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#小説
君待ちの星霜 第5話
ひとつ前
”らしさ”
36
しゃがみこんで地面を見つめたまま、佳帆が小さな声でつぶやく。
「…かわいいって言われるの、私が嫌がってたこと。
優太、ちゃんと覚えてたんだね」
「そりゃ、本当に嫌がってたもん。
かわいいって言ったら泣いて怒るからさ、俺も幸一も智やんも…実は言葉選びに気を使ってたんだよ。知ってた?」
「…知らなかった」
髪を伸ばしなさいと親に何度言われても、佳帆は何度でも髪
君待ちの星霜 第3話
ひとつ前はこちらから。
10年越しの
21
近くのコンビニに行って、缶コーヒーを買った。
いつもなら甘いカフェオレを飲むのだけど…
今日はあえて、めいいっぱい苦そうなやつにした。
「…苦」
砂糖もミルクも入っていないコーヒーを一息で飲み干し、ため息をつく。
このままほっといたら、きっとまた自然に連絡を取らなくなるだろう。
せっかく同窓会で再会してまた仲良くなれたのに。
…俺、なんであん
君待ちの星霜 第2話
前の話はこちらから。
結婚
11
夏の終わりに友情を再開したものの、なんだかんだもうみんな社会人。
子どもの頃みたいに毎日のように一緒に遊ぶことはない。
毎日仕事して、疲れて帰って、休日はぐったり。
ましてや俺は土日休みとは限らないから余計に、きっかけがないと会うこともなかった。
最後に会った日から1ヶ月以上開けた10月10日、智やんの誕生日。
肉が大好きな智やんは、中学生ぐらいの頃から
健ちゃんの自転車※夏ピリカ応募
「イヤダ!ぼく自転車なんて乗れなくていい!」
6歳になる息子の健太郎は、補助輪を外した自転車を力いっぱい突き飛ばした。
もうじき小学生になるし、いつまでも補助輪のついた自転車ではと思って外してみたのだが、少し早まったかもしれない。
しばらく後ろで支えながら自転車を練習をし、本人も少し出来る気になったかと判断したときに何も言わず手を離したのがいけなかった。
急にバランスを失った自転車は大きく
子の背中が見える風景
私は、母親7年目だ。
娘のハナはヒドイ癇癪持ちで
特に勝負事となれば
負ける事を受け入れられなかった。
たかがカルタ、
たかがかけっこ。
負ければ狂ったように泣いて
暴れて手が付けられなくなった。
だから私はいつも、
何か勝負をするとき
わざと負けたとわからないよう、
ほんの少しずつ手を抜いて
彼女と戦った。
「お母さんの負けだよ、
ハナは強いねぇ」
勝つと、ハナは得意げに笑った。
夢幻鉄道~星空の約束
◆はじめに
お久しぶりの夢幻鉄道シリーズです。
約3500文字でやや軽め。
夢幻鉄道シリーズは有料記事ですが
物語は全文読めます。
一番最後に投げ銭コーナーを
つけていますので
面白かったら次回への応援の気持ちを
少しだけいただけると励みになります。
◆1
僕には忘れられない人がいる。
6歳の頃、電車に揺られていった先の町で
出会った同じ年ぐらいの女の子。
あんな小さな頃なのに不思議な
夢幻鉄道~閉じた世界の内側で(後編)~
前編から読む方はこちらから
【22】
『ざ、ざざざ…
コレは本当二辛いネ!
ねえ”カナちゃん”
次はどの
”悲しイ記憶”を
聴きたイ・・・?』
ココロチャンネルは
無情なほどに明るい声で
次の放送を流そうとした。
「放送を止めろ!
どこでこんなものを流しているんだ!
ここはカナの心の中なのか?
カナ、どこかにいるのか!?」
僕は叫んだ。
どこからも返事なんてなかった。
ココ
夢幻鉄道~閉じた世界の内側で(前編)~
【1】
夏休み最終日の翌日。
その日から小学四年生の娘が
不登校になった。
どうしても布団から出てこない。
学校に行きたくないのだという。
「休み前まで普通に行けてただろ。
どうして急にそうなったの?」
ネクタイを締めながら僕は妻に言う。
妻は言う。
「急じゃないよ。
ずっとそうなりそうな気がしてた。
前から言ってるじゃない。
カナは発達障害があるかもしれないって。
”普通”のクラス
夢幻鉄道~シオン~ あとがき
私の拙い書いた物語を読んでいただいた方、
ありがとうございました。
このあとがきまで読んで下さる方が
どれぐらいいるかはわかりませんが
同じ記事の中に
物語以外の文章を入れたくなかったので
こちらに書いています。
今回の物語は
西野エンタメ研究所にて
西野さんが発したひとつのテーマ
「夢幻鉄道」にて
書かせていただいています。
※小説を書いたときはエン研入っていましたが、現在はサロンメンバー