽古メモ」と「今日の遊打(ゆうだ)」、無事に終えることができました。
ご覧下さったみなさま、本当にありがとうございました。

この令和4年も、また新たなテーマで記事をアップしていく予定です。

まずは初打ちの響きで、新しい一年を切り拓かせて頂きました。
ますま
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今日の遊打(ゆうだ) #031

三尺平胴大太鼓:銘「瑞波(ずいは)」
『サキハヒ(さきわい)』抜粋


「サキハヒ」とは、力が頂点に達して、花ひらく様子をあらわす日本の古語。

一刻一刻、積み重ねられるのは、ワタシ自身の力。
楽しい時も、イラつく時も、どちらもワタシが創造したもの。

次に飛び出すのは、楽か、喜か。
新しい年、輝きマシマシの、ワタシ達でありますように。

皆さま方の、さらなる健康としあわせを!

2021/12/
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今日の遊打(ゆうだ) #030

四尺三寸大太鼓:銘「不二(ふじ)」
正面打ち

『ちはやぶる』抜粋


「ちはやぶる」とは、古い日本の言葉で神様に掛かる枕詞。

「ち」は、チカラのち
「はや」は、すばやい様子
「ぶる」は、震える様

〜〜〜
私が〝力〟であることに気付かせてくれるもの。
〝なる〟のではなく、既にそこに〝ある〟ことを気付かせてくれるもの。
それが私にとって〝和太鼓〟なのです。
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今日の遊打(ゆうだ) #029

一尺四寸長胴太鼓
横打ち

地打ち:Roland R-8
どんつどっこ ♩= 150

弾む陽気なリズムは、横打ちがベストマッチ!
少し小ぶりな太鼓で軽い響きを活かすと、イカした演奏になる。

祇園太鼓というのがあるが、あのノリの良さがワタシは大好き。
でも、まだ生で打っているところを観たことが無い。
振り返ってみると、八丈太鼓も三宅太鼓も本場で観た覚えがない。

これはなんとも残念。
機会があれ
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今日の遊打(ゆうだ) #028

二尺桶太鼓:銘「大宝(たいほう)」
神楽打ち

地打ち:Roland R-8
どんどこ ♩= 100

神楽打ちは、見た目よりもしっかり打つのが難しい。
全身で打つには、肩から背中をよりよく動かし、羽ばたくように腕を使う。

胸を突き出すように開き、そして連続して懐を深くするように胸を引き、腕を閉じていく。 その往復運動に流れるエネルギーを、なめらかにばち先まで伝えて打つ。

太鼓はいつもいつも強
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今日の遊打(ゆうだ) #027

TIKIセット(大太鼓セット)
三尺一寸大太鼓:銘「蒼鷹(そうよう)」
三尺大平胴太鼓:銘「瑞波(ずいは)」
二尺二寸長胴太鼓:銘「玄亀(げんき)」

地打ち:Roland R-8
ドンツドココ ♩= 150

これはなかなかしんどかった!
このテンポ感にのって、大きな太鼓を打ち分けるのは、
腰の深い安定と、全体の動きは柔らかく固めないことが必須。

ガッツリ腰を固めてしまえば、大きく動くのが難し
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今日の遊打(ゆうだ) #026

一尺六寸長胴太鼓
伏せ打ち

『山蝉(やませみ)』抜粋

地打ち:Roland R-8
どんどこ ♩= 150

ちはやぶる和太鼓塾でおもに教えている『山蝉』。
本来は2パートで掛け合いで打ち合う。

伏せ打ちは最も基本になる打法。
振り上げたばちをそのまま下に落とすだけとシンプルな動き。

しかし、日常で腕を腕に高く上げるのは、洗濯を干す時くらい?
・・・なので、本人はやっているつもりでも、意外
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