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睡眠障害。運動科学の新たな大陸

📖 文献情報 と 抄録和訳

睡眠は運動科学の次のフロンティアか?

📕Fulk, George. "Is Sleep the Next Frontier in Movement Science?." Journal of Neurologic Physical Therapy 46.3 (2022): 187-188. https://doi.org/10.1097/NPT.0000000000000408
🔗 DOI, PubMed, Google Scholar

[レビュー概要]

▶︎睡眠不足は主要な健康上の懸念事項 & 疾患との関連
- 睡眠不足は、生活の質の低下と、死亡率の増加を含む多くの健康への悪影響と関連している(📕Lee, 2019 >>> doi.)。
- 睡眠障害は、一般の人々よりも神経障害のある人によく見られる。睡眠呼吸障害(Sleep disordered breathing: SDB)は脳卒中の危険因子であり、脳卒中患者の機能回復が低下する(📕Fulk, 2020 >>> doi.)。
- SDBは脊髄損傷(spinal cord injury: SCI)の人によく見られ、SCIの人の50%以上が不眠症の症状を報告している。SDBなどの睡眠障害は、むずむず脚症候群、レム睡眠行動障害、パーキンソン病(PD)、多発性硬化症(MS)の人々によく見られる非運動症状である。(※本文に文献あり)

▶︎潜在的な睡眠障害を特定するために使用できるスクリーニングツール
- 不眠症重症度指数(Insomnia Severity Index):📕Morin, 2011 >>> doi.
- 睡眠時無呼吸のSTOP-Bang質問票(The STOP-Bang questionnaire for sleep apnea):📕Chung, 2016 >>> doi.
- ケンブリッジホプキンスむずむず脚症候群質問票(Cambridge Hopkins Restless Leg Syndrome questionnaire):📕Allen, 2009 >>> doi.
- エプワース眠気尺度(The Epworth Sleepiness Scale):📕Mills, 2013 >>> doi.

▶︎理学療法士にとって重要なこと
- 運動と活動が、神経学的に無傷の人々の睡眠の質、無呼吸低呼吸指数、および主観的な睡眠の質を改善するように見えること(📕Kelley, 2017 >>> doi.)
- これらの所見は神経障害のある人では明確に確認されていませんが、運動と活動がPD、 SCI、MSの人の睡眠を改善できるという予備的な証拠がある
- 理学療法の介入は、私たちが気付いていない患者の健康にプラスの影響を及ぼしている可能性がある。
- 神経障害のある人の運動と活動の影響を調べる調査研究では、睡眠がメディエーターまたはモデレーターとしての役割を果たす可能性があるため、睡眠も考慮する必要がある(メディエーター、モデレーターについて知りたい方は以下note参照)。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

徳は眠った後では一層爽やかに起き上がる
ニーチェ

衣食住があって、なぜここに睡眠が入らないのだろう。
「なんか今日は調子が悪いな」と思ったとき、必ず「睡眠不足かしら」と思わないか。
人間の調子の船、その船頭は『睡眠』だと思う。
患者さんからの訴えにおいて、圧倒的No.1は「食事」だ。
そして、それに次ぐ2位は「睡眠」だろうと思う。

「昨日寝れなくてさ」
「この病気になってから全然寝られなくて」
「薬変えたら、寝れなくなった」
「隣の人のいびきが・・・」

病棟の質を上げることは、多分、思ったより難しくないのかもしれない。
No.1の「食事」とNo.2の「睡眠」の質を高めることに、全振りすればいいんじゃないかと思っている。
ただ、いろんなインフラを整備するには、一筋縄にはいかない。
今できること、それを考えたい。
まず第一に、セラピスト(or 看護師)が睡眠状態をスクリーニングして、医師へ報告するというループを作ること。
これができれば、医師による調剤や看護師による部屋の調整などが叶うかもしれない。
そして第二に、委員会の設置。
転倒予防チームや低栄養チームなどと並列の委員会として「睡眠の質を高める」チームをつくればいい。
それができれば、単なる報告ループより、もっと影響力が強まるだろうし、インフラの整備も進むかもしれない。

健康に良いことはだいたい嫌われるものだが、
人が唯一好むものがある。
それは、心地よい夜の眠りだ

E.W. ハウ(20世紀初頭の米小説家、新聞編集者)

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