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山を歩く
時々、ふと思い立って山へ散歩にでかける。
人の気配のない、風の音か川の音しかしない、山の中をもくもくと歩く。
なるべく人のいない、地元の人しか知らないような林道が好きだ。登山コースなどは他のお客さんがいて、なんだかつまらない。
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何か考えるには、歩くにかぎる。机の上で煮詰まった時に、何も考えずに歩くと、ふとアイデアが浮ぶことがある。特にこういう、人の生活音の一切ない空間は、思考がクリアになるように思う。
弱点はさびしいところだ。山はさびしい。
孤独感やさびしさを一番感じるのは、こういう山に入った時だ。人が都会に集まるのも分かる気がする。
今日は紅葉がきれいだったばかりではなく、もう野イチゴが実っていた。子どもの頃は学校の帰り道に、よく探しながら帰ったものだった。
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山を奥へと分け入っていくと、ふっと人の世界から、動物の世界へ入っていく、空気の変わる瞬間がある。これも山歩きの楽しみのひとつ。
もくもくとただ歩いていると、いろんな動物たちに遭遇する。
今日も、鹿やイノシシや、いろんな鳥や、ヘビや、果てはカニにも出会った。
動物に遭遇すると、分かっていることとはいえ、びっくりするのだが、動物の方がもっとびっくりしているのがおかしい。なかなか写真を撮らせてくれないのだけど、茂みに隠れて、こっちを伺っている。
歩いていて、ふいに首のあたりが、ぞくぞくっとして、立ち止まるときがある。
辺りを見回しても何もいない。ただ気配だけする。きっとどこかで鹿かイノシシか猿あたりが、こっちを見ているのだろう。人間の本能というやつだろうか。
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