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Episode 086 「幅やら、奥行きやら、抽斗の多さやら」

音楽にまつわる話として、自分の中でのターニングポイントと呼べる瞬間があった。あれは私が16、7歳くらいであっただろうか、親戚の家(または他の誰か)から届いたビデオ(日本の番組をVHSテープに録画し、郵送でオーストラリアに送ってもらっていた)に録画されていた番組(SMAP x SMAP)で初めて奥田民生を見て以来、彼の音楽の虜となった。確か、2001年。今から23年も前の事だ。

その番組では、彼はAnd I love Car、サーキットの娘、イージューライダー等、車に纏わる曲を披露した。このビデオを見てからというもの、奥田民生の音楽に一気に引き込まれて行ったのである。そして、断言できるのは、当時アデレードにて(いや、オーストラリア全体でみても)私ほど奥田民生の音楽を聴き込んだ人物は居ない、と。(ただ「だからなんなのだ」という話でもあるのだが)

具体的に奥田民生のどんな部分に惹かれているのかと冷静に分析すると、もちろん幾つもあるのだが、強いて言うならば、この人「音楽の幅の広さ」、「奥行きの深さ」そして「抽斗(ひきだし)の多さ」という点は大きいと感じる。ただ、幅、奥行き、抽斗の多さ、と、拡がり過ぎて濃度はどうなのか、と思いきや、やはりこの天才、そこにしっかりと「民生節」があるのである。

料理に例えるならば、シェフとして懐石料理からイタリアン、中華にフレンチ、どんな料理を作らせても一流。併せてパテシエとしての腕前もあまりにも高く、どんなデザートやスイーツを作らせても食べる人を唸らせる。それだけでは無い、ワインのソムリエでもあり、ワインの知識もこれでもかと言う程ある事に併せて、何と自身でもワイン作りをしている、という超人なのだ。ただ、食べる人からすると、それがどんな料理であれ、ワインであれ、「これは・・・・奥田民生シェフが作ったな」と言うのがわかるのである。つまりトレードマークがしっかりとあるのである。これ即ち、「民生節」なのである。

ワインの事例を出したが、個人的にはもっぱらビールである。中でもカールスバーグ。男は黙ってカールスバーグ、である。とか、令和だから言えないのである。尚、日本のビールならもっぱらサッポロ黒ラベルである。男は黙ってサッポロ、である。とか、令和だから・・・(ループ)

先ずは、ユニコーン時代の楽曲。どの角度から、どう見てもあまりにもクオリティが高く、(もちろん超絶良い意味で)ユニークさが過ぎるのである。つまり、他の誰にも似てない曲なのである。尚、トリビアだが、ミスチルの大ヒット曲である「Innocent World」を作っている頃にプロデューサーである小林武史氏が繰り返し聴いてアレンジに影響を受けた曲が奥田民生(ユニコーン時代)が書いた「すばらしい日々」(1993年)とのことである。

ユニコーンが解散し、ソロになっても(1994年)その「幅」や「奥行き」や「抽斗の多さ」などは健在(むしろ増えている)で、つくづく惹かれてしまうのである。

また、コラボをすると更に奥田民生のミュージシャンとしての幅の広さが垣間見える。

他のアーティストの曲をカバーしても、超絶上手い。そして、なぜか奥田民生の曲になってしまうのも、この人が唯一無二、故に、違いない。

尚、当時、色々と調べていく内に、どうやら奥田民生はMartinというブランドのアコースティックギターを使用している、ということを突き止め、私もそれに憧れて同じブランドのギターを購入した。家族でメルボルンに旅行に行った際、とある楽器屋さんで購入したのだった。確か、1,100豪ドル(当時2000年頃で、換算すると、日本円で約8万円弱といったところだろうか)くらいであったと記憶する。約24年も前の事だ。

そうそう、これこれ。ブランドはMartinでモデルはDX1というもの。
メルボルンにいった際に寄った、ピンクの湖。尚、水がピンクに見えるのは、ピンクの塩が原因、とか。これは、オーストラリアならでは。懐かしい。尚、当時2000年(頃)はもちろんスマホなんて存在しなかった。従ってこの写真はデジタル(そう、デジカメでも無かった気がする)ではなくフィルムの写真である。つまり、今では普通に行なっていると言われている、「アプリのフィルターで色を調節して・・・」などは一切行ってない。マジでこのピンクなのである。

その後、どうやら奥田民生はGibsonというブランドのJ-45というモデルのアコギを使用しているらしい、というのも知ることになり、約20年後の2018年についにそのモデルのアコギを購入した。オンライン及び様々な楽器屋さんでこのモデル(J-45)のギターを探し、最終的に(渋谷の楽器屋で)購入するに至った。

そうそう、これこれ。念願のGibson J-45 Vintageを2018年に購入。
ヘッドのGibsonの文字が筆記体(ヴィンテージ仕様)になっており、併せて「ONLY GIBSON IS GOOD ENOUGH」も表記されている。ここが、渋い。
通常(=ヴィンテージではないもの)のヘッドはだいたいこの様な感じ。

このギター(メルボルンで購入したギター)はMartinのDX-1というギターであった。もちろんMartin社のギターの中では相当お手頃価格のギターではあったものの、奥田民生が使っているブランドのギター、というだけで嬉しくて仕方がなかった。

それまでは、無名ブランドの安物エレキギターしか持っていなかった為、このMartinのギターでコードを押さえてかき鳴らすと、初めてしっかりとしたブランドのギターの音がしたことを実感できた。

2024年の今でも、このギターを飽きずに弾いている。(このギターを購入した2000年頃から)大して上達もしてないが、このギターに触れ、コードを奏でるだけで純粋に楽しいのだ。

コードを押さえ、好きな曲を弾いていると単純に幸せな気持ちになる。ギターの他には、2014年頃、電子ピアノを購入した。よく、「ピアノですか。ピアノ弾けるんですか?」と訊かれるが、正直、弾けない。「弾く」と言うか、私の場合、(鍵盤を)「押す」が正しい。超絶、下手である。

ただ、(ピアノは)単純にコードを押さえると音がするので、それで充分なのである。コードを押さえてメロディーになればそれだけで楽しい。いつか、しっかりと弾けるまで練習したいと思う。

因みに、弾いて(押して)いて特に楽しいのは、The BeatlesのHere, There and Everywhereという曲であったり、RadioheadのKarma Policeという曲であったりする。

てか、これだけ語っておいて、奥田民生の曲じゃ無いんかい。

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