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聖書と信

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聖書はひとを生かすもの、という思いこみだけで、お薦めします。信仰というと引かれそうですが、信頼などの信として、ひとや世界を大切にする思いが、少しでも重なったらステキだな、と思いつ…
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#新約聖書

『書物としての新約聖書』(田川健三・勁草書房)

『書物としての新約聖書』(田川健三・勁草書房)

いつか読みたいと思っていた。ただ、手が出なかった。最近では8000円+税である。分量があることは厭わないが、先立つものがとにかくない。古書も決して安くはならない。価格がどうなのかを、ずっと見守っていた。ここでは明かすが、私はこの度、これを1400円で手に入れたのである。送料込みで1500円を少し超えるだけの価格提示に対して、少しばかりポイントを使ったのだ。それも、線一つ引かれていない、カバーと天に

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雀の値段

雀の値段

恐れるべき相手は人間ではない。神はどんな方であるか考えてみよ。この神への恐れは、また「畏れ」とも書くことができるだろう。たくさんの雀よりもはるかにまさっているのだから、妙な恐怖を懐く必要がない、というようなイエスの教えがある。そこに、よく知られた言葉がある。
 
五羽の雀は二アサリオンで売られているではないか。だが、その一羽さえ、神の前で忘れられてはいない。(ルカ12:6)
 
「アサリオン」とい

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説教のような番組テキスト

説教のような番組テキスト

本日3日から放送開始。時折ご紹介している、Eテレの番組「100分de名著」は、私たちを、読み応えのある本へと誘うよい入門となっていると思う。4月は「新約聖書 福音書」であるということから期待していたし、そういう時にはテキストを求めるようにしているので、早速読んでみた。番組はほんのひとかけらのことしか見せないから、講師の考えとその書物についての情報は、テキストからテレビ画面の何倍ももたらしてくれるの

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『新約聖書の女性たち』(C.H.スポルジョン・佐藤強訳・いのちのことば社)

『新約聖書の女性たち』(C.H.スポルジョン・佐藤強訳・いのちのことば社)

スポルジョンの説教集を現代に出す意義は何だろうか。
 
1850年イギリスにて回心したときが16歳。イザヤ書45:22に呼ばれたのだという。その一途な信仰もさることながら、語る才能に恵まれ、説教の天才と呼ばれ始める。19歳にて教会の説教者の立場に就き、200人の会衆を、その年の内に1200席を満席にしたという。牧師として就任した教会は10人しかいなかったが、1年で400人に成長させたそうである。2

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叫び (ルカ18:35-43)

叫び (ルカ18:35-43)

イエスがエリコに近づかれたとき、ある盲人が道端に座って物乞いをしていた。(ルカ18:35)
 
盲人は、賑やかな様子について疑問に思うが、ナザレのイエスが来たのだと知る。芸能人がいるぞ、という程度のものではない。大変な騒ぎであっただろう。「ダビデの子イエスよ、私を憐れんでください」と彼は叫ぶ。窘められても、さらに叫ぶ。「先に行く人々が叱りつけて黙らせようとした」というが、その中に私がいないかどうか

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『ここが変わった!「聖書協会共同訳」新約編』

『ここが変わった!「聖書協会共同訳」新約編』

(浅野淳博・伊藤寿泰・須藤伊知郎・辻学・中野実・廣石望 日本キリスト教団出版局)
 
2018年末に、およそ30年を経て新しい聖書を発行した、日本聖書協会。その名前を「聖書協会共同訳」と、長い名前にした。それまでの新共同訳の普及が著しかったせいもあってか、この新しい聖書の普及は、教会単位でどのくらいになっているか、私は全く知るところがない。身近に聞く事もないし、データも出てこない。
 
当初から、

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サウル・サウロ・パウロ

サウル・サウロ・パウロ

【アーカイブ】2018年8月19日
 
使徒言行録9章には「サウロの回心」というタイトルが、新共同訳には付けられています。漢字の書き取りテストならば「改心」が一般的ですが、ここでは「回心」です。心を入れ替えるという一般的な意味の「改心」ではなく、神に出会い、心の向きが180度転換する体験は「回心」と表現します。
 
この章には、興味深い訳し方が見られます。
 
サウロは地に倒れ、「サウル、サウル、

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「ホサナ」と叫べない

「ホサナ」と叫べない

4週後に受難日と復活祭を迎える福岡のキリスト教会は、非常事態宣言解除の中で、集まることができる見通しを、いまのところ期待している。
 
復活節の一週間前の主日は、棕櫚(しゅろ)の主日と呼ばれる。新共同訳聖書では「なつめやしの枝」と訳しており、ヨハネによる福音書の記事に基づく。ただ、他の福音書でも、自分の服を地面に敷いたというような描写がなされており、民衆の歓迎の度合いが窺える。
 
イスラエル各地

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