貴綱 みか
朝、自室で目を覚ますと 部屋中が煙だらけで 真っ白になっていた! 火事だろうか!? 何が起こったかわからないが とにかく ただ事ではない! 慌てて飛び起きて 1階まで…
特に気に留めることなく 過ぎていったささやかな出来事 それは もしかして 何か意味のある事 ではなかったのかと 後になってから思ういくつかのこと いつものように 静か…
いつもと少しちがう道を通って 近くの商店街まで行く途中 ある細道のところに差し掛かった時に よろよろと歩くようになった 今は亡き父が、転んだりしないか心配で 見つか…
先日 久しぶりに映画館で 認知症を扱った洋画を観た 認知症の人から見た現実は ミステリーのような ホラーのような つじつまの合わない世界が 認知症ではない 周りの人に…
まだ介護が必要になる前の いつ頃だったか はっきりとは覚えていないが 母がある時、急に 「夫が変なんです」と 言い出した 母が言っていたのを聞いたのか 母が何かの紙…
叔母から 母の初婚の相手は 背の高い人だと聞いていたが 時間より少し前に 待ち合わせた場所に着いて あたりを見回すと それらしき人は見当たらなかった 待ち合わせの相…
仕事以外で出かける たいていの 自分が楽しむための外出 友人とランチに行く ひとり旅をする ライブに行く ボディボードに行く 等々・・・ 約束をしたり 計画を立てる段…
精神状態を崩して 毎晩興奮して騒いで暴れて 手の付けられない状態になってしまった 母の入院が決まった時 父が炊飯器をガスの火にかけて 家じゅうが真っ白に煙った日から…
母の毎朝の朝食だったバナナ 母か亡くなってからは あまり買うことがなかったが 久しぶりに 朝食にバナナを食べようと思い スーパーで 何種類かあるうちの 少し高めの 美…
小学生の時のパジャマ 機嫌がいい時に 認知症の母がよくそう言っていたのは 洗濯してもすぐに乾く 白地に色とりどりの 少し大きめの水玉模様の ポリエステルのパジャマだ…
母の表情が乏しくなり 何もしゃべらないことも多くなってきた時に ふとした拍子に 少しでも表情がほぐれて笑顔が見れると 嬉しくなった 母のおむつ交換の時に おむつを取…
母の身体の 脚力 体幹 腎臓・・・ 見た目や 健診の数値で 少しずつ 衰えが増えてきて さらには 片手だけグーにしたまま 指を伸ばすことが 出来なくなってきて 無理に広…
ご近所の家まで 町会費の集金に出かけて 玄関のインターホンを鳴らすと 鼻にチューブを入れたおじいさんが 玄関の横の部屋のサッシを開いて 顔を出した 自分の名前と町会…
インターホンを押して 名前を名乗ると 職員の方が鉄の扉を 内側から開けてくれる 母が入院した病院や老健 そして最後に入院したICUでも 母は鉄の扉の内側にいた 鉄の扉は…
母の出棺が終わり 車が火葬場へ向かう途中 母の通ったグループホームの前に続く 坂道の角に差しかかると グループホームの職員の方の姿が見えた 出棺から火葬場へ向かう途…
母の出棺前 棺の中には 母が身に付けていたいくつかの私物と 葬儀会社から促されて書いた 母への手紙と そして 古いアルバムの中にあった 見たことのない 知らない小さ…
2020年12月7日 11:48
朝、自室で目を覚ますと部屋中が煙だらけで真っ白になっていた!火事だろうか!?何が起こったかわからないがとにかくただ事ではない!慌てて飛び起きて1階まで階段を降りていくと自分の部屋よりもさらに真っ白の密度が濃い煙と焦げた臭いのキッチンの中父が「火事だ、火事だ」と呟きながら箒で床を掃いていたキッチンのシンクには焦げた炊飯器が放り込まれているどうやら炊飯器をガ
2021年12月6日 13:28
特に気に留めることなく過ぎていったささやかな出来事それはもしかして何か意味のある事ではなかったのかと後になってから思ういくつかのこといつものように静かに座って会社で仕事を片付けているとトク、トク、トクと自分の心臓の鼓動が感じられそしてそれが段々と小さくなって次第に途切れていくのを時々感じるようになり1度医者に診てもらった方がいいかもしれない漠然とそう思いなが
2021年8月21日 07:42
いつもと少しちがう道を通って近くの商店街まで行く途中ある細道のところに差し掛かった時によろよろと歩くようになった今は亡き父が、転んだりしないか心配で見つからないように、こっそりと後ろから父を見守りながら歩いた道だったことを思い出した父の足腰が段々と衰えてきて歩くスピードもゆっくりになりはたから見てもハラハラするくらいよろよろしながら歩いたり自転車にも乗っていた時期で
2021年7月9日 11:33
先日久しぶりに映画館で認知症を扱った洋画を観た認知症の人から見た現実はミステリーのようなホラーのようなつじつまの合わない世界が認知症ではない周りの人には理解されず認知症の本人と認知症の人の周りにいる人達とのトラブルの要因となりそこから始まる悲劇の物語そのパターンは最近では食傷気味になるほど見聞きをするがそのトラブルの要因への理解の不十分さや向き合い方、扱
2021年2月12日 08:10
