テニス上達メモ 078.「鶏と卵の関係」が「いたちごっこ」に拍車をかけ、やがて「蟻地獄」に堕ちるまで
▶「意識する」と、ギクシャクする
スイングがギクシャクする原因は、何でしょうか?
それは「鶏と卵の関係」にたとえられます。
スイングがギクシャクする原因のひとつは、「意識する」からです。
無意識でいるうちは、ギクシャクしません。
たとえば身体動作としては比較的スタティック(静的)な呼吸ひとつとっても、息を吸って吐いてのスーハースーハーを意識すると、無意識でできていたときに比べて「息苦しさ」を覚えるでしょう。
それは身体動作を意識したために、呼吸がギクシャクしたからです。
呼吸ですら、そうなります。
もっとダイナミック(動的)なテニスのスイングとなると、テイクバック、ラケットダウン、フォアードスイング、フォロースルーなど、意識すればするほど、ギクシャク感が強まります。
▶フェデラーのスイングに近づくためのアプローチ
「いや、ギクシャクなんてしてないよ!」と言うかもしれないけれど、それはロジャー・フェデラーのスイングと等しくなめらかかと問えば、フォーム を意識している場合、自覚できないところで、ギクシャクしていると疑われます。
なのでフェデラーのスイングに近づくにあたって今後志したいアプローチは、身体動作やフォームを「意識しない」。
ちなみにフェデラーのスイングに近づく「はじめの第一歩」はコチラです。
▶「タイミングのズレ」に起因するスイングの加減速
それともうひとつ 、「タイミングが合わない」場合、スイングがギクシャクします。
「このタイミングだ!」で打ちにいったのに上手く合わなければ、体はスイングにブレーキをかけたり、ラケット操作をアクセレートしたりするから、そのぶんギクシャクします。
これはスイングの緩急といったポジティブなメリハリではなくて、そうならざるを得ないネガティブないびつ。
この場合、プレーヤーは強いギクシャク感にさいなまれます。
その程度によっては不甲斐ない遣る瀬無さから怒りの矛先が、思わずラケット破壊に向かう選手もいるほどです。
▶タイミングのエラーをフォーム問題にすげ替える
なぜ打球タイミングが、合わないのでしょうか?
それは、ボールに集中し損ねるからです。
だけど常識的なテニス指導はタイミングに関するエラーを、フォームの問題にすげ替える。
皆さんもこれまでに一度や二度は、聞いたアドバイスかもしれません。
たとえば「振り遅れるのは、テイクバックを引きすぎるからだ」。
いえ、一度や二度どころか、人によっては「何度」も。
それくらい、フォーム指導がメジャーな証左です。
「振り遅れるのはラケットを引きすぎるのが原因だから、テイクバックをコンパクトにしなさい」と。
なるほど確かに理屈として、理にかなっているように思えます。
しかし何度言われようと、聞かされようと、相手のボールが対応可能なスピードの範囲内であったとしても振り遅れが改まらないのは、それが真因ではないからなのです。
▶タイミングが合わない真因は「集中力」
マイナーなテニスゼロは、違う見解を示します。
振り遅れるのはむしろ、コンパクトなテイクバックを「意識する」から。
そのために、ボールに集中し損ねるのが振り遅れる真因です。
その結果、あくまでも結果として、飛んでくるボールのスピードにそぐわないサイズの大きなテイクバックが現れる(場合がある)のです。
※私たちが認識できる対象は「無料ガイドブック『テニス上達のヒント』」でもお伝えしているとおり「一時にひとつ」が原理原則ですから、テイクバックを意識するとボールに集中できなくなる。
なのでたとえば鳴っていたとしても今、これを読んでいる最中は、エアコンの音が「聞こえなかった」ですよね。
▶テイクバックは「人による」あるいは「状況による」
ボールに集中していれば、そのようなミスにつながるラケットの引きすぎは、なくなります。
それが証拠にネットの近くで相手のストローカーと対峙する至近距離戦のボレーでは、素人であっても、ストロークを打つときのようなサイズのテイクバックは、まさかしないでしょう。
もちろんここで取り上げている「テイクバックうんぬん」は、あくまでも説明のための方便であり、そのサイズは「人による」あるいは「状況による」ので本質ではありません。
テイクバックのサイズは、人や状況による。
つまり何度言われようと聞かされようと、有り体に言えば「どうでもいい」のです。
ですから一方では、ボールに集中しているプレーヤーはノーバウンドのボレーであっても、ストロークのように大きなテイクバックをするドライブボレーを打つ場合もあるのです。
▶一切引かなくても、振り遅れる
本当にテイクバックをコンパクトにすれば振り遅れ(タイミングに関するエラー)がなくなるのだとしたら、相手ボールが速すぎて対応できないなどの抗えない事情でもない限り、この世から(ゴルフでいうタメではないほうの)レイトヒットは根絶してもよさそうなものです。
ところが端的に言えば、ラケットを「一切引かない」ように意識しても、振り遅れるときは(ボールに集中していないとき)は、ラケットを一切引かないように「意識する」からこそ、やはり振り遅れるのです。
見た目のサイズ(フォーム)ではありません。
プレーヤーの関心がどこへ向いているかの集中力が、タイミングの是非に関わるのです。
▶「鶏と卵」のフローチャート
スイングがギクシャクするのは、「意識する」ことと「タイミングが合わない」ことが原因である理由を確認しました。
これが先述した「鶏と卵の関係」なのです。
フローチャートは、たとえば次のとおり。
テイクバックが大きすぎるから振り遅れて、打球タイミングが合わない。
↓
だから振り遅れないように、コンパクトなテイクバックを意識する。
↓
コンパクトなテイクバックを意識したら、認識できる対象は「一時にひとつ」の原理原則に従い、ボールに集中できなくなって振り遅れる。
↓
だから振り遅れないように「意識する」と、今度は逆に打ち急ぐタイミングのエラーが発生。
↓
打ち急がないためには打点を体に引きつけるようにフォームを意識すると今度はまた……(-_-;)
▶何十年もの「イタチごっこ」
まるで「いたちごっこ」です。
いえその意味について辞書を紐解くと「何度も同じようなことを繰り返して埒が明かないさま」とあるから、まるでではなく、まさしく「いたちごっこ」そのものです。
どこまで行っても、いつまで経っても、埒が明きません。
こんな悲劇というか(喜劇というか)を、何十年にも渡りずーーーっと、常識的なテニス指導は繰り返し続けてきたのです。
繰り返しは世界最高レベルの学習法ですから、その「逆効果」たるや計り知れません。
▶「蟻地獄」からのエスケープ
そして「いたちごっこ」はこれからも続き、繰り返されていく見通しです。
どうやら、改まる兆しは見出せません。
そのメジャーな影響力に気圧され、たくさんのタレント(才能)がスポイル(ダメに)されてきた無念を憂う。
改めまして、「夏草や兵どもが夢の跡」。
せっかく胸踊らせて楽しもうとテニスを始めたというのに、それが叶わず、ラケットを置いたツワモノたちの無念を憂う。
いえ好きだから辞められないけれど、テニスを通じて自己肯定感を損ない、できない自分はどこか「人格的に劣っている」かのような劣等感にさいなまれるプレーヤーの無力感、そして悔しみを憂う。
くだんのゴルフプレーヤー佐藤信人プロの言葉を借りれば、じわじわと落ちていって、もがけばもがくほど(フォームをいじればいじる)ほど、吸い込まれるスピードが加速し、やがてもう這い上がれなくなる「蟻地獄」。
まずはそこからの脱出を、叶えてみませんか?
追伸
グーグルキープに残したはずの本決定稿がなぜか全部消えてしまい、改めてゼロから書き起こした己の喪失感を憂う。
「そんなことで?」
いえ、何しろ自分にはとことん甘い、甘くするのが、常ですから!
こんなときも、「どうしよう、どうしてだ?」と、もがけばもがくほど「蟻地獄」でした(-_-;)
落ち着いて思い返せば、内容の9割方は、何とか書き直せたかと思います。
お楽しみいただけましたら嬉しく思い、筆者として冥利に尽きます。
即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
https://note.com/tenniszero
無料メール相談、お問合せ、ご意見、お悩み等は
こちらまで
tenniszero.note@gmail.com
スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero