記事一覧
夜は本屋でバーボンを飲んで
「ワイルドターキーをストレートで」
「タンカレーを氷なしで」
薄くなるのが嫌で、ストレートで酒を飲むお客さんたち。本屋というより、もはや飲み屋。
「今日はオーストラリア人の腕に『がんばる』というタトゥーをいれた。笑いをこらえるのに困ったわ」
タトゥーショップで働く常連客のN君がいつものくだらない話をはじめる。このくだらない話がいつも最高で、飽きない。これは読書では決して味わえない。
「今
ガイドブックには書いていなかった
旅先での楽しい思い出のほとんどは、ガイドブックには書いていないことだった。
それに気付いてからは、旅行に行くときは下調べを一切しなくなった。その方がずっと楽しいことに気付いたからだ。
岡山の牛窓にふらっと日帰りで出かけた時も、下調べは何もしなかった。
ゴールデンウィークだったので、観光客がたくさんいたから、人を避けるように草っぱらや、誰もいない神社や、路地裏をぶらぶらした。
神社の長い階段を
病院って変な所でしょう?
退院しました。というか入院していました。初めて手術というのを体験して、慄きました。といっても急性虫垂炎でたいした病気ではないのですが、人工呼吸器や、麻酔や、お腹の腫瘍を切る等、全て初体験でオペ前は不安の固まりでした。
それもいろいろあって、ほとんど寝ていない状態で丸2日目の夜9時過ぎくらい。
救急車で運ばれて、いくつもの検査をして、どこの病院にいるのかも分からない状態で、オペを勧められて、
「は
バカにはバカの幸せがある
ママチャリで滋賀から兵庫の実家まで乗って帰ったことがある。本当は宅配便か何かで送りたかったのだが、ママチャリぐらいなら送り賃で新品が買えてしまうと知って、じゃあ乗って帰るか、となったのだった。
どうしてそう思ったのか、今でも不思議だけど、一日がんばって自転車をこいだら、帰り着くと思っていた。おバカというしかない。隣町に行くんじゃないんだから。
出発の朝くらいは朝早く起きて、早朝に家を立つ、とい
日本人と責任(レスポンシビリティー)
あるカナダ人の女性から、蜂の集めてきた花粉を「体にいいから」と勧められて食べて、アレルギー反応で死にかけたことがある。
その後、苦しんでいる僕に彼女はとてもそっけなかった。
確かに彼女は何も悪くないのだ。もし謝れば自分に責任があることになってしまう。そういう意味では彼女の態度は普通だと思う。けれど何か釈然としない。この時ほど自分が日本人だということを強く意識したことはなかった。
僕が彼女の立場
その本屋はいつも夏休みだった
本屋を始めるきっかけになった本屋があった。遊びに行くといつも、小学生くらいの夏休みの頃に戻った様な気分になる本屋だった。
宇吉堂。という名前のその本屋は、当時は岡山県の牛窓にあった。
まるで絵本や童話にでも出てきそうな、海に面した小さな港町。牛窓という、その名前から連想される通りの、そこは時間がゆっくりと流れているような町だった。
車を海沿いの駐車場にとめて、店まで歩く道も、なんとなくノスタ
旅の醍醐味 サヨナラだけが人生だ
いま最高だなぁ、と思う瞬間をどれだけたくさん味合うか、が旅の醍醐味だと思っている(これは人生の醍醐味でもあるかも)。
例えば、
地平線がみえる、見知らぬ町の、だだっ広い草原で1人、ヒッチハイクの車を待っている時。
これは最高に自由を感じる瞬間。未来は輝いている、とさえ思える。
知り合って間もない人と、地元のクラブで踊り明かす夜。汗だくになって頭の中が空っぽになると、目の前の人がまるで昔からの