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【要約】『ダークサイド・スキル』

木村 尚敬 (2017) さんの『ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技』(日本経済新聞出版)を読みました!

著者の木村さんは、ベンチャー企業経営や事業戦略策定、経営管理体制の構築など、様々な運営活動をおこなっている方です。

本書はその経験や、有名企業の成功例や失敗例をもとに、ダークサイド・スキルと呼ばれるミドルリーダー課長や部長といった中間管理職)のための能力について書かれています。

今回はそんな本書の、僕が重要だと思った部分をいくつか紹介したいと思います。

この本はこのような方にオススメ

  • 中間管理職に務めている・務める予定

  • 革新的な企業で働きたい

  • 奔放な部下に困っている

ダークサイド・スキルとは?

まずはダークサイド・スキルとは何かを説明しましょう。
ダークサイドと聞くと、悪い人のようなイメージが浮かんでしまいますよね。
しかし、ここでいうダークサイドはそのような意味ではなく、明示的に求められてこなかったもののことを指します。
つまりダークサイド・スキルとは、本当は必要なんだけど、表立って求められてこなかった能力のことなのです。

本書ではダークサイド・スキルについて、反対の能力であるブライトサイド・スキルと対比させて紹介しています。
ブライトサイド・スキルとは明確に企業から求められている能力のことです。

わかりやすいように具体例を挙げましょう。

ブライトサイド・スキルとは、

  • 論理的思考力

  • 財務会計知識・スキル

  • プレゼンテーション力

  • 資料作成スキル

一方でダークサイドスキルとは、

  • 人や組織に影響を与え、動かす力

  • 空気を支配する力

  • 人を正しく見極める力

  • 厳しい意思決定を断行できる力

といったことが含まれます。

もちろんブライトサイド・スキルも基礎能力として必要です。
しかし、企業や組織を動かすにはブライトサイド・スキルだけでは足りません
そこで必要になるのがダークサイド・スキルというわけです。


ダークサイド・スキル

それでは以下ではダークサイド・スキルはどのようにして発揮するのかをご説明します。
もちろん本書で書かれている内容すべてをご紹介することはできませんが、僕が重要だと思った点をいくつか述べていこうと思います。

①上司を操る

上記で述べたとおり、ダークサイド・スキルとはミドルリーダーのための能力です。
そのため、ダークサイド・スキルが求められる環境は、「上司、あなた、部下の三層で大きく構成されています
この節では、まず上司に焦点を当てます。

ここで重要なことは、上司であってもすべてが見えているわけではない、ということです。
むしろミドルや部下のほうが上司より詳しい要素もあります。

つまり、組織の意思決定を上司だけの判断に任せるのは危険なのです。

では、どうすればいいのか?
答えは単純です。
勇気をもってミドルであるあなたが上司に進言すればいいのです。

上司に命じられたことに限界がある場合は無理だと、上司の意思決定が悪手である場合はダメだと申し上げるのです。

ここで重要なのが、上司に進言することと弱音を吐くこととではまったく異なるということです。
ミドルに求められるのは、現状を正しく把握し、組織が成長する、あるいは生き残る方法を上司に伝えるダークサイド・スキルなのです。


②KYな部下を育てる

KYってもう死語なんですかね?
KYとは「KYめない」の略で、雰囲気や状況を踏まえた言動ができない、相手の気持ちなどを汲めない様子のことをいいます。

そんなKYな部下を育てるなんて、組織にとってマイナスなのではないか?
組織の秩序が乱れてしまうのではないか?
と思ってしまいますよね。

ところがKYは組織の多様性を繰り広げるのに大いに貢献します。
なぜならば、KYの人は堂々とほかとは異なった意見を言うことができ、思わずイエスと言ってしまいそうな場面でも明確にノーと言えるからです。

多様性は組織の技術やサービスの革新イノベーションに役立ちます
多様化しておらず、組織全員が同じような小さな集団からは、いつも変わり映えのない意見やアイデアしか生まれません。
かといって単に色々な人がいたとしても、全体が共通して同意する意見もまたありきたりな発想から出ません。
ところが、KYな人はそのような全体の共通項などを考慮することを重視しないため、ほかの人が思いつかないような提案をすることができます。

つまり、真の多様性とはニッチな部分も認められることであり、KYな人は未開拓の領域を掘り下げることによって、真の多様性を実現することができるのです。

さらに、KYな部下はあなたの欠点を指摘してくれます
部下から指摘されるのは気に食わないかもしれませんが、部下にしか気づけないあなたの欠点があるのは事実です。
あなたにはそれを自覚し、指摘を受け入れ、欠点を克服する必要があります。

