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後世で語られるであろう「コロナ文化」と「マスク進化論」

最近、「医師国家試験」勉強の中で、「睡眠時無呼吸症候群」について調べていました。

睡眠時無呼吸症候群はテレビなどでも取り上げられることが多く、その名の通り睡眠中に呼吸が長い間止まってしまうことを繰り返す病気です。

その時ふと、「呼吸」について考え始めました。
「そういえば自分って呼吸を意識してないなー」
「そういえば呼吸って何のためにしてるんだっけ?」

そんなことを考えているとき、最近私たちの呼吸を邪魔してくる存在にも気づきました。

そうです。
「マスク」です。

口や鼻の飛沫による感染力の高い新型ウイルスが蔓延し、世界はマスクを着けることを余儀なくさせられました。

そこで今回は、私たちが今までは想像もつかないほど装着時間が長くなった「マスク」について、文化・社会的にもたらす影響、そして生物的にもたらす進化について考えていきたいと思います。


コロナ文化

先日、海外にいる中国人の友人から、「日本のパンデミック状況はどう?」という連絡をもらいました。

PCR陽性者数の数も減少していたこともあり、「緩和してきて、外出もできるようになっている。」と答えました。

続いて「ただ、マスクはしていないといけない文化は当分続くだろうね。」と送ったところ、予想していなかった返答が来ました。

「それはもとからでしょ?」

確かに、冬になるとマスクを着ける人はいましたが、大半の人は着けていなかったため、海外からこのように認識されているのかと衝撃を受けました。

パンデミック以前から日本では、マスクを着ける人が他国と比べて多かったのかもしれませんが、それと現在の半強制的なマスク文化は別物だと認識しています。

ただ、そこを結び付けたほうが単純に理解しやすいとも思います。そこで、最近の各国のマスク事情を観察してみます。

世界のマスク文化

ニュースを見ていると海外の映像でマスクをしていない人が多くよく出てきます。マスクをしていない人に「なぜしないのか?」と取材すると、「義務はないから。」「個人の自由の方が大切。」などなど。

これに対して、その国の陽性者数が上がると、日本のお茶の間は口をそろえて「それ見ろ!」「やっぱり日本人だ、、」などなど。

もちろんマスクで感染対策になりますし、マスクしている日本すごいという映像は、我々が見たい画なので、そういうものだとしておきましょう。

そこで、本当に海外はマスクをしていないのか、データを見てみます。

日本リサーチセンター×英国YouGov社

上のグラフは2020年3~5月、2020年12月下旬~2021年2月上旬の各国マスク着用率のデータです。

時期や地理にもよると思いますが、最初に広がったアジアではマスク着用率が比較的高いところからスタートしています。一方、2020年末、そして2021年になるとヨーロッパ主要国では7割を超える国がほとんどです。

少なくとも、世界中がマスク社会であったことは想像できます。

少し気になるのはスウェーデン、ノルウェー、デンマークといった北欧国家が着用率が低いことです。ある記事によれば、スウェーデンでは一度もマスクをしたことがない人もおり、国民にストレスをかけないことを優先させているそうです。


その他のマスクに否定的な国では、義務にしている国も少なくありません。そういった国ではマスクをしている人の数はデータの上では多くなります。客観的な景色は同じでも、マスクを着ける理由は少し違うかもしれません。

また、すべての国が100%ではないことからわかるように、マスクという呼吸規制に反対している人は少なからずどの国にもいるということはここであげておきます。規制に対し、権利の主張を団結して行うのは、ヨーロッパに多い気がします。


日本のマスク文化

ここで、イギリスと日本を比べてみたいと思います。
ここでイギリスの実態を切り取った記事から、マスクの着用に対する意識を見てみます。

イギリスでは自分で「要らない」と判断したら、つけない選択をする人が多い。たとえ義務化されていようとも、自分のために必要ないと判断すれば、悪びれることなく着けない選択ができる。
 一方マスク着用派の人たちは「着けることでウイルスに感染しづらくなる(あるいは人に感染させにくくなる)」「政府が推奨しているから」「着けることが社会的に正しいと感じるから」という理由が大半で、「自分だけ違うことをすると、他人にどう見られるかが怖い」と言う人はごく少数なのではないかと思う。

他人どう見られるかではなく、自分が必要ならつけるし、必要ないならつけないという言葉が刺さりました。

正直私は、感染対策のためにマスクを着けているという意識はほとんどありませんでした。邪魔だと思いつつ、マスクをしていないと悪目立ちしてしまうからという理由のみです。

もっと言うと、外に出るときに服を着る感覚で、雨が降っている日に傘をさす感覚で、当たり前のようにつけています。つけなければ、ウイルスという雨ではなく、他人の視線と奥の感情という雨にさらされてしまうからです。

