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睡眠障害。脳卒中の原因でも, 結果でもある


📖 文献情報 と 抄録和訳

脳卒中の危険因子としての、またその結果としての睡眠障害:ナラティブレビュー

📕Mayer-Suess, Lukas, et al. "Sleep disorders as both risk factors for, and a consequence of, stroke: A narrative review." International Journal of Stroke 19.5 (2024): 490-498. https://doi.org/10.1177/17474930231212349
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[背景・目的] 睡眠障害は、脳卒中の危険因子として、また脳卒中の転帰を決定する因子としてますます重要視されている。睡眠障害は脳卒中そのものに続発することもある。本総説では、脳卒中に関連する様々な睡眠障害について述べ、それらが脳卒中のリスクと転帰に及ぼす影響を分析する。

[方法] 検索語に基づく文献レビュー(PubMedでは "睡眠"、"不眠症"、"ナルコレプシー"、"レストレスレッグス症候群"、"睡眠時周期性四肢運動"、"日中の過度の眠気 "と "脳卒中 "または "脳血管"、ClinicalTrials.govでは "脳卒中 "と "睡眠")を行った。1990年から2023年3月までの英文論文を対象とした。

[結果] 睡眠障害が脳卒中の危険因子であることを示唆するエビデンスが増加している。また、脳卒中患者の半数で睡眠障害が報告されている。

この図は、睡眠障害と脳卒中の関連性について説明している。

1. 脳卒中の危険因子としての睡眠障害
・睡眠障害は夜間のコルチゾール値の上昇、炎症の増加、自律神経機能の亢進、視床下部-下垂体-副腎系の活性化を引き起こす。
・これらの変化は、高血圧、糖尿病、動脈硬化、心房細動、血管の硬化といった心血管疾患(CVD)や脳卒中のリスクを高める。

2. 脳卒中の結果としての睡眠障害
・脳卒中後にはREM睡眠の減少、不眠症、睡眠関連呼吸障害(SRBD)、レストレスレッグス症候群(RLS)、概日リズム障害が見られる。
・これらの睡眠障害は、シナプス可塑性の低下、細胞外老廃物の除去機能の低下、機能回復の遅れ、生活の質の低下をもたらす。

[結論] 最近のガイドラインでは、脳卒中後の睡眠障害のスクリーニングが推奨されている。睡眠障害の治療が脳卒中リスクの低下と転帰の改善をもたらす可能性はあるが、臨床試験によるさらなるデータが必要である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

「その症状って、病前からのものですかね?それとも、発症後から生じたものですか?」

この疑問は、臨床上、しばしば遭遇する疑問だ。
例えば、大腿骨頚部骨折後の膝関節疼痛(PHFKP)が生じていた時。
その膝痛が病前より抱えていた症状か、それとも骨折後に新規発症したものかは聞いてみないと分からない。

今回の抄読論文によれば、脳卒中における睡眠障害にもその疑問が当てはまりそうだ。
しかも、睡眠障害は脳卒中発症の原因にもなるようで、鶏が先か、卵が先か、という議論になる。
何にせよ、脳卒中後の睡眠障害は、更なる脳卒中リスクの増大にもつながる問題なので、対応は必要だろう。
また、現在脳卒中を発症していなくとも、睡眠障害は脳卒中リスクを高めるので、ここにも対応が必要になろう。
睡眠障害を改善するためのリハビリテーション、課題だ。

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