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たぶんショートショート「同窓会」
今日は30年振りの同窓会。
小規模ではあるが楽しみだ。
会場に着くと私以外の全員が既に待っていた。
「はやかったな」
「もっとゆっくりでもよかったのに」
みんなは思い思いの言葉をかけてくれた。
私は「長いこと待たせたね」と泣きながら答えた。
「なに泣いてんだよー」
とみんなには少し馬鹿にされた。
昔のことを思い出し、また泣いてしまった。
みんなと会うのは30年振り
みんなが事故で亡くな
たぶんショートショート「提案」
私の前に天使と悪魔と名乗る2人が現れた。
悪魔は言う。
「あなたの伴侶の病気を治しましょう。ただし、10年後にあなたの魂をいただきます。」
天使は言う。
「あなたの伴侶の病気を治しましょう。ただし、あなたは永遠に死ぬことができなくなります。」
私は迷うことなく天使の提案を受け入れた。
伴侶の病状はみるみる良くなり、無事退院。
その後、子供にも恵まれ楽しい生活を歩んだ。
その楽しかった生活
たぶんショートショート「結末」
不健康な人がいました。
自分の不健康さに嫌気がさし、更に不健康になることを決めました。
体に悪いとされている食べ物だけを摂って生活しました。
不健康な人はもっと不健康な人になりました。
不健康な人がいました。
自分の不健康さに嫌気がさし、健康に気を遣うようになりました。
体に良いとされている食べ物だけを摂って生活しました。
不健康な人はもっと不健康な人になりました。
たぶんショートショート「日曜日」
私には毎週憂鬱になる日がある。
その日が悪いわけではない。
働く日が決められていることが悪いのか。
休みの日が決められていることが悪いのか。
働く日を決めた者が悪いのか。
休みの日を決めた者が悪いのか。
働くということが悪いのか。
休むということが悪いのか。
私が憂鬱になるのが悪いのか。
その日が悪いのか。
悪という概念が悪いのか。
たぶんショートショート「砂糖」
次の中から、1つ好きなものを選択してください。
・稲穂
・味噌汁
・ボールペン
・フライパン
・紅茶
・炭酸
・瓶
次の中から、上記で選択した言葉と繋がるものを選択してください。
・おにぎり
・コーラ
・蝉
・リムジン
・キャンパス
・パンケーキ
・バイク
・青汁
次の中から、上記で選択した言葉と繋がるものを選択してください。
・苦い
・遅い
・小さい
・赤色
・早い
・大きい
・白色
・甘い
たぶんショートショート「平和」
地球に神が突如として現れた。
神はこの世に生けるものすべてに直接語り掛けた。
「この地球のために1つだけ願いを叶えよう」
ある1人の人間が最初に神に願った。
「争いのない平和な世界にしてください」
ほぼすべての人間が平和を願った人間に賛辞を贈った。
神は答えた。
「その願い、叶えよう」
次の瞬間、地球に大きな隕石が衝突し、地球は滅びた。
父のやることはいつも唐突だ。
たぶんショートショート「機上の空論」
私は飛行機のパイロットをしている。
飛行機を操縦しているときに様々なことを妄想してしまう。
今、勝手に変な方向に舵を切ったらどうなってしまうのだろうか。
着陸するときに、着陸せずそのまま飛び立ったたらどうなってしまうのだろうか。
東京タワーに激突したらどうなってしまうのだろうか。
このまま真上に進んでいったらどうなってしまうのだろうか。
今想像しているのは、どうやったら空港まで安全に飛行出来
たぶんショートショート「矛盾」
“幸せ”という言葉は“不幸せ”を生む。
たぶんショートショート「一敗だけ」
私は負けたことがない。
生まれた瞬間から私は勝っていた。
裕福な家庭に生まれ、金銭面で困ることはなかった。
受験という受験も全て希望通りに合格。
小中校では常に学年1位。
大学も首席で卒業。
勉学だけではない。
小学校から大学では野球をしていた。
全ての大会でも優勝した。
スカウトもされていた。
父親の会社を継ぎ、業績も順調に伸ばしていった。
大学からの友人と結婚し、子供も授かり、
家族
たぶんショートショート「嘘つき」
3流の噓つきは嘘を嘘で覆い隠そうとする。
結果的に嘘が大きくなりすぎてバレてしまう。
2流の嘘つきは嘘を真実で覆い隠そうとする。
いくら真実で覆い隠しても、真実を抜けた先には嘘しかない。
真実を追うものには結局バレてしまう。
1流の噓つきは嘘を現実のものにする。
嘘ではなくしてしまう。
超1流の噓つきは嘘を知らない。
たぶんショートショート「天国まで1002m」
歩く歩く歩く…
起きたら道の途中にいた。
周りには何もない。
あるのは道と看板だけ。
看板には「天国まで1002m」
なるほど。
それにしても、なんと中途半端な距離の看板だ。
私は看板が指し示す方向へ歩き出した。
気が狂いそうになる。
周りには何もなく、風景すらない。
ただ真っ白な世界。
道以外に何もない。
本当に進んでいるのか、それさえ分からない。
ただ、疲れや人間的欲求はない。
だからこ
たぶんショートショート「おじさんタイムトラベラー」
仕事が終わりネクタイを緩め、コンビニでご飯を買い自宅へ帰る。
すると、知らないおじさんが私の部屋で、
目と口をガムテープで止められた状態で縛られていた。
私は迷った。
これは、助けてあげるべきなのか。
それとも、助けを呼ぶべきなのか。
このおじさんを助けてあげるべきでもあるが、
私も何かの事件に巻き込まれている可能性もある。
先ずは、この縛られているおじさんから話を聞くことにした。
目と口の
たぶんショートショート「ダサい」
居酒屋にて。
カウンターで立ちながら日本酒を飲んでいた。
別に何も考えてはいない。
このお店が好きだから入った訳でもない。
そこにあったから入っただけ。
ただ、それだけ。
対面に胸元がざっくり開けたシャツを着た男が女性連れで現れた。
インナーは何も着ていないため、ざっくりと開いたシャツの先は素肌だった。
正直、男の素肌なんて見えたら見えただけ不快だ。ハーフパンツで足が見えているのもうざったい。