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大人になって分かる、家庭環境の大切さ。



おはようございます、雲州はとむです。自分が生まれ育って半世紀になりましたが、創作をするにも誰かと会話するにも果たして、自分の根底に存在する絶対的な揺るぎなさを作ったのはなんだろう?
そう一人で静かに過ごしつつ考えてみると、やっぱり「家庭環境」だったなと。

以前もnoteに書きましたが、我が家は父方の祖父が「子供たちには、海外の創作物に触れさせて育てる」「女性も大学教育を受けて、社会で活躍するべき」と思考する、稀少な明治生まれ男性でした。




祖父は一族のゴッドファーザーなので、五人の子供達の学費を大学卒業まで出費し、結婚後も色々陰ながら支えた人です。長男である父は祖父と度々衝突することも多く、家業も継がなかったけれど、昔から必ず「親父もよく言ってたが、あれらは本当だと大人になって理解した」と語っているんですね。

そしてまた、祖父の直径嫡子孫である私も父や伯母の思い出話を通じて、父から社会や政治、文学、映画、世の中の流通などについて学び成長。もし祖父がバリバリの保守派で男尊女卑だったら、おそらく漫画や小説も書いていなかったかもしれないし、親に反対されながら辛い思いをしていた可能性も大きい。

実際に、高校時代には「親に恥ずかしくて、ボーイスラブを描いているなんてとても言えない」「私が漫画の同人誌で、かなりの売り上げを出していると両親も知らない」という子達が大勢いました。

「実家は、私が普通に会社員をしていると思ってる」プロとして活躍しているクリエイターの女性で、ひっそりと事実を後書きに残しているサークルさんも多かった。


この状況に、父はとても憤慨していました。

「娘が都会に出て、生活費を一人で懸命に捻出している。しかも自分の腕一本で。その職業を恥じるなんて、俺には想像できないよ。子供を愛していないんだな」

「セックスの漫画を描いてるから、ダメな子なの? 世界名作劇場なら良いの? だって性行為エッチしたから両親だって子供がいるんじゃん。矛盾してない?」


そして父の妻になった母もまた、自分の母親である素朴なから、ストレートな教育を受けて育ちました。貧しい母子家庭なので、嘘や虚栄で飾っている場合では無かったから。



私は生理が始まった頃から、母方の祖母に「結婚前に、ふしだらな事をしてはいけないよ。それだけ自分の価値も相手の格も下がってくる」「うちの三人娘は、全員バージンで結婚した。だからアタシが、亭主達に大きな顔はさせないよ」と聞かされて育ちました。

また、明治から昭和にかけて祖母が東京下町にてリアルに見た「吉原炎上」や、遊郭での風景など、教科書には絶対に書かれない貴重な史実を教えてくれました。

農家の口減しなどで売られた女性達が、性器を氷水で冷やしながら夜の商売をすること。身請けされると恩返しの為に馬のように働くこと。そして何故か、吉原の女性は妊娠しにくい人が多いので、後継者問題で揉める事例が少ないと言う話。

これらの匂い立つようなリアルなエピソードは、実際に私の創作においても大きな糧となってくれているのです。

そんな祖母に厳しく育てられた母や叔母なので、私が描く作品にも理解をしてくれたし、金銭的にも大きくバックアップをし続けてくれました。



この年齢になっても親友付き合いを続けている仲間も、両親が同性愛やLGBTに抵抗感を持たない友達が多いです。そういう友人やその家庭からも、私は様々な体験や知識を学べました。

彼女達も私と同じく、週末の深夜にエミー賞を取った海外ドラマを鑑賞し、「人形劇三国志」「NHK、映像の世紀」に育てられ、親や兄弟姉妹と「機動戦士ガンダム」やオリバー・ストーン監督について議論する家庭に育っていました。五輪開催やスポーツ業界の汚濁に関しても、高校生にして辛辣な意見を持っています。

同じ作品を見ても、自身とはちがう感想を持つ人の意見を聞く。並んだ絵の中から、どれが好きか語り合う。それはとても幸せな時間です。




令和の現在、ニュースやドラマでどんどん「性の多様化」「女性の社会進出とセクバやパワハラ問題」、「ジェンダーレス」が取り上げられていますよね。そして実際に、NHKの「男女逆転・大奥」や「作りたい女、食べたい女」が製作され、大人気を博しています。続編への期待度とTwitterでの話題性も非常に高い。





しかしながら、子供時代から「男女の恋愛以外、認めない」「未婚の男女など、人間として価値がない」「男は外で働き、家事と育児は女がするべき」などと教育されたら、それらのドラマや映画に心を動かされたり人生観を震撼させられたり、それ以前に作品を観ることなどあるでしょうか。自分の子供や孫がジェンダーフリーとして成長したら、支えて見守れるでしょうか。




「テニスの王子様」「新世紀エヴァンゲリオン」が、基礎知識学力として小中学校の教科書に掲載されています。また、菅野よう子が音楽テキストに「アニソンとCMの女王、天皇位継承曲の作り手」としても書き残され、金沢工科大学には「ガンダム学科」があります。

全話200以上あるテニプリや、映画版の製作間隔が30年も開いたエヴァ、宇宙世紀シリーズだけでも豊富なガンダムを、中年以降に視聴するのはとても大変です。菅野よう子は2000曲以上生み出しているし、時間に許される定年層も、初回から楽しむと言うよりも浅く広く勉強する行為になる。

だからこそ幼少時代からそれらに多く触れること、早くから知って「自分に不可欠なものか、必須項目か」選別できるようにするフィーリングもまた、大切なのではないかなと。



車窓に映る風景を眺めた時、料理をしている時間、春の月夜の散歩に、私は祖父母から両親が伝えられた歴史や、自由な発想と差別のない視覚を思い出さずにはいられない。

そして、創作を綴ることで色々な人達の存在を若い世代に考えてもらったり、自分が知らなかった文化に触れてもらう。それもまた、社会人としての義務であり加齢した年上としての役割なのではないかなと、そう考えさせられる日々です。


最後に、私の父が「攻殻機動隊SAO」の神山健治監督と「エヴァンゲリオン」の生みの親である庵野秀明監督、そして宮崎駿監督について遺した言葉を書き記しますね。


「神山健治は、俺は個人的に師匠の押井守を超えたと感じる。こういう天才肌の若い連中が、俺たち昭和世代には手が付けられないアニメを作った。それが『攻殻機動隊』のテレビシリーズだ」

「庵野秀明は、俺にとってはキチガイだ(笑)だけど、エヴァは気が狂っていないと作れないアニメだからな」

「俺は宮さん(宮崎駿監督)については、息子に七光りを背負わせた事実や、老害になりつつある事に対して疑問もある。だけど、暴力もセックスも爆発シーンも無くしてハリウッドを震わせて、『大人の目には見えない世界」を映像化させたのは、『となりのトトロ』だけだ。だから俺は、宮崎駿を尊敬し続ける」



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