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野生の番茶と女たち

実家のある兵庫の山奥には、野生化したチャノキが自生している。おそらく日本の田舎にはたくさんのチャノキが自生しているのではなかろうか。おそらくご先祖さんが植え、誰にも顧みられることなく勝手に増え、毎年新芽を出している。

あまり野菜の採れない、山の中ではお茶は貴重なビタミン源だったのかもしれない。

実家で出てくるお茶は、もれなくその野生化したお茶だ。これがなかなか美味しい。水がいいのもあるかもしれない。いや、でも町の水で飲んでも美味しかったから、純粋にお茶がいいのかもしれない。山の中に勝手に生えている、完全無農薬どころか、無肥料のお茶だ。

このお茶は地元のお茶好きが集まって、毎年この春の時期に新芽を摘み、軽く蒸してから、釜を使ってみんなで煎っている。この集まりの中心にいるのが、母の友人のおばさんだ。このおばさんがなかなかユニークで、母から彼女の話を聞くのがいつも楽しい。

先日は突然ミシンを買ったと言って持って来て、使い方を教えてくれと言ってきたそうだ。

なんでも新しいカーテンが欲しくて、いろいろ店見て回ったのだけど、気に入ったものが無く、生地を買って自分で縫うことにしたそうだ。これまでミシンを使ったこともないのに、だ。
70歳を超えた人がカーテンを縫うために、いきなりミシンを習いはじめるなんて聞いたことがない。でもあのおばさんならそうするだろうな、と思った。

蜂蜜を自家採種したり、唐辛子をミキサーで粉にして一味を作ったり、美味しいポン酢がないから(砂糖入りの甘いのが嫌い)、と自分ですだちを絞って作る人だ。気に入るものがないと基本自分で作ってしまう。
若き日にブラジルで何年か過ごしたことがあると聞いた時は、ああなるほど、と思ったのだった。ちょっと日本人離れしているのだ。

とても仲の良い旦那さんと今は二人で山奥で暮らしているのだが、旦那さんは結婚するとき、彼女の親から全力で止められたそうだ。こんな人と結婚したら後悔するよ、と。無茶苦茶な娘なんやから、と。それを聞いて旦那さんは「飛んで火に入る夏の虫」の気分で結婚したそうだ。実際に毎日いろいろ大変らしい(笑)

田舎にはワイルドでユニークな高齢の女性がたくさんいるように思う。母が編み物を習っている90歳を超えたおばあさんは、今でも現役の株のトレーダーだ。コロナ禍でしっかり株を買って儲けたらしい。編み物を教えて、株をやって、悠々自適の独り暮らし。話も面白いらしく、こういう女性には人が集まってくる。

田舎は特に男社会だから、あまり表に出てくることはないけど、男性よりも逞しく思考の柔軟な女性たちがたくさんいるように思う。

田舎を車で走っていると、トロトロと走る車にイライラするときがある。たいてい年寄りの男性だ。時速30キロくらいでノロノロ走る。一方でなぜか年寄りの女性はけっこう飛ばす。(飛ばすのが良いと言いたい訳ではない)

以前、母の友人がパーマの予約に遅れそうになって、トロトロ走るパトカーを追い越して捕まっていた。はははは、これには笑ってしまった。

P.S 交通ルールは守りましょう



新茶


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