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想い入れ。

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#エッセイ部門

ぼくらの夏、青い春

ぼくらの夏、青い春

いつだってどうしようもないぼくらは、ただ瞬間的な夏を生きている。人生は夏みたいだ。恋しくて、いざ来ると最悪で、終わってしまうのは悲しくて。振り返ればきらめく思い出たちが、心に焼き付いて離れない。痛みと隣り合わせの愛は、わたしをどうしようもなく狂わせる。そんな、夏。



しばらく前から、ゲストハウスに滞在している。わたしが働く本屋さんのオーナーが経営する、大きな古民家だ。といっても、2〜3人しか

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世界一脆い、ダイアモンド

世界一脆い、ダイアモンド

「ねえ、大きくなったら何になりたい?」無邪気に問いかける姿は、いまだ少女のようで。そんな彼女にわたしは答える。「いつか、必ずエッセイストになるよ」誰にも言ってこなかった秘めた想いを、震えながら口に出した。彼女は静かに微笑んで、「やっぱりあなたは、どうしようもなく"あなた"だね」とつぶやく。

金木犀の香りが微かにする、大学のカフェテリア。テラスで交わした、二人にとってはじめての約束だった。


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わるい顔を見せることの意味

わるい顔を見せることの意味

「その、わるい顔を見せられる人を好きになりなよ」

8年ぐらいの付き合いになる人と食事に行った時、あることを話していたら言われた言葉。

その時は意味が分からなくて、「どういうこと?」って笑いながら返したっけ。「じゃあ、どうして俺にはできるの?」って聞かれたから、何も考えることなく「別に嫌われてもいいから」ってまた軽く笑いながら言ったら、「おい」って突っ込まれた。

「別に嫌われてもいいから」

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