このようなKYな部下を育てるには、あなたが部下に対してあれこれ言わないことが重要です。
というのも、あなたが部下にあれやこれやと指示や答えを提示すると、部下はあなたの手や足になります。
こう言うと聞こえは良いかもしれませんが、それは組織の同質化を手伝うことになり、多様性から遠のく事態になってしまいます。

そのため、あなたは部下に対して主体性を身につけさせなければならないのです。
方法としては単純で、「○○さんはどう思う?」と尋ねるのです。
つまり、自分の頭で考えさせるのです。

しかし理屈ではわかっていても、実際にやろうとすると非常に困難でしょう。
人は思わず、早く作業などを終わらせるために、すぐに答えを言ったり指示したりしたくなってしまいます。
そこをぐっとこらえるのが、ミドルの最大の役割の一つなのです。

また、あなた自身がKYになることも重要です。
部下にKYになることを求めても、あなたが上司に従順だったら意味がないでしょう。
部下はあなたの姿を見て、それを取り入れて成長するからです。
あなたが従順だと、部下は従順じゃないといけないんだと思ってしまいます。
しかし、あなた自身がKYであれば、部下もKYでいいんだと思ってくれるでしょう。


③裏の人脈を作る

通常の人脈というと、自分の部下や上司といった、直接的な繋がりを思い浮かべるでしょう。
ダークサイド・スキルでは、もちろんこの関係も重要ですが、直接以外の関係も重要になります。

たとえば、部下の部下である平社員だったり、別部署の上司、そのほかにも社外の友人や同業者とも関係を結んでおくことが重要です。
なぜならば、本来自分と関わりの薄いところと関わることによって、情報収集が効率良くおこなえるからです。

たとえば、「あのプロジェクトって、今どんな感じ?」と尋ねることによって、組織の抹消ではどのように動いているのかを把握することができます。
そのほかにも、「ここはこうすべきだ」と自分の欠点を教えてくれることもあります。

このような人脈を構築するには、積極的に動くしかありません。
少しの繋がりのある人ならば、一緒にランチに行くのがいいでしょう。
まったく新しい人脈を作るならば、食堂で勇気を出して誰かと相席する必要があります。
社外であれば、異業者勉強会などのイベントなどに参加するのがいいでしょう。


④嫌われる勇気

「嫌われる勇気」と聞くと、某自己啓発本を思い浮かべがちだと思いますが、ここでお伝えする内容はそれとあまり変わりません。

ミドルとして覚えておかなければならないことは、親しみやすさと敬意は両立しないということです。
そして、ミドルに求められるのは後者の敬意です。
つまり、ミドルには親しみやすさを捨てる勇気が必要なのです。

そもそも組織の運営を考えて意思決定をおこなえば、必ず部下から嫌われる状況が現れます。
しかし、親しみやすさを優先してしまうと、必要な意思決定ができなくなってしまいます。
そのため、親しみやすさは捨てなければならないのです。

その代わりにミドルに求められるのは敬意です。
あの人は少し冷たいけれど、やることはきちんとやるし、信用もできる」と思われなければならないのです。
そのためには、少し嫌われても動じない心が必要でしょう。

しかし、ドライになりすぎればいいものでもありません。
あなたはミドルとして部下を見る責任があります。
「いざとなったらこの人は守ってくれるだろう」と思わせることも重要です。
その加減が、なかなか難しいことかもしれませんが、言うべきことは言う言わないべきことは言わないを徹底することがコツでしょう。


⑤孤独な時間をもつ

部下や上司と関わるだけがミドルの仕事ではありません。
ミドルにも一人で振り返りや思索する時間が必要です。

これは趣味や娯楽の時間を作れということではなく、一人で考える時間を作るということです。

今はどこまでできていて、どこからができていないのか、などを目標に照らし合わせながら現状と向き合う。
そうしなければ、組織のめまぐるしい変化などに流されるばかりで、軸のある、ブレない自分を保つことができなくなってしまいます。

そのため、ミドルも孤独な時間を作ることが重要なのです。


まとめ

いかがだったでしょうか?
本書について、紹介できていないところはまだまだ多いです。
もっとダークサイド・スキルについて知りたい! という方は、ぜひ本書を手に取って読んでみてください!


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