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「CHROになる人」と「人事労務部長で止まる人」の5つの違い~信頼できる柱が欲しい経営者のための『プロパーCHRO』の育て方Vol:5~

こんにちは。株式会社シンシア・ハート代表の堀内猛志(takenoko1220)です。
このシリーズでは、「信頼できる柱が欲しい経営者のための『プロパーCHRO』の育て方」について、50名から4000名まで成長した企業で、各ステージの人事組織戦略の遂行に人事役員として奔走した自身の経験をもとに、人事トップになるために実行したことや、意識していたマインド、経営や現場とのコミュニケーションのtipsなどをお伝えしていきます。

私の経歴詳細は以下からご確認ください。

それでは、今回のアジェンダです。
今回は「CHROになる人」と「人事労務部長で止まる人」の5つの違いを解説します。エージェントとして様々な候補者様とお話しすると、経験やスキルは問題ないけど、この人はおそらくCHROとしては受からないだろうと思うもったいない人がいらっしゃいます。一言で言うと人物面の懸念なのですが、この人物面という抽象度の高い言葉を分解したいと思います。


経験×スキル×マインド×年齢のバランス

CHRO候補として採用される方は、経験、スキル、マインド、年齢がバッチリはまることを採用企業は期待しているのですが、これがなかなか難しいわけです。

特に、CHROとしての経験、スキルを持っている方は必然的に年齢が上がってしまうのですが、年齢の上昇と共にマインドが守りに入っている人が増えます。

スタートアップは経営者が信じられないスピードで成長するので、それに合わせて事業や組織も成長させる必要があり、その組織成長を加速させることをミッションとするCHROは経営者と同等のスピードで成長することが求められます。

つまり、経験、スキルを有していても、成長意欲に陰りが見えてきていて、伸びしろが天井を迎えている人だと厳しいわけです。

これは年齢が上だとダメだということではなく、いくつになっても「『若々しさ』や『みずみずしさ』を保っていられるか」ということがポイントになります。事実、60歳、70歳になってもパワフルな経営者は20代よりも若々しく、みずみずしいですよね。ということは、実質の年齢ではなく、精神年齢や、肉体年齢をいかに若く保てるか、ということがポイントになるわけです。

この『若々しい』『みずみずしい』を分解すると以下のようになると考えます。

①瞬発力
②体力
③アピアランス
④環境調整力
⑤主人公感

ひとつずつ解説します。

①瞬発力

小さい子どもを想像して欲しいのですが、新しいことを始めることにキラキラしていますし、何かを始める時にはダッシュでそこに向かいますよね。これをいくつになってもできているかということです。

経験が増えると自分の専門性がわかってきます。それは良い面ですが、悪い面として、自分の不得意な領域を実行するのに腰が重くなります。責任者として全部を自分でやる必要はありません。できる人を見つけてアサインすればいいわけですが、業務上、セカンドとショートの間に落ちそうなボールを瞬発的に取ろうとするかどうかが分かれ道になると思います。

主体性ともとれますが、それは前提で瞬時に行動を起こせるか、反射的に「それは私がやります」と手を挙げられるか、ということがポイントです。主体的な人でも腰が重い人は「しょうがない、誰もいないなら私がやりましょう」みたいな感じになります。この差は、自分の背中を任せていいかを考える経営者にとっては激しく違うわけです。後者の人はできる限り省エネで済まそうとしているので穴が起きそうなんですよね。そして実際にエラーを起こします。それが怖いから任せられないわけです。

特にスタートアップの役員は、執行を兼ねることが多いでしょうし、業務もきちんと整理されているわけではなく、様々なボールを拾う必要があります。CHROのポジションを求めているのにボールを拾うことに一瞬でも怪訝な表情をされる人は「あ、この人では難しいな」と判断されます。

②体力

忙しい経営者ほどきちんと運動をしたり、食事を考えたりして体力を保っています。①の瞬発力は精神的な部分と肉体的な部分があり、いくら精神を若々しく保とうとしても、肉体的に辛いと感じることを精神力で頑張るのは不可能です。

24時間働く時代は終わりましたが、経営者は時間や曜日に関係なく業務は発生します。そのような働き方を年齢のせいでできないと思っている人に経営の一角を任せるのは難しいでしょう。

健全な精神は健全な肉体に宿ります。自分の体力の維持向上にきちんと時間を使っていない人は、いくら能力が高くてもどこかで企業の成長スピードについていけなくなりバテます。

ちなみに、どのステージや規模になっても経営者は体力が必要です。自分の体力や瞬発力が衰えていることを自覚している人ほど、アーリーステージの働き方は難しいのでシリーズB以上がいい、300名以上で仕組みが整っている方がいい、という希望を仰いますが、メンバークラスならともかく、経営者はどのステージでもめちゃくちゃ働くし、仕組みがあっても色んなボールを拾うものなのです。

③アピアランス

最近は美容や肌に気を遣う経営者が増えてきたように思いますが、めちゃくちゃ大事だと思います。組織を若く保つためには、若い人材の採用を絶えず行う必要がありますが、若い人材が惹かれるのは若い人材なのです。

経験豊富なミドルやシニアの力は必要です。しかし、人間は共通点を求めるものです。年配者と思われた時点で若者は一線を引きます。実質年齢に抗うことは不可能ですが、見た目年齢に抗うことは可能です。高額なサービスを扱う人は老けて見えることも大事だったりしますが、若者の採用に必要なのは間違いなく若さです。

見た目の若さ=アピアラスを保つために必要なのは、肌つや、体系、髪型、服装、など、自分の努力次第でできることばかりです。肌荒れしている人、太っている人、清潔感がない人、ダサい人、これは誰でも近づきたいとは思えないわけです。特にCHROは人前に出て、その企業の代表者として話すことが多いので、アピアランスに気を遣えているか、ということは、代表として表に立つマインドがあるか、ということを判断する材料にもなります。

④環境調整力

若いころと違い、年齢と共に自分だけの人生ではなく、家族の人生を背負うようになります。パートナーのケア、子どもの世話、親の介護、などなど、自分自身の時間だけに投資できないようなファクターが増えてきます。

それに伴って、住む場所、働く時間に制限がかかり、会社にそれを容認するような条件を求めてくる人が増えますが、年齢と共にそういう状況になるのは皆同じです。ゆえに、相手(会社)に調整を求めるのではなく、自分自身で調整できるのかが大事な能力になります。

環境調整も大事なマネジメント力です。仕事の業務に関してはお金、時間、ツールなどのリソースを駆使してマネジメントができるのに、プライベートは全くできないなんて理由になりません。

当然、業務と違って自分がやらないといけない家庭の業務もあるでしょう。しかし、大事なのはHOWではなくWHYです。物理的に自分の時間を増やすことよりも、パートナーや子どもが自分のことを大切にしてくれていると感じているかどうかが大事です。そこをマネジメントせずに、「妻が」「子どもが」「親が」と言ってしまう人に経営をマネジメントできるわけがありません。

ただし、これは定常運転の話をしています。家族が重い病気になったなど、有事の際には100%家族に時間を使うのは大事です。そこは経営者も理解してくれるので、定常運転の際の自分の環境調整というマネジメント力を磨く努力を怠らないようにしましょう。

⑤主人公感

さて、最後に大事なのは「主人公感」です。自分の人生は間違いなく自分のものです。自分の人生の主人公として冒険をしていると思うと、ゴールに向かって走る日々は、どんなハードルがあっても楽しいはずです。

まさにジャンプの主人公のようなイメージですね。どんな強敵が来ようが諦めずに最後には勝つという感じ。そして、少年期が終わっても青年期、そして壮年期、、、と時間を経ても新しい冒険をしているキャラクターが多いように、いつまでも自分の人生に期待とワクワクを持っているかは、若々しく、みずみずしく生きるうえで必要不可欠です。

人間は小さい頃は皆そのような主人公に憧れるのに、いつしか他人の人生の脇役に甘んじる人が増えてきます。組織にいて、経営者を支えるという立場の時は脇役になる場面もあるのですが、自分の人生の主役は間違いなく自分自身です。

組織に染まる中で脇役が板についてしまった人に、新しく、チャレンジングで、リスクを伴うプロジェクトのリーダー(主人公)を任せるのは怖いですよね。その人はどこかで主人公(経営者や上司)が何とかしてくれると思っていそうですから。

CHROは人と組織というプロジェクトの主人公です。その想いを忘れた人は冒険する気持ちをなくしています。冒険したい気持ちを忘れた主人公のストーリーを見たいですか?興味ないですよね。つまり、CHROを任せようとしている人に主人公感がない人にはワクワクしないし、そんなストーリーは見たくないから採用しないのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は「CHROになる人」と「人事労務部長で止まる人」の5つの違いについて解説しました。

昔は人事はオペレーションだと考えられていたので、人事労務部や人事総務部というオペレーション機能が名称にもついていました。そういう組織を任された責任者は今回のnoteで解説したようなマインドは必要ないかもしれません。

一方で、現在は人の価値が上がっている時代です。ゆえに、戦略人事や人的資本という言葉が生まれ、人事労務部長や人事総務部長ではなく、経営の一角としてのCHROが求められています。

私が面談をする人の中でも人事労務部長はできてもCHROは難しい人が多いため、その違いは何か、ということを分解し解説してみました。

CHROを目指しているが、上記の5つの要素に対して不安を持つ人は、是非、自分自身を若々しく、みずみずしく保つための自己研鑽を実行してみてください。そして、採用側、育成側の経営者は、この要素を見極め、高めるために取り組んでみてください。

より詳しい内容が知りたい、自社で人事責任者を採用したい、育てたいがうまくいかない、という経営者の方はご連絡をください。CHRO採用とCHRO開発を承っています。
takenoko1220

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