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青空の下で奴から離れ君に会う日は来るか?
晴れ渡った青空は俺にとってこんなにも呪わしい。しかし、お前が死ぬ日が来るならこんな風にあたたかで気持ちの良い日であって欲しい。そう思いながらまた俺は死ぬ。これも、もう昔の記憶だ。
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六度目の俺は猫であった。名前はクロである。由来はもちろん黒猫だからだ。名前はあっても誰かに飼われている猫ではない。そのへんの爺婆や子供に適当にエサをもらって生きている。俺はもはや猫であるので、人間のようにたっ
ケルトの魔弾 #逆噴射小説大賞2023参加作品
題名:ケルトの魔弾
妹が殺されたのはハロウィンの夜、裸体の腹がさかれていた。額にはケルト文字で呪いときざまれている。私は成人すると警察に入隊した。
「……タイキ……セヨ……」
骨伝導イヤホンマイクは聞き取りにくい。警察用の簡易エスペラントでも、ノイズで消えそうだ。
足下に小指ほどの火蜥蜴が私の落としたタバコの火を吸っている。大きくなれば厄介だが、今は見逃す。
(ハロウィンの夜よ、魔
アイ・オブ・ザ・タイガー
「あっちだ!あっち!」「どこだ!見えんぞ!」「向こうにもいる!」マレーシアのジャングル奥地、小さな高床式の動物観察小屋ブンブン。その内から弱々しい懐中電灯の光と三人の男の怒鳴り声が響く。
男達はいずれも高名な名士である。常ならばこの様な粗末な小屋の中で虎の恐怖に怯えている様な立場の人間では無い。
一人目の男イライジャ。
アメリカ、ウォール街にて証券会社を営む社長。彼は日毎に何万ドルを稼ぎ、
平等院鳳子を殺せない
鱈野エビスは息を呑んだ。
横断歩道の向こう。桜並木に一人の少女が佇んでいる。桜舞う春の風に吹かれながら、少女の髪は艶めいて見えた。その凛とした佇まいは神々しく、畏敬の念すら抱かせる。
平等院鳳子。
私立夢殿学園のアイドル……いや、カリスマ。
エビスは高鳴る胸を押さえた。チャンスだ。ようやく二人きりになれる。下校時のこのタイミング。今なら鳳子の取り巻きはいない……だから。
やつを、殺せ
おかみ様の遣わすもの
朝起きたらスマホが充電できていなかった。
ケーブルを差し直しても再起動してもダメだった。残りのバッテリーは三十三パーセント。結構ヤバい。
「お母さん、スマホ充電できないんだけど」
「ウソ、あんた今日リモート授業あるでしょ。越島まで修理に行かんとあかんじゃん」
「えー、ダル……」
愚痴っても仕方がない。先生に欠席を連絡し、出かける支度をした。
「行ってきまーす」
いってらっしゃーい、