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『ウエスト・サイド・ストーリー』に出てくる○○系(人種)をライトに解説

はじめに


先週末から公開のスティーヴン・スピルバーグ監督作品『ウエスト・サイド・ストーリー』。圧倒的な歌とダンス、メロドラマのさなか、メインストーリーの一つにイタリア系とユダヤ系の非行グループ「ジェッツ」とプエルトリコ系アメリカ人非行グループ「シャークス」 との対立がある。

しかしながら、日本人であるボクらにはイタリア系とかプエルトリコ系と言われてもいまいちピンとこない。

そこで、この人やこの映画がイタリア系とかユダヤ系とかプエルトリコ系と言われればいくらかわかるかなー、と思ったのでまとめてみました。

★イタリア系

まずはイタリア系。

イタリア系アメリカ人を描いた映画と言えばイタリアンマフィアのコルレオーネ一族の顛末を描いた『ゴッド・ファーザー』シリーズがあります。

マイケル・コルレオーネ役のアル・パチーノや『ゴッド・ファーザー PART2』のビトー・コルレオーネ役のロバート・デ・ニーロ、あとジョン・カザールはイタリア系ですね。けど、『ゴッド・ファーザー』のビトー役のマーロン・ブランドはオランダ、アイルランド、ドイツ、イングランドの系譜だし、ジェームズ・カーンはアイルランド系なのでコッポラはそこまで統一してなかった。あ、もちろん、フランシス・フォード・コッポラはイタリア系です。

次に『ロッキー』。

主人公のロッキー・バルボアも演じたシルベスター・スタローンもイタリア系で、ロッキーの名を元にしたロッキー・マルシアノもイタリア系。余談ながら、ロッキー・バルボアのモデルになったチャック・ウェプナーははドイツ人、ウクライナ人、ポーランド人の子孫だったりする。

最近の映画では2019年にアカデミー賞作品賞を受賞した『グリーンブック』。


主人公トニー・リップはイタリア系で、序盤のシーンにトニー周辺のイタリア系のコミュニティの描写があり、みんなでパスタを食べながら、白黒テレビでジョー・ディマジオの活躍に喝采を贈っていた。

以下、イタリア系アメリカ人の著名人まとめ

・映画
シルベスター・スタローン
マーティン・スコセッシ
ブライアン・デ・パルマ
フランク・キャプラ
ニコラス・ケイジ
フランシス・フォード・コッポラ
クエンティン・タランティーノ
マイケル・チミノ
レオナルド・ディカプリオ
ロバート・デ・ニーロ
アル・パチーノ
スティーブ・カレル

・音楽
フランク・ザッパ
ジョン・ボン・ジョヴィ
スティーブン・タイラー
マドンナ
シンディ・ローパー
フランク・シナトラ
レディー・ガガ
ロニー・ジェイムス・ディオ

・プロレスラー
ブルーノ・サンマルチノ
ディノ・ブラボー
ランディ・サベージ

・野球
ジョー・ディマジオ

・ボクシング
ロッキー・マルシアノ
プリモ・カルネラ

・犯罪者
アル・カポネ

こうして見ると幅広い分野に進出しているが、特に音楽のジョン・ボン・ジョヴィやスティーブン・タイラーにも驚いたし、シンディ・ローパーやマドンナ、レディー・ガガと女性ポップシンガーの系譜まで見えたりする。


★ユダヤ系

続いてユダヤ系。
こちらはやはりとでも言うか、映画界が目につく。

ユダヤ系を取り上げる映画と言えば自身がユダヤ系であるウディ・アレンの映画が挙げられる。自虐的なユダヤ系いじりは最早定番ムーブでもある。

ユダヤ系のコミュニティの世界観をガッツリ描いた映画ならユダヤ系の映画監督コーエン兄弟の『シリアスマン』が印象的。

あと、クエンティン・タランティーノ監督の『イングロリアス・バスターズ』でユダヤ人によるナチス狩りのエピソードがあるが、その時にイタリア系のタランティーノにユダヤ系演出のサポートをしたのが、祖父母はオーストリア、ロシア、ポーランドの出で、ユダヤ系の家庭で育ったイーライ・ロスだったりする。

