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#猫
『方舟を燃やす』(角田光代・新潮社)
人気作家の新しい作品を、珍しく読みたくなった。425頁まで本文があって、税込みでも2000円を切るのは、いまどき割安な量かもしれない。もちろん、長さが作品の質を決めることはない。本作は非常に読みやすい。引っかかるところもないし、たどたどしく読み直すようなところもない。これは流行作家にとり有利な特徴である。
とはいえ、読み手によるかもしれない。私はこの作品の中にある話題の多くにコミットしていたの
『ルドルフとイッパイアッテナ』(斉藤洋作・杉浦範茂絵・講談社)
本書は、講談社の児童文学新人賞で入賞した作品なのだそうである。この点についてのエピソードは、「あとがき」に面白く書かれていて、私は全部読んでそこを見たものだから、くすくす笑いがしばらく止まらなかった。
ルドルフは猫である。「プロローグ」で、自分は字が書ける、と語り始めている。この辺りから、きっと子ども心を掴むだろう。彼の手記がこれなのだそうだが、すぐに話に入ってゆく。魚屋からししゃもを(本人も