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マシュマロ
2021年6月26日 07:28
窓を開けて寝ないと暑苦しくなって、夏がいつの間にか私のおでこまで忍び寄っていた事に驚いた渦を巻くような変わりやすい梅雨の天気は雨の反芻ばかりで神経が休まらず、新しい傘を買って何とか自分を宥めすかしているというのに夏至の日は夏至だ、と皆騒いでいて、自分の生活にまるで関係のなくなった夏至を、遥か昔の和歌を摘み取るようにそっとなぞったふと季節の証人になりたくなったあなたの前で浴衣が着たい
2021年6月22日 05:43
夏が来る、と思うと肩がぎゅっと固くなる自分が溶けて外気と一体化してしまう暑さを思うと気後れしてしまう投げやりになって足を投げ出したくなるような熱風は私をおののかせ、夏、という季節の有無を言わせぬ暴力性から逃げ出す算段をさせる夜気すら私を休ませず、朝が来ると太陽の恒常性にうんざりする季節アイスバーの四隅が直ぐに丸くなるから家までもたなくて、アスファルトの照り返しの中液体になったチョコレ
2021年6月17日 17:02
壊れてしまいそうだからそっと触れようと思ったのに壊れてしまいそうなのは私の方で、意外と強靭なあなたを羨望の目で眺める 人見知りだよと笑ったあなたは他人の目を幾つも盗んで平気な顔をするビオトープが欲しいくせに夏の似合わない格好をして、夏を脱ぎ去ったあなたは誰より秋の似合う顔をするあなたが大好きだという音楽は中庸で平和を奏で、混じり気のないあなたをますます好きになる丁寧すぎる隙のない敬
2021年5月9日 04:00
読みかけの漫画雑誌が床に転がってる。ベットから落ちたらしい。どうして漫画雑誌って転がるとああなるんだろう。くたっとなって、背表紙だけオットセイのように浮き上がって、数ページがうねって折れる。うんざりして床から拾い上げると、キラキラした男の子が目に入った。ああ、この子。既に読み終えていたので、その子の背景まで容易に頭に浮かべられる。その子は中学生の主人公が憧れている、隣りに住んで