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「想像の翼」を広げて

column vol.1020

当社では週に一度、時流分析会議『IMAGINAS(イマジナス)』というプログラムを行っているのですが、そこでとある少年の心温まる話に触れることができました。

舞台は広島

G7サミットでも注目された被爆地で、外国からの観光客に英語で原爆被害を語る男の子がいるのです。

〈関西テレビNEWS / 2023年5月23日〉

少年の名前は、佐々木駿くん9歳です。

想像力は「疑問」から生まれる

駿くんがなぜ外国人観光客に原爆被害を語るようになったのか?

それは、通り道でよく見かける原爆ドームに対して、ふと「何だろうあれ」と疑問に思ったことがきっかけだったそう。

そうして自らで原爆ドームを調べるうちに、78年前の悲惨な出来事を知ることになったのです。

そして、生後7ヵ月から学び出した英語を活かし、ガイドを始めることに。

関西テレビNEWS

【英語で説明する駿くん】
二度と原爆の惨事を繰り返さないという思いを込めて、広島はこの建物を残すことにしました」
【外国人観光客】
『ノーモア ヒロシマ』。なるほど」

素晴らしいですね。

さらに平和公園の歴史だけではなく、もう1つ駿くんが伝えていることがあります。

それが、実際に被爆を経験したひいおばあさんについてです。

ひいおばあさんが12歳の時、家に一人でいた日、1.5キロ離れたところで原爆が爆発したそうです。

その後、ガンを患い、駿くんが生まれる前に69歳で亡くなったそうです。

今では原爆戦没者名簿に、名前が記されています。

そのひいおばあさんについて、駿くんは外国人観光客にこのように語ります。

何も悪いことをしていない人が死んでいくのは、この世で一番最悪なことだと思います。(ひいおばあちゃんが)まだ生きていたらいろいろ教えてもらえたかもしれません。

それを受けて外国人観光客の中には、こんな反応を示す方々もいらっしゃいます。

関西テレビNEWS

駿くんを中心に平和の「和」ができていますね😊

胸がジーンと熱くなります…

駿くんは続けます。

どんどん伝えていこうという気持ちが強くなります。二度とこの世界で戦争がないように、戦争はやめて欲しいという強い思いを感じ取って欲しいです。

「争いのない世界」を目指し、これからも平和の伝道師として世界に「和」の哲学を伝え続けていくのでしょう。

「哲学」を義務教育に

できることならば、哲学が義務教育になったら良いなぁと思っていたりします。

哲学は「疑問」から始まり、その答えを追求していくことにあります。

答えに辿り着くには、さまざまなことを調べ、想像しないといけません。

さらには、答えは1つではないことにも直面します。

そうして、さまざまな可能性を探る思考習慣が「和」をつくると私は考えているのです。

ちなみに北アイルランドでの哲学教育朝日新聞の「EduA」で記事になっていましたので共有させていただきます。

〈朝日新聞 EduA / 2023年5月22日〉

舞台はベルファスト市にあるホーリークロス男子小学校

同市では1960年代以降の北アイルランド紛争で激しい宗教対立が続いていました。

そこで、同校では哲学によって歴史の傷痕を乗り越える方法を教えているのです。

さらに感心したのが、通常科目にも哲学的な考え方を盛り込んでいるとのこと。

例えば、歴史の授業で第2次世界大戦について学ぶ際は

「国が戦争に参加することはいいことなのか、そうではないのか?」
「どうして戦争に行かなくてはならなかったか?」

と、問いかけを生徒たちにしているそうです。

大人が答えを提示することなく、子どもたち自ら答えを考え、交換し合う

その繰り返しを行うことで知は磨かれていくのです。

実際、哲学教育を導入してから生徒の知的レベルが上がり、成績も良くなっているとのこと。

また、子ども同士でケンカした際も、「ケンカして終わり」ではなく、自分たちがしたことをじっくり振り返り、感情が落ち着いてから教室に戻るようにさせている。

つまり、争ったことを「糧」にさせているのです。

そうすることで、ケンカの数が少なくなっているようですよ😊

さらに、哲学教育を受けた子どもたちが親と対話することで、親の意識が変わっていく

ベルファスト市では、子どもは大人にとっての “先生” でもあるのです。

非常に羨ましい光景だと感じます。

ちなみに、ホーリークロス男子小学校が実践してきた日々をカメラに収めたドキュメンタリー映画『ぼくたちの哲学教室』が、本日から全国各地で順次公開されていきます。

〈ぼくたちの哲学教室 Webサイト〉

興味を抱いてくださった方は、ぜひお近くの劇場に足を運んでくださいませ。

「答えは変わる」という思考習慣

「哲学教育」という大仰な感じではなくても、「答えを探求する」「答えは1つではない」という思考習慣を身につけるための教育というのは大事だと思います。

そのヒントとなるのが、『東南アジア式「まあいっか」で楽に生きる本』の著者であり、約10年間マレーシアに住む野本響子さんのインタビュー記事にありました。

〈CREA / 2023年5月23日〉

マレーシアの国民は、「変わる」ということに抵抗がなくて、自分がハッピーじゃなかったら「変わる」という考え方が普通とのこと。

対して、日本人の中には変わることが苦手な人も多い…

その違いについて、野本さんはこのように語っていらっしゃいます。

暗記教育の弊害ですよね。暗記教育というのは、決まっているものを覚えるじゃないですか。決まっているものとは、「変わらない」もの、「正解は1つ」です。事実を疑わないから暗記できるんです。世界の教育は、「昨年はこうだったかもしれないけど、今年は変わっているかもね」という感じで、知識や情報をアップデートしていくという方向へ変わってきています。そうなると「20年前の日本はこうだったけど、今はどうなのか」と毎回徹底的に調べるようになる。海外での教育は、メディアの情報も徹底的に疑い方を学んでいます

確かに、私たちの時代は「いい国(1192年)つくろう鎌倉幕府」と習いましたが、今では「いい箱(1185年)つくろう鎌倉幕府」がスタンダードになっています。

他にも30〜40年前から変わっている答えはいくつもあるのです。

それは歴史だけではなく、科学医学新しい発見があれば、今後も答えは変わっていくでしょう。

ということで、私たちが知る答えなんて「仮」でしかない。

それよりも、発見する力や、他と調和する力柔軟に答えを変えていく力を身につけた方が人生の役に立つ気がしますね。

chatGPTなどAI時代の本格的な幕開けに鑑みても、そう思います。

ちなみに、発見力の大切さは、以前【「発見」があなたを幸せにする】という記事でも語っておりますので、ぜひこちらもご覧くださいませ。

いずれにせよ、平和の伝道師・駿くんの哲学に触れ、心が熱くなっています。

「和」をデザインすることが、私にとっての「青い鳥」なんではないかなと考えちゃうぐらいです😊

〜というわけで、広島の駿くんの活動に思いを馳せながら、私も想像の翼を広げていきたいと思います。

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