ベンジャミン四畳半

チンチラではない人間。

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    • 短編小説

      ジャンルがよくわからない短編小説です。あなたの脳をこねる。

    • グッドミュージック&グッドフード

      好きなMVや美味しい食べ物などの記事です。楽しくなってください。

    • 逆噴射小説大賞2021用に書いた話

      逆噴射小説大賞2021用に書いた話です。精神のチンチラ、はねられた悪魔、そして月には事故物件です。

    • 逆噴射小説大賞2020用に書いた話

      逆噴射小説大賞2020用に書いた話です。

    • 全身改造人間キシワダ

      連続SF小説 キシワダには自分が先生によって全身を改造されたこと以外、何もわからない。 半分にちぎれた親友ニシの言葉を信じて戦い続けるほかない。 改造される前の自分もこれからの自分もなにもわからない。

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    2022年書いたものをまとめた記事

    2022年ももう終わりですが皆様はどうお過ごしでしょうか?私は宝塚にはまったので宙組のFLY WITH MEを観ながらこれを書いております。 今年はいろいろと短編を書いたので書いた順番にまとめてみました。 1月31日 悪魔をはねても物損事故(特盛) 21年の逆噴射小説大賞に出したものを完結させました。これはすごく気に入ってくれた方がいたのが嬉しかったです。大半を湯河原の旅館でだらだらしながら書いてハッピーでした。 ここの二泊三日原稿プランは最高です。ごはん美味いし。温泉

      • 往生!月面コンビニ事故物件 #パルプアドベントカレンダー2022

        月に人間が住みだした経緯についてはWikipediaでも見てほしい。そこには住みだしたものの月の不便さにあっという間に過疎った経緯も書かれているはずだ。 デイリーヤマギシ モスクワの海店は今日も客がこない。その上、事故物件なので出る。 今だってヘルメットの残骸を頭に引っかけた黒焦げの人影が店の中をうろうろしている。 ほんの数年前、ここモスクワの海にポリミテ星人の船が軌道計算の誤りで墜落した。もちろん乗員は即死だ。墜落現場のクレーターを含む土地は安く買い上げられて日系人の居住

        • 【告知】最速ののれん【ダウンロード販売】

          22.11.20の文学フリマ東京35の新刊をダウンロード販売します! 今回は本のお値段<送料になってしまう関係でダウンロード販売のみとしました。もし紙版が欲しいよって方がいらっしゃいましたら、ツイッター(@ShiDa4643)のDMにご連絡いただければ個別に対応したいと思います。 よろしくお願いいたします!!

          • 最速ののれん【文学フリマ東京35告知】

            文学フリマ東京35に参加します! 日にち:22年11月20日(日) 場所:東京流通センター ブース番号:G-8(第一展示場) サークル名:うそチンチラ軒 新刊あります 新刊:最速ののれん God speed A6判/30p/300円 表紙イラスト:カラテ屋てんさん あらすじ 銀色筋肉の美しき異形が人類にハマグリラーメンを振る舞いまくる! ハマグリラーメンの味に狂わされ人類の文明は崩壊を迎えようとしていた。 もう一度ラーメンを味わうためにすべてを捨てた男、片岡は再びハマ

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            ねずみのひかり

            テンダンに友はいない。五年も一緒に仕事をしていた友達はあっさりとテンダンを売った。文字通りテンダンの目と腎臓を片方ずつ。二つある臓器を両方取らなかったのは友情だったのだろうか。それはもうわからない。友達はテンダンを売って作った金を使う間もなく殺されてしまったからだ。 麻酔から目を覚ましたテンダンは友達の側に転がっていた幾ばくかの金を拾った。テンダンは薬物で眠らされていたおかけで殺されずに済んだ。いつも通り、二人で仕事の準備をしていればきっと殺されていただろう。二人の仕事は敵対

            箱のハコは歯

            貨物列車が通り過ぎていく。暗い高架下でタカハシは脂汗まみれの顔をゆがませた。口の中は血と唾液でいっぱいだが、なぜか抜歯の痛みはもう感じない。舌で探ると親不知があった場所に穴が開いている。生臭い塩の味に思わず血混じりのつばを吐くと黒ずんだ唾液の中からヌマエビが数匹飛び出し、湿ったアスファルトの上をのたうった。 タカハシは慌てて薄汚れたジャージのポケットからスマホを取り出す。ヒビだらけの画面に指を滑らせ連絡先に登録された何人もの名前をスクロールで飛ばし『山口順平』の名で指を止めた

            【通販告知】ガラポン文学フリマへ行く

            文学フリマ大阪新刊の通販を始めました!会場販売と同様の紙版とダウンロード販売のPDF版があります。 新刊あらすじ 人間のガラポンはオニチンチラのモコちゃんと人魚のユークリッドと一緒に宇宙船で暮らしている。人間たちと仲良くなれるような隣人に出会うことを目的として宇宙船は無限の宇宙を静かに進む。 しかしそんな与えられた目的など関係なく、三人は『生活』をしている。楽しく暮らしている。 これは地球から離れ続ける宇宙船の中で文学フリマに挑む三人の物語。あるいは文学、文字、言葉を

            【新刊ある】22.9.25の文学フリマ大阪に参加します

            無事に脱稿したので新刊があります。既刊とペーパーも持っていきます。 文学フリマ大阪に参加します! 場所:OMMビル 二階 BCホール 時間:11時~17時 スペース:C-23 うそチンチラ軒 【新刊】ガラポン文学フリマへ行く 文庫判 64P 500円 ーあらすじー 人間のガラポンと愉快な仲間二人は宇宙船で無限の宇宙を旅していますが、今回はそんなことはお構いなしに文学フリマへ行きます。 既刊もあります! 5月の文学フリマで発行した既刊とペーパーも持っていきます。

