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連載小説。①仮題:「網代裕介」
(今書いています。
具合もよくなってまいりました。イントロダクション、読んでね)
「網代裕介」
以前は夫がいて、黄色いセキセイインコとトラ柄のメスの猫の世話をしながら暮らしていた。
空気は黄色っぽくて、少し濁る。性格の明るいインコの鳴き声や食器と食器のぶつかる音、夫の背中の向こうのテレビからゲーム音楽が流れている…私の暮らしだ。通学路のような日常的なもの。怖さなどないはずの暮らし。けれど
君がいて僕は嬉しい②
クリーム色のシーツの掛けられた広いベッド、アンティークな水色の3人掛けのソファ、白っぽい木製の背の高い本棚、小さなテーブルと2客の椅子…が静かに、落ち着いて置かれている。部屋は生まれたての赤ちゃんのように明るい。まるで明るい光が今にもあふれ出しそうなのだ。壁際に置かれたベッドの上の方に窓があり、水色の空が映る。空間がそこだけ裂けているようにも見える。
この部屋のように私も落ち着いている。それな
君がいて僕は嬉しい①
寝ていたら起こされたという感じだ。とても明るい、気持ちのいいところで目覚めた。目を開けるととても真剣な表情の佐伯君が立っていた。
「あら?」
「起きた?おそらくずいぶん長く寝ていたんだよ。気分はどう?」
「それが…ちょっと信じられないくらい気分がいいの。端的に言って気持ちいい。びっくりだわ。だってね、私気分がよかったことなんて生まれてから1度もなかったんだもの」
「それは…寝ているときも?」
「わ