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母の遺伝子

叔母から
母の初婚の相手は
背の高い人だと聞いていたが

時間より少し前に
待ち合わせた場所に着いて
あたりを見回すと
それらしき人は見当たらなかった

待ち合わせの相手である
母の最初の子供の
その人については

家にあったアルバムの中の
小さな子供の頃の写真と

名前については
母に送ってくれた
その人自身が編集に携わった
ある本から
知ったのだったかどうか忘れたが

ネットで検索をしてみると
それほど苦労もせずに
その人の
連絡先が見つかった

わずかばかりだが
母の相続もあるので
連絡を取らないわけにはいかないが

どんな理由であれ
全く面識のない人に
初めて連絡をするのは
ためらいを感じる

母の介護が必要になってからの
約20年間は
母からは
連絡ができる状況ではなかったし

その人からも
母に連絡をくれていたのか
どうかもわからない

そして
その