やはりイギリスなどの個人の国と比べて、集団の意識がまだまだ強いことが影響しています。(ちなみに、マスクとサングラスを対比した、目で表情を読み取る文化と、口で表情を読み取る文化という違いが、マスク寛容さに影響しているという話もあります。が、今回はパスで。)

マスク警察という言葉があるように、自分が我慢しているから、みんなも同じように我慢しなくてはいけないという構造が、一番公平感があってストレスが少ないのだと思います。

そして、違反している人がいると自分の不公平感が増大してしまうため、集団での治安維持機能が働きます。ここでの攻撃はマジョリティである限り正当化されるので、罪悪感もありません。

やはり根幹は、個人の分散と集団の平均という違いを感じました。ゲームルールが違うと行動に対する点数(ストレスレベル)も変わり、勝者も変わるということです。

多様性が認められる時代になってきたので、自国のゲームルールに合わない人が移動する自由を認められた地球(globe)になってきた矢先のパンデミックによる移動規制があったので、文化の中に今こそ寛容さを持った逃避地が必要な時代です。

そこから生み出るコロナ文化が、後世に価値をもたらすと思うので、ゲームボードを見まわしてアンテナを高く行動していると、当事者になれるチャンスが今なのかもしれませんね。

「マスク」はその象徴であり、メディア(媒体)の一つとして語られていくのだと思います。

楽しみ。

マスク進化論

ここからは少し科学妄想を組み合わせたマスク文化後のフィクションを考えていきます。

目と耳のコミュニケーション

「顔パンツ」という言葉をご存じですか?
これはマスクが習慣化し、マスクを外して顔を人前にさらすのは人前でパンツをはかないような恥ずかしさがあるという意味から誇張表現として使われた言葉です。

実際、メイクをしなくても済んだり、コンプレックスを隠せたりと、感染対策という用途や、集団圧力というもの以外にも実利がありそうです。

では、いわゆる「顔パンツ」が仮にずっと続いたら人間はどうなるか想像してみましょう。

首から上で見える部位は、目・耳・髪・(おでこ)くらいです。口が見えないため、目で人を識別し、目で相手の感情を読み取ります。

そして、言語コミュニケーションにおいては、今までは口の動きと聞こえた音をなんとなく組み合わせて推測していたのが、完全に音だけになります。

ここから、耳が音を聞き分ける能力は発達することが予想できそうです。これでは、耳の聞こえない人にとっては生きづらい世界になっていきます。

また、目の役割は変わってきそうです。目で感情を表現することが生存確率を向上させるとわかれば、目の大きく、可動域が広い遺伝子の割合が増えていくかもしれません。

低酸素人間

もう一つ側面が、息がしづらいということです。当然一度の呼吸で取り込むことができる空気の量も減ってしまいます。

これが人間へ与える変化を考えていきます。

人間の生命の源は呼吸です。呼吸により酸素を肺に取り入れ、二酸化炭素を放出します。一回の呼吸で酸素を取り入れる量が減ると、呼吸をいっぱいすることで足りない酸素を補おうとします。

呼吸の量が増えると、心拍数が増えます。そして、心拍数が増えると、血圧が上昇します。

高血圧は動脈硬化や虚血性心身疾患(血管が詰まってしまう病気)のリスクを高めます。その結果、高血圧に耐えられる血管を持った個体が生き残りやすくなるかもしれません。

日和見感染者

マスクの一つの効果として、口や鼻からの粘膜感染を防ぐところにあります。

私達は幼い頃から目に見えない菌を摂取することで、たまに体調を崩しますが、その代わり免疫を獲得してきました。

それがなくなると、今までは「病は気から」でなんとかなっていた感染症にまでかかりやすくなる「日和見感染」を起こしやすくなるかもしれません。

これに対し、ワクチン接種をする感染症の数が増え、人間は薬なしでは生きていけない時代になるかもしれないです。

嗅覚の発達

マスクをつけ始めてから、匂いが遮られている感覚はありませんか?

匂いや味は毒を感知したり、食べ物の場所や成分を特定したりと、生きる上では欠かせない仕組みです。

マスクによって匂いを感じにくくなった場合、より匂いに敏感な個体が生き残っていくかもしれません。

おわりに

今回は、マスクにまつわる文化やフィクションを考えていきました。

特に後半のマスク進化論は、人間が生まれてから死ぬまでマスクをつけ続けたとしても起こることはないでしょう。

しかし、もっと息苦しいマスクが生まれ、それが何千年も続けば、可能性はあるかもしれません。

社会の変化、もしくは習慣の変化が仮に極端に続いたときにどんな世界になるのか。

今ある情報と想像力で、進化論的に考えられると、良いSFが創れそうです。

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