テニス上達メモ112.「お喋りラリー」を逆手に取れば、「思考型テニス」から「感覚的テニスへ」スイッチできる
▶あなたはどっち? 2タイプのテニスプレーヤー
テニスプレーヤーは大別すると、おもに2タイプ。
ひとタイプは「考えるテニスプレーヤー」。
もうひとタイプは「考えないテニスプレーヤー」。
前者は思考によりテニスをするプレーヤー。
フォームや打ち方などについて考えます。
こちらを「思考型テニス」と呼ぶことにします。
後者は感覚によりテニスをするプレーヤー。
考えない目や耳、鼻、皮膚といった感覚によりテニスをプレーします。
こちらは「感覚的テニス」です。
▶テニスは「自転車」に乗るようなもの
私たちの認識対象は「一時にひとつ」が原理原則ですから、思考と感覚を、両方同時に使うことはできません。
それが証拠にこの文章を読んでいるとき、鳴っていたかもしれないけれど、エアコンの「音」は聞こえなかったはず。
結論を言うと感覚でプレーできるようになれば、自転車に乗るがごとくテニスができるようになります。
「テニスは自転車に乗るようなものよ」と言ったのは、かつての天才少女マルチナ・ヒンギスでした。
自転車であれば、喋りながらでもスイスイ乗りこなせますよね。
(公道以外では)「手放し運転」だって、できたりします。
「感覚的テニス」をすると、簡単なプレーなら喋りながらでもできる検証を試みます。
▶「今日は快晴だね」「洗濯物干してきた」
「思考型テニス」か、「感覚的テニス」かを見分ける実験。
「感覚的テニス」している場合、例えば2列でストレートラリーの練習をしているとき、横のプレーヤーと簡単な日常会話程度ならできます。
「今日は快晴だね」
「洗濯物干してきた」などと。
思考を司るのはおもに左脳で、その左脳が「フォームや打ち方」について考えていては、同時にほかの天気などについて、喋ったりはできません。
感覚を司るのは右脳ですから、感覚で打てるようになると、左脳のキャパシティは残っています。
ですから日常会話程度の簡単な会話なら打ちながらでもできる。
それはフォームや打ち方について頭で考えず、体の感覚で打っている「感覚的テニス」だからにほかなりません。
▶テニススクールのコーチは「喋りながらプレー」している
何も「喋りながらテニスができるようになりましょう」などと、言いたいわけではありません。
ですが、不思議に思わないでしょうか?
たとえばユーチューブなどに散見されるテニスのレッスン動画では、デモンストレーターが喋りながらプレーしているシーンがあります。
あるいはテニススクールのレッスンでも、コーチは喋りながらラリーしたりします。
あたかもボールに集中していないような印象?
いえ、感覚でテニスをプレーしているのです。
▶考えると自転車に乗れなくなる?
「思考型テニス」と「感覚的テニス」の2タイプ。
自転車の例で言えば、感覚で乗れるようになれば、喋りながらでもスイスイ乗りこなせるのでした。
ところがペダリングやハンドリング、ブレーキングなどについてあれこれ、さらに細かい部分まで考え出す「思考型」になると、乗れなくなる恐れもあるのです。
「いや、まさか自転車に乗れなくなることはないだろう」などと、あなどらないでください。
陸上競技選手は、考えると「走り方」が分からなくなり、日常生活では階段さえ、「下れなくなる」恐れさえあるのです。
テニスでは、簡単な動作であるサーブのトスさえ、「上がらなくなる」から怖いのです。
▶「お喋りラリー」を逆手に取る
「思考型テニス」でプレーしていると、喋りながらラリーできません。
いえ、そういうプレーヤーは声に出さなくても、頭の中で喋っているのです。
「よくボールを見なきゃ」「打点は体の前に」「最後まで振り切ろう」などと。
「思考型テニス」か「感覚的テニス」か。
もちろん、喋りかけられても「ボールに集中していて気づかない」というのは高度な「スルー力」が発揮されているまた別の話。
一度、自分がどちらのタイプか、マナーやルール、この際集中も脇に置いておいて、実際にラリーをしながら喋れるかどうか、試してみるのも面白いと思います。
「静かにして!」となるのは、話しかけられると頭の中で考えられなくなる「思考型テニス」タイプのプレーヤー。
だけど逆手に取って喋りながらラリー練習をすれば、頭の中で「考えられなくなる」から、もしかすると「感覚的テニス」でプレーするスタイルに、スイッチできる可能性があると言えます。
▶頭の中で喋るか、声に出して喋るか?
テニスを始めたばかりの初心者は、何とかラケットにボールを当てようとして、真剣に黙々とプレーします。
話しかけたら「静かにして!」となるでしょう。
しかしそれは表面的な見た目の印象で、実際には「よくボールを見なきゃ」「打点は体の前に」「最後まで振り切ろう」などと、頭の中ではひっきりなしに喋り続けています。
この「セルフトーク」が止まらない。
だったらいっそのこと、「声を出しましょう」というのが、テニスゼロが提案する「発声法」。
たとえばこちらで紹介した「縫い目、縫い目、縫い目、縫い目」とつぶやく(正確にはフェルトの合わせ目であり、縫い目のあるボールは規格外)。
あるいは「セイ!」「ヤー!」
武道でも、声を出す選手ほど強い印象はありませんか?
陸上競技の投擲選手による「ンガァァァァー!」
声を出すと、頭の中のセルフトークはできない相関です。
▶「Quiet please, thank you」を自分に適用
「感覚的テニス」でプレーすると、簡単なラリーなら喋りながらでもできる検証を試みました。
とはいえデモンストレーションやレッスンではできるとしても、そうではない試合本番の真剣勝負になると、やっぱり喋りながらではテニスを上手くプレーできません。
それはもちろん、ボールに集中できなくなるからです。
自分が喋るどころか周囲が喋るだけでもその会話が気になる(思考が働く)と、「一時にひとつ」が原理原則ですから、ボールに集中できません。
なのでそういう場合は古より「Quiet please, thank you(どうぞお静かに)」とアンパイアに促されてきました。
テニスも野球みたいに、観客が声援できたほうが盛り上がりそうなものですけれども、そうすると真剣勝負にならない(できない)のもテニスという高度な集中力が試されるスポーツです。
「Quiet please, thank you」は、自分の頭の中のセルフトークにも適用できます。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
無料メール相談、お問合せ、ご意見、お悩み等は
こちらまで
tenniszero.note@gmail.com
スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero