TAIPHA

2023/4 noteを開始しました。 気ままに音楽をかけながら一人語りするPodca…

TAIPHA

2023/4 noteを開始しました。 気ままに音楽をかけながら一人語りするPodcast番組を配信中 | ゲイ(closet)| Twitter→taipha_jp

記事一覧

先輩 – DAY3 + あとがき

DAY 3 10代の頃に比べて吃逆が出る頻度や場面は ずいぶんと減ったと思う ただ最近は 酒の割りもの用に購入したペットボトルの強炭酸を割らずに飲むと 必ず一口目か二口目…

TAIPHA
3か月前
16

先輩 – DAY2

DAY 2 幸先よく週明けに泳いだかと思えばもう週末だ 本格的に減量に取り組もうと意気込んだ今週も数字としては2回 わたしは自分にとことん甘い 今日は水が淀んでいる気が…

TAIPHA
4か月前
9

先輩 – 序章〜DAY1

1月が2週もすぎた頃 わたしは規則正しく整列するネイビーとスカイブルーの長方形の上に浮かんでいた 水を掻いでは 枠の中に綺麗な無数の水泡が表れては消えていく ただ…

TAIPHA
4か月前
11

『うっかり八兵衛』 + あとがき

小学校にあがるまでのあだ名は「うっかり八兵衛」だ。 父がよくそう呼んでいた。 私は悪口を言われるのと同じような感覚でその言葉が嫌いだった。 週末は家族全員で車で…

TAIPHA
1年前
39

『しあわせもの』

時々、心に雨が降る。 今となって思うのは あのとき、もっと考えて彼の世界を守ってあげるべきだったということ。 4番目の弟に家を出ると伝えた時、彼は声を出さずに泣い…

TAIPHA
1年前
26

『Piercing』

ピアスを開けようと思った。 そう思ったのは中学のころ以来だ。 きっかけは2ndアルバムのリリースに際し、某アーティストが移住先のロンドンから配信を行ったことだった…

TAIPHA
1年前
25
先輩 – DAY3 + あとがき

先輩 – DAY3 + あとがき

DAY 3
10代の頃に比べて吃逆が出る頻度や場面は
ずいぶんと減ったと思う

ただ最近は
酒の割りもの用に購入したペットボトルの強炭酸を割らずに飲むと
必ず一口目か二口目で吃逆が出る

『吃逆にはおまじない』

14歳のときにシノサキ先輩に教えてもらった
おまじないの話をラジオでしてから
頻繁にそれを使うようになった

そのせいもあってだろうか
どうやら最近、その効力も失いつつあるらしい
効き目

もっとみる
先輩 – DAY2

先輩 – DAY2

DAY 2

幸先よく週明けに泳いだかと思えばもう週末だ
本格的に減量に取り組もうと意気込んだ今週も数字としては2回
わたしは自分にとことん甘い

今日は水が淀んでいる気がするタイルも前回ほどキラキラとしていないように思う

淀んでいるといえばあの頃
シノサキ先輩を思い出せば必然的にあの頃に引き戻され
嫌でもチームメイトや学校生活を思い出さざるを得ない

入学式から気になった同級生のムライ
軽蔑さ

もっとみる
先輩 – 序章〜DAY1

先輩 – 序章〜DAY1

1月が2週もすぎた頃

わたしは規則正しく整列するネイビーとスカイブルーの長方形の上に浮かんでいた

水を掻いでは
枠の中に綺麗な無数の水泡が表れては消えていく

ただそれを繰り返しながら
意識的に無心になろうとしていた

運動をすれば無心になってストレス解消にもなるという言葉とは裏腹に
気づけば職場にいる嫌な人間のことを考えて
すぐに引き込まれるからだ

そうしながら考えを巡らせて、新たな年に彩

もっとみる
『うっかり八兵衛』 + あとがき

『うっかり八兵衛』 + あとがき

小学校にあがるまでのあだ名は「うっかり八兵衛」だ。

父がよくそう呼んでいた。

私は悪口を言われるのと同じような感覚でその言葉が嫌いだった。

週末は家族全員で車でよく遠出をしていた。

ある日、私と弟を前に「このアメ玉を最後まで残した人が勝ち、勝ったら好きなものをなんでも買ってやる」と父が言った。

口に入れながらも歯と歯でアメを挟み、なんとか唾液に当たらないようにむしろ吸う息でアメを乾かすよ

もっとみる
『しあわせもの』

『しあわせもの』

時々、心に雨が降る。

今となって思うのは
あのとき、もっと考えて彼の世界を守ってあげるべきだったということ。

4番目の弟に家を出ると伝えた時、彼は声を出さずに泣いた。

気がつかえる人間であれば伝え方もあっただろうが私は当たり前のように言葉を発したあと、その反応を見て事の重大さに気づいた。

「家を出るのは辞めにする」と訂正することもできず、9歳のその小さな体を抱きしめた。

また帰ってくるか

もっとみる
『Piercing』

『Piercing』

ピアスを開けようと思った。

そう思ったのは中学のころ以来だ。

きっかけは2ndアルバムのリリースに際し、某アーティストが移住先のロンドンから配信を行ったことだった。

彼がピアスを開けた。

近況の発信でその事を知った時、
不思議と自分にもその時がきたと思った。

そして、そう決めた後でようやく私は “私” という人格に少し近づけるような気がしていた。

それから、遅すぎる“親離れ”かも知れな

もっとみる