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聖書と信

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聖書はひとを生かすもの、という思いこみだけで、お薦めします。信仰というと引かれそうですが、信頼などの信として、ひとや世界を大切にする思いが、少しでも重なったらステキだな、と思いつ…
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2023年9月の記事一覧

『困惑を超えるもの 大沼隆遺稿説教集』(大沼隆・教文館)

『困惑を超えるもの 大沼隆遺稿説教集』(大沼隆・教文館)

日本基督教団仙台川平教会主任担任牧師、宮城学院宗教総主事などを務め、東北の地で50年にわたり伝道に奉仕した牧師が残した説教集。膨大なノートの束から掬い上げられた、生涯をかけて福音をあかしし続けた著者による心打つ魂の言葉。
 
本の帯にそう説明されており、これが本書の概略を簡潔明瞭に伝えている。その帯に、より大きな文字で書かれてある文句はこうである。「信仰とは、困惑があってもそれを超えて生きてゆくこ

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思い込みは誰にでもある

思い込みは誰にでもある

長男が小学生のときのことだった。作文を書いた。今度はたこ焼きの話ではない。教会学校でクリスマスの話を聞いたことだった。マリアの懐妊に先立って、親類のエリサベトが洗礼者ヨハネを授かる。
 
若い女の先生だったが、「エリサベト」のところを、朱で「エリザベス」と直していた。いや、彼は「エリサベツ」と、その時の聖書に従って書いていたような気もする。
 
先生は知らないんだね、と私は息子に説明し、そのことに

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憲法改正もアリではないのか

憲法改正もアリではないのか

憲法九条を守れという声は、キリスト教界の中でも大きい。戦争放棄と平和主義を示す九条は、世界的に見ても価値ある理念のように考えられるということだろうか。少なくとも潜在的には、多くのクリスチャンがそれに賛同するように見える。もちろん、様々な考え方があるし、政治家やその近辺には、必ずしもそうでない人も多々いるだろうが、強い九条信奉の姿勢を示すグループもある。
 
憲法九条を守れ。その理想観も目的も理解で

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危機体験

危機体験

今年も水害の報道が幾度も流れた。線状降水帯などという、聞き慣れない用語もすっかり身近なものとなった。少し前までは、ゲリラ豪雨という名前が飛び交っていた。何かきちんとした定義があるのだろうが、異常気象という言葉が人口に膾炙して久しい。地球温暖化などと口では軽々しく言うが、どのくらい深刻になるのか、多くの人は気にしていない。それどころか、それを訴える若い女性を、先のない大人が非難までする始末だ。ただ、

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『わたしたちはいま、どこにいるのか』(日本基督教団代田教会編・新教出版社)

『わたしたちはいま、どこにいるのか』(日本基督教団代田教会編・新教出版社)

新教コイノーニアというシリーズの第27弾である。2003年に亡くなった、隅谷三喜男先生を記念する本である。東京の代田教会は、晩年隅谷三喜男先生が在籍した教会である。それで、亡くなった後も、先生の業績を大切にし、協力者を得て、シンポジウムを開催した。雑誌に一部公開されたが、質疑応答を含む全貌を世に問うために本書が成立した。
 
代田教会は、聖書から福音を毎週語る教会である。そこには日本で最高レベルの

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