以下、ユダヤ系アメリカ人の著名人はこちら。

・小説家
アイザック・アシモフ
・学者
アルバート・アインシュタイン

・映画
メル・ブルックス
グウィネス・パルトロウ
スティーヴン・スピルバーグ
ウディ・アレン
スタンリー・キューブリック
コーエン兄弟
ショーン・ペン
ダスティン・ホフマン
ハリソン・フォード
ポール・ニューマン
ローレン・バコール
ナタリー・ポートマン
ケイト・ハドソン
ジェシー・アイゼンバーグ
アンドリュー・ガーフィールド
アーミー・ハマー
ヘレン・ハント

・音楽
レナード・バーンスタイン
ジョージ・ガーシュウィン
ボブ・ディラン
ビースティ・ボーイズ

・実業家
マーク・ザッカーバーグ

スティーヴン・スピルバーグにウディ・アレン、スタンリー・キューブリック、コーエン兄弟など映画界の巨匠が多く、またダスティン・ホフマン、ハリソン・フォード、ポール・ニューマンなど70年代のスター俳優が揃い踏み。また、ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、アーミー・ハマーは揃ってマーク・ザッカーバーグの自伝的映画『ソーシャル・ネットワーク』で共演している。

★プエルトリコ

次にプエルトリコ。日本人にはいまいちピンとこない国かもしれないが、プロレスファンなら古くはペドロ・モラレス、アラフォーぐらいならFMWにいたヒール軍団プエルトリコ軍などでいくらか馴染みがある。

さらには、故ブルーザー・ブロディがなくなったのもプエルトリコで、プエルトリコのプロレス団体「WWC」での揉め事が原因とか。

映画だと、格闘家のジーナ・カラーノ主演の『ブライド・ウエポン』だったり、メル・ギブソン主演の『リーサル・ストーム』だったり、作品は良くてもミニシアター作品ばかりで、いまいち伝わってない。

著名人を見てみると、超メジャーなのはロベルト・クレメンテ。日本のプロ野球の助っ人外国人だと元大洋ホエールズ(現DeNAベイスターズ)のフェリックス・ミヤーン、元日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)のトミー・クルーズ、元中日ドラゴンズのレオ・ゴメスなどNPB史を彩った助っ人が多い。

映画俳優ならベニチオ・デル・トロ、ジェニファー・ロペス、ミッシェル・ロドリゲスなどがいるが、微妙に少ない。


★ポーランド系

あと、『ウエスト・サイド・ストーリー』のキーマンになるのがポーランド系のトニー。


このポーランド系という立ち位置も、一応白人移民系のジェッツ側にいながらも微妙な立ち位置である。

このポーランド系というのが意外とわかるという映画がクリント・イーストウッド監督・主演作品『グラン・トリノ』だという。

尚、監督・主演のクリント・イーストウッドはイングランド、スコットランド、アイルランド、オランダの血筋の家計で、ポーランド系アメリカ人を見事に演じている。

あと著名人は以下の通り。

・映画
ビリー・ワイルダー
ウォシャウスキー姉弟
クロエ・セヴィニー
ロマン・ポランスキー
エイドリアン・ブロディ
スカーレット・ヨハンソン
ブラッド・ピット

・プロレスラー

オレイ・アンダーソン
ジョニー・バレンタイン
グレッグ・バレンタイン
イワン・プトスキー
イゴール・ボディック
ハルク・ホーガン

・音楽
リッチー・サンボラ
マリリン・マンソン
ヒューイ・ルイス

・詩人
チャールズ・ブコウスキー

この中でちょっとびっくりしたのがハルク・ホーガンもポーランド系ということ。イワン・プトスキー
やイゴール・ボディックがポーランド人ギミックでやってたが、ハルク・ホーガンはそういう売り出し方はしてなかったし、アメリカ人の代表みたいな感じで売ってたから、まさかという感じだった。

まとめ

というように、それぞれ見てみると成功分野や名前の傾向など独特で、アメリカの社会形成が一つ見え、『ウエスト・サイド・ストーリー』を見る上で少しはお役に立てたのではないかな、と。

尚、「○○系の著名人にこういう人がいる」とか「こういう作品がある」、というのは他にもあるはずです。皆さんで見つけてみましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました!


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