            タイガー走る竹林へ

            ↑これのスピンオフです。 ◇ ここにトラジロウという虎がいる。まだ若い虎の男だ。背中に墨絵風の竹林模様が入った若竹色のジャージと安い便所サンダルがトレードマークの虎だ。 トラジロウは目深にキャップをかぶり、興奮に尻尾を逆立て夕暮れの海龍街の大通りを走っている。通行人に肩がぶつかり怒声が聞こえてもトラジロウは振り返らない。胸に抱いた茶封筒の中身には土地の権利書が入っている。憧れの竹林を手に入れたのだ。いまならその足で千里の道も走ることができるだろう。 デキるタイガーは竹林

            ニールと結晶の乙女たち

            金属の大顎が砂漠の熱風で回り続ける風車の根元に食らいつく。突如、空中から飛来した油圧シャベルの解体用大顎バサミにはアームしかくっついていない。しかし大顎は生きたワニのように鋼の牙を風車の支柱に突き立て、軽々とへし折った。 ニールはアームと一緒に屋上から落ちていく風車を瞼の無いギョロ目でみつめた。 (お前らなんか匿うんやなかった! ) 口をついて出そうになった言葉にニールは分厚い唇を歪ませる。予期せぬ客を受け入れたのは自分だ。言葉を必死に飲みこみ、ざぶんと音をたてて水の中に

            ここは粥と龍の街

            海龍街は名前のとおり海の側にある。大きな港が近く、あらゆる生き物が行き交っている。 そして龍の字。そうこの街には龍神の伝説がある。 昔々、まだこの辺りが小さな漁村だったころ。一柱の龍神が浜に流れ着いた。 浜辺で弱った龍神をみかねて貝拾いのニンゲンとコメ拾いカヤネズミの娘たちが貝出汁の粥を作って龍神にささげると、そのあまりのうまさに龍神はたちまち活力を取り戻したという。 龍神は礼としてその体から剥がれ落ちた宝石のようなうろこを娘たちに与えた。うろこは莫大な財をもたらし、村はあ

            焼肉屋でもらえるイルカ

            馴染みの焼肉屋が今晩かぎりで閉店となる。 焼肉屋といっても高級な店ではない。学生街と飲み屋街の境にある廃墟と見間違うかのような店構え。タレに漬かり切ったよくわからない肉を出してくる胡散臭い店だ。 「まあ最後やからこいつをもらってくれや」 「はあ」 けむり臭く薄暗い店内には俺とこの店主しかない。いつもこんな様子だったから遅かれ早かれ潰れると思っていたがついに潰れた。 カウンターの向こう側から店主が押しつけてくる黄色い洗面器。 のぞき込むとその中でスカイブルーのイルカがくる

            文学フリ東京に出したおおむねSF短編を通販しています(サンプルあり)

            先日、文学フリマ東京(22.05.29)に参加し、本を頒布したりフリーペーパーを配ったりしました! 通販しています今回、1/3ファンタジー、2/3 SFのおおむねSF短編集を出しました。紙版と電子版で通販もしています!住所のやり取り無しで購入できます!安心。 ・ヤバい兄弟が悪魔と契約したり人間が冷蔵庫に詰まってるファンタジー ・進化した人間が三角関係で刺されたりするSF ・チンチラ崇拝SF フリーペーパーがもれなくついてきます紙版、電子版ともに当日配ったフリーペーパーをが

            22.05.29 文学フリマ東京に参加します

            文学フリマをご存じですか?!楽しい本がたくさん買えるイベントです! 私も出ます。notoに投稿した文と書下ろしをまとめた本を持ってスペースにいます!! 発行する本『うそチンチラとダメな人間たちと蟹のうた』 note再録二本、書下ろし一本の110ページの本です。文庫サイズで持ち帰りやすい。収録した話は以下の通りです。 スペースうそチンチラ☆足立区への旅 騙されて月と地球間で金塊密輸をやらされている男がうそのチンチラと狂った蟹のミュータントにはさまれる話です。蟹の生きざまを

            おとこが卵を産むようになっちまった世界の最低最悪なボーイズラブ

            ※以前書いたこれを印刷用に追記しました。 (これを含めた何篇かを本にして、22年5月29日の文学フリマで売るので縁があったらお立ち寄りください。スー3 うそチンチラ軒です。現時点でまだ原稿が終わっていないのが不安) 俺は市場の早朝バイトで生計をたてつつ、駅前や公園でギターをかき鳴らし歌う男だ。そういう暮らしをもう十三年ほど続けている。進歩も進化もない男だ。 だが人類は着々と進化し続ける。 地球レベルで加速する少子化の果てに人類は尖った進化をとげた。女は腹に胎児をはらみ、男

            ぼくはいぬー

            やばいやばいやばい。そう呟きながら七尾8000号は汚泥でいっぱいの狭い通路を泳ぐように遅々と進んでいる。 七尾8000号は人間だ。七尾家の8000番目の男。先日、祖父の七尾7564号が大往生したので七尾家の最後の人間になった。 (ハッセン!変なところに潜り込むのはよしたがいいよー) 「うるさい!もう手遅れだ!」 8000号の耳に届く声は膨らんだ防塵防水ジャケットの中からきこえる。七尾8000号にしか聞こえない声。 (地上にもどろう〜♪地上がすき〜♪ぼくは地上が大好き〜♪