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教育のはしくれ

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塾産業の中で教育などと偉そうには言いませんが、父親として息子たちと向き合ってきた一人としての体験と意見。時代的に早すぎた「イクメン」としての背景から、言葉を零してみます。
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2023年9月の記事一覧

偏差値教育

偏差値教育

「偏差値教育は悪い」と口にするのが、互いの仲間意識を形成する。そんなことが長らく続いている。もう市民権を得た決まり文句のようである。それはまるで「科学は悪い」と一刀両断にすることのようにも聞こえる。「偏差値」の使い方に気をつける側面があることは確かだ。だが、「偏差値」そのものを消し去ったらどうなるか。一時、それを否定して、学校の先生たちが窮地に陥ったことがあった。進路指導ができなくなったのである。

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『東京大学の式辞』(石井洋二郎・新潮新書)

『東京大学の式辞』(石井洋二郎・新潮新書)

東京大学の教養学部学位記伝達式において、学部長として式辞を告げたことが、マスコミの話題になったことがある。2015年のことである。1964年の東京大学の卒業式で大河内一男総長が語った、J.S.ミルの式辞がメディアで大きく報道されたことについて、三つの間違いがそこにあった、と話したのである。そこから、「けっして他者の言葉をただ受動的に反復するのではなく、健全な批判精神を働かせながらあらゆる情報を疑い

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理科と国語についての呟き

理科と国語についての呟き

時代考証など徹底している点で、NHKのドラマは結構信頼がおける。もちろん完全であれと迫るつもりはないが、全国からチェックが入るので、かなり念入りにやっている努力は感じる。
 
だがそれでも、先般、引っかかってしまった。それは、月の形である。ようやく子どもが寝入って夜に夫婦で話をしているようなのだが、月の形からして、夜中の3時か4時くらいではないか、という月だった。夫婦で徹夜をしていたような情況では

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平和教育の意義と危惧

平和教育の意義と危惧

関東大震災から100年ということで、少し話題になっていた。日赤の意識調査で「防災の日」の由来について知らなかった人が半分いた、というニュースが目を惹いた。驚くべきことではないかもしれない。だが、30代で3人に2人が知らないというのは、少しばかりショックだった。親が子に伝えられないという情況を表していると思われるからだ。
 
さらに、朝鮮人の虐殺については、フェイクだと言い張る者が一定数いることを思

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読書感想文のコツ

読書感想文のコツ

もう生徒たちは提出したことだろうが、夏は、読書感想文の課題がよく出る。近年は強要されなくなりつつあるが、以前は「必ず」書きなさい、という圧力があった。
 
感想文というものは、実に厄介だ。子どもたちは、原稿用紙を見ただけで尻込みすることが多い。もちろん、それが楽しくて仕方がない、という生徒もいる。私も、仕事で書かせることがあるが、そんなとき、板書は大きく次のことを書くだけだ。
 
 「楽しくかこう

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