まだ介護が必要になる前のいつ頃だったかはっきりとは覚えていないが母がある時、急に「夫が変なんです」と言い出した母が言っていたのを聞いたのか母が何かの紙に書いていたのを見たような覚えもあるが「夫が変なんです」そう言われても私からみたら父親は特にいつもと変わらず何が変なのか全く思い当たることもなく母が今までそんなことを言っているのを聞いたこともなかったので
2021年2月11日 08:07
叔母から母の初婚の相手は背の高い人だと聞いていたが時間より少し前に待ち合わせた場所に着いてあたりを見回すとそれらしき人は見当たらなかった待ち合わせの相手である母の最初の子供のその人については家にあったアルバムの中の小さな子供の頃の写真と名前については母に送ってくれたその人自身が編集に携わったある本から知ったのだったかどうか忘れたがネットで検索をしてみると
2021年2月1日 08:02
仕事以外で出かけるたいていの自分が楽しむための外出友人とランチに行くひとり旅をするライブに行くボディボードに行く等々・・・約束をしたり計画を立てる段階から楽しみな気持ちと介護が必要な家族がいるのに放って出かけるという罪悪感はいつもセットになっていたもちろん自分がいない時に何かあっても問題がないようにデイケアやショートステイや訪問介護は必ず手配していたけれ
2021年1月30日 07:46
精神状態を崩して毎晩興奮して騒いで暴れて手の付けられない状態になってしまった母の入院が決まった時父が炊飯器をガスの火にかけて家じゅうが真っ白に煙った日から毎晩1時間毎にアラームをかけて何かやらかしてないか父の様子を確認する日か続いたが父が自力で立ち上がれなくなって父の入院が決まった時母が最初の入院で退院した日からまた始まった毎晩の母の興奮状態との闘いがかかりつけの内
2021年1月29日 07:27
母の毎朝の朝食だったバナナ母か亡くなってからはあまり買うことがなかったが久しぶりに朝食にバナナを食べようと思いスーパーで何種類かあるうちの少し高めの美味しそうなのを選んだしかし亡くなくなった母に毎朝刻んで食べさせていた時には一番安いバナナしか買ったことがなかったことを思い出し自分で食べようと思ったら美味しそうな高い方をと無意識に選んでいた事に気づいてハッとし
2021年1月28日 08:00
小学生の時のパジャマ機嫌がいい時に認知症の母がよくそう言っていたのは洗濯してもすぐに乾く白地に色とりどりの少し大きめの水玉模様のポリエステルのパジャマだもちろん母が小学生の時から持っていたものではなく私が近所の大中で買ってきたパジャマの中の一つだからわりとポップで一般的にはおばあちゃんより若年層向けのもので母がどう思っていたかわからないがわりと明るい
2021年1月27日 12:20
母の表情が乏しくなり何もしゃべらないことも多くなってきた時にふとした拍子に少しでも表情がほぐれて笑顔が見れると嬉しくなった母のおむつ交換の時におむつを取ったままベッドに座らせていたら母が尿を漏らしてしまいベッドの下まで垂れて床まで濡らしてしまったがこんな格好のまま座らせておいて身体が冷えてしまったのかもしれない自分が母を世話してしっかり守っていかなくてはいけないと思
2021年1月26日 07:56
母の身体の脚力体幹腎臓・・・見た目や健診の数値で少しずつ衰えが増えてきてさらには片手だけグーにしたまま指を伸ばすことが出来なくなってきて無理に広げようとしても痛がって広げられなくてお風呂上りなど温めるながらゆっくり時間をかけるとやっと少し握ったままの指がほぐれてくる母の様々な身体の衰えを感じながらも年のせいだから仕方がないと完治を目指すような治
2021年1月25日 07:55
ご近所の家まで町会費の集金に出かけて玄関のインターホンを鳴らすと鼻にチューブを入れたおじいさんが玄関の横の部屋のサッシを開いて顔を出した自分の名前と町会費集金と用件を告げるとおじいさんは部屋の中を何かゴソゴソと探し始めてのど飴の入った袋をおじいさんが町会費を用意するまでこれを食べて待っててとニコニコしながら差し出したそして昔、うちの父がおじいさん宅にお邪魔して歓談
2021年1月24日 16:36
インターホンを押して名前を名乗ると職員の方が鉄の扉を内側から開けてくれる母が入院した病院や老健そして最後に入院したICUでも母は鉄の扉の内側にいた鉄の扉は扉の外の世界で生きるのが難しい人や扉の外の世界の有害なものから守らなくてはならない人のためのものだが母が鉄の扉の内側にいることは親しい人にも容易に話せることではなかった
2021年1月23日 08:04
母の出棺が終わり車が火葬場へ向かう途中母の通ったグループホームの前に続く坂道の角に差しかかるとグループホームの職員の方の姿が見えた出棺から火葬場へ向かう途中に故人縁の地に立ち寄る葬儀会社のサービスで10年近くお世話になったグループホームに立ち寄る時刻を職員の方に知らせておいたので母を乗せた車の到着を待っていてくれたのだそして車がグループホームの前に停車するとグループホ
2021年1月22日 07:55
母の出棺前棺の中には母が身に付けていたいくつかの私物と葬儀会社から促されて書いた母への手紙とそして古いアルバムの中にあった見たことのない知らない小さな男の子の写真を入れた知らない男の子が誰なのか分かったのは私が高校生の頃だっただろうか母はいますか?とどこかの男の人から電話がかかってきた時に母に誰なのか尋ねると母から自分の子だと聞かされたような気がする母