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テニス上達メモ014.フォロースルーって、そんなに大事?


▶フォロースルーでボールをコントロールすることは不可能


深く打ちたければ、長くフォロースルー。

短く打ちたければ、短くフォロースルー。

高く打ちたければ、高くフォロースルー。

インパクトしたあとのフォロースルーが、コントロールを定める大切なポイントだとする指導は、少なくありません。

ですがインパクトして、ラケットからボールが離れたあとにフォロースルーをいかに操作してみても、ボールには当然ですが「何の影響も与えられない」のです。

ラケットに芭蕉扇のような風を送る機能があって、ボールに物理的な風力でも加えられるというのであれば話は別かもしれませんけれども、フォロースルーを意識してみたところで、それが「取ってつけたようなスイング」になるのです。


▶プレーがぶつ切りになる


またフォロースルーを意識すると、自分が打ったあとのボールに対する集中力が途切れるから、そのワンショットに限って上手くいくことは仮にあったとしても、プレーがぶつ切りになります。

いえ「仮に」と断り書きするのは、基本的には上手くいかないから。

なぜなら「フォロースルーをしっかり振り切ろう」などと意識するのは打ち終えたあとではなく、打つ前が多いでしょう。

この時点でフォロースルーを意識していると、ボールに集中できなくなっていますから、打球タイミングを誤るので基本的には上手くいかないと言えます。

▶「する」のではなく「なる」


話が逆で、深くコントロールするから、結果的にフォロースルーは長くなる(場合がある)のだし、浅いところへコントロールするから、フォロースルーは自然と短くなる(場合がある)のです。

「場合がある」と断り書きするのは、打った瞬間にスイングを止めてフォロースルーをなくしても、力とタイミングと入反射角しだいでは、遠くへ飛ばしたりもできるからです。

ボールを投げるのに、1メートル離れた的にぶつけるのと、10メートル離れた的にぶつけるのとでは、腕の振りの大きさを変えようと意識しなくても、その振り幅はおのずと違ってくるのではないでしょうか。

フォロースルーを、長く「する」のではなく長く「なる」

短く「する」のではなく短く「なる」

いえフォロースルーに限らずスイング動作はすべて「する」のではなく「なる」のです。

▶「フォーム理論」の成り立ち


つまりフォロースルーの長さは、どの的へぶつけるかの「コントロール」ありき。

これをないがしろにして、フォロースルーの形ばかりを意識してみても、上手くいかないでしょう。

人はときどきこうして、「あべこべ」に解釈します。

「深いボールを打っている人のフォームを見たら、フォロースルーが大きかった」

「だったらフォロースルーを大きくすれば、深いボールが打てるんじゃないか」、などと

こうして「フォーム理論」が確立されていくわけですけれども、それがいいか悪いかは別として、「後づけ」です。

▶「あいつが悪い」から怒るのは逆


「私が怒るのはあいつが悪いからだ!」と思うかもしれません。

しかし怒りたい私の心が、怒りの矛先を向けるターゲットとして、悪いアイツを見つけ出して「出し」に使っています

あいつが悪いのは「後づけ」。

それが証拠に、宝くじが当たった直後の心持ちなら罵られても怒るどころか、「どうぞご自由に♪」でしょう。

怒りたい自分の心が前提としてあります

怒る対象が手近に見つからなければ、暑さであれ、雨であれ、応援するチームが負けた野球の結果であれ、何でも探し出して「怒れさえすればいい」という塩梅なのです。

そして怒るのはストレスだから「怒りたくない」と思うけれど、その「怒りたくない」思いもありのままを受け入れずに跳ね返す力だから「怒り」です

▶「顛倒(てんどう)」というあべこべ感覚


フォロースルーを長くすれば、深くコントロールできる。

怒る相手さえいなければ、怒らないのに。

「あべこべ感覚」。

深くコントロールするから、フォロースルーが長くなる(場合がある)のであり、怒りたいから、怒る対象を見出します。

このよくある逆転現象について専門用語では「顛倒(てんどう)」と呼ばれます。

▶ドの音だけでは、音程が分からない!


フォロースルーに限らず、またテニスに限らずゴルフも野球もサッカーも、世の中のフォーム解説は「すべて後づけ」です。

むしろ、フォームなど一切気にせず、もっとシビアにコントロールの精度を上げる練習をすればいいのです。

具体的には「的」を置く。

1つと言わず2つも3つも。

そうすれば、的を基準としたコントロールの精度がどんどん高まります

こちらで述べている、「ド」の音の高さを知りたければ、それよりも高い「レ」や、それよりも低い「シ」を聞いて、基準との乖離を確認できます。

もっと基準を細かくして「レ♭」や「シ♯」なども聞くと、どんどん音感の精度が高まるのと同じです

▶的に当たらなくてもいい


的に、当たらなくてもいいのです。

的を、狙わなくてもいいのです。

的が置かれている場所のイメージは、初め見たときに実装済み。

あとはボールに集中していれば、着弾点との乖離を埋めるように脳が自動でコントロールを調整し始めます

的に当てよう、的を狙おうと意識したりすると、ボールに対する集中力が削がれます。

▶的は「魔法のような道具」


「的」などというとありきたりに思われるかもしれませんけれども、テニスが上達する「魔法のような道具」

私はよく、こう言います。

「的を置かない練習は、練習とは言わない」と。

それはコンディショニング(調整)かウォーミングアップ(準備)であり、トレーニング(練習)とは呼びません。

▶置かない的には当たらない


「どうせ当たらないから的なんて置かない」という人もいますけれども、置かないから当たるコントロールが身につきません。

コントロールが身につかないから、「ますますどうせ当たらない」信念(イメージ)を強めて、本当に当たらない自分が現実化します。

「イメージがすべて」と言ったのは、テニス界のレジェンドであるアンドレ・アガシでした。

私たちは、イメージにはあらがえません。

ですから学習能力は「諸刃の剣」です。

▶最適なフォロースルーの出現


改めてフォロースルーにつきまして。

そうして「的」を基準としたコントロール練習をしていると、そのときどきの状況に応じた「最適なフォロースルー」が、フォームなど意識しなくても、自然と現われるのです。

長く「する」のではなく長く「なる」し、短く「する」のではなく短く「なる」

長さだけではありません。

斜(はす)に振り抜いたのちに同側の頭上へ返ってくるリバースフォロースルー(リバースフォアハンド)なども、その時の打球タイミングしだいで「なる」のであり、トップスピンをかけるためにそう「する」のではない点を確認しておいてもらえればと思います。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero