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ツブサに寄稿した記事です。
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湯縁

湯縁

あの頃、僕の実家の側には銭湯があった。

玄関を出て右側を見上げると、当時は建物の向こうに細長い煙突が見えた。
家から歩いて15秒の場所に住む同級生のタケちゃんとよく一緒に行った記憶がある。

風呂から上がって待合室で飲むコーヒー牛乳はとても美味しかった。
タケちゃんとどちらが早く飲めるか競争していた日々が懐かしい。

あれから20年。
最盛期(1974年)には区内に111もあった銭湯は現在(20

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杉並の妖(あやかし)を作ってみた

杉並の妖(あやかし)を作ってみた

「赤っぽく黄ばんだ丸い火がスーッと上がり、(中略) スーッと消えるのを見て『また狐火が燃えているなあ』と話し合いながら、魚獲りを続けていました」

これは杉並区歴史探訪に載っている一文である。
時代は明治の末期。
場所は高円寺南の長仙寺だ。

高円寺駅を背にパル商店街を一本右に入ると赤い大手門が見える。
「アール座読書館」や「ネルケン」の近くと言えば、喫茶好きには伝わるだろう。

恐らく魚を捕って

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もし喫茶店店主が杉並区に2店舗目を作るなら

もし喫茶店店主が杉並区に2店舗目を作るなら

こんにちは。山城です。

東京都杉並区阿佐ヶ谷で『天文図舘』というお店を3年前からしております。2階建ての小さな喫茶店です。

生まれも育ちも杉並区荻窪。

しかしながらお店を作る前はヒッチハイクで日本を1周したり、鹿児島県の離島に移住したり、とにかく杉並区から逃げ回っておりました。

そんな僕が最近は杉並区の36町を全て歩いて回るという非生産的な活動を無事終了。

区内の神社と学校も併せて全部回

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中央線文化幻想解剖

中央線文化幻想解剖

お初にお目にかかります。
阿佐ヶ谷で「喫茶天文図舘」というお店をしている山城と申します。
街やお店という空間が好きで25歳の時に喫茶店を始めました。

生まれも育ちも杉並区は荻窪。
今も中央線沿いのどこかに隠れて住んでおります。

好きなものは喫茶店や本、西洋絵画、宮沢賢治、化石、鉄道、野球、武道、漫画、アニメ、80,90年代J-POP、町歩きなどなど。
サブカル大好きなヲタクだと思って頂いて差し

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情報にまみれた現代社会。囲碁が打てたら幸せに過ごせるかもしれない話。

情報にまみれた現代社会。囲碁が打てたら幸せに過ごせるかもしれない話。

恋愛やお金、周りの人間関係って逃げても逃げても絡まりついてきますよね。

ゲームで気を紛らわせててもSNSを開いて嫌気が差したり。
飲み会で愚痴を吐いて盛り上がっても家に帰れば1人で泣きたくなったり。
全てがめんどくさくなってスマホごと投げ捨てたくなったり。

そんな気持ちになった事はありませんか?
僕はあります。
寝る前に考え事を始めると明け方まで眠れなくなることなんてしょっちゅうでした。

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