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連載童話「タンポポの詩」その8「嵐の中の2人・その2」
「タンポポの詩」
その8「嵐の中の2人・その2」
投げ銭方式ですので無料で読むことが出来ます。
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タンポポの詩とは
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ある国に、
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愛するお妃様を失い、悲しみに暮れる王様がおられました。
![](https://assets.st-note.com/img/1653308512877-CDshg9Q75x.jpg?width=1200)
そして、その国の広場には大きな噴水があって。
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その前では、ひとりの貧しい少年が、たて琴を弾いて歌っていたのです。
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ある、月の美しい晩に、
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丘の上を飛び立ったタンポポは、
広場の噴水の前に舞い降りると、そこで芽をだしました。
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噴水広場の前には、小さなパン屋がありました。
そこには、母親を手伝う可愛らしい少女がいたのです。
貧しい歌うたいの少年と少女は、ある日を境にお互いを意識するようになったのでした。
そんな2人を、噴水の下に咲くタンポポは、微笑ましく思い何とか幸せにしてあげたいと考えるようになっていくのでした・・・。
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その8「嵐の中の2人・その2」
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店の中に駆け込んだ少女は、幾許かのコインを手に掴むと、雨の中で歌い続けている少年のもとへ駆け寄ろうと出口へ向かいました。
ところが、少女が店を出る寸前に、母親がその体を押さえて少女を引き留めたのです。
この嵐の中、外へ出るのは危険と考えるのは当然の事でした。
しかし、母親が心配したのは、その事だけではありませんでした。
貧しい歌うたいの少年に、少女が関わる事も母親は不安だったのです・・・。
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少年は、この雨の中でも、まだ歌い続けていました・・・。
その姿を、じっと見つめる少女の心の中に、何か熱いものが込み上げてきました。
少女は、母親の手を振りほどき、雨の中へと駆け出して行きました。
少女は、少年のもとへ駆け寄ると、少年を、じっと見つめました。
そして、手に握りしめたコインを、少年の前に置かれた帽子の中へ入れました。
少年と少女の顔を、嵐の雨が打ち、いくすじもの雨水が流れて落ちて行きました。
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時おり、雷鳴と稲光が走り、薄暗闇の中に2人の姿を浮び上がらせました。
少女は、いつもパンを買って帰っていた少年が、この何日か、なぜ店に来ていなかったのかと言う事に気づいたのです。
しかし、少女は、少年に対する哀れみだけから、コインを持ってきたではありませんでした・・・。
本当に、少年の歌が素晴らしいと思ったからです・・・。
やがて、空をおおう雲は風に押し流され、雨もいつの間にかあがりました・・・。
そして、噴水広場に雲の切れ間から差し込む光が、2人の姿を照らし出します。
空にでた、美しい虹を見上げる2人の瞳にも、七色の虹が輝いていました・・・。
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なぜ
そんなに
周りばかり気にするの
周りばかり気にしていても
息が詰まるだけさ
さあ
顔を上げてごらんよ
きっと
なにかが見つかるはずさ・・・
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連載童話「タンポポの詩」その9へつづく・・・。
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2022.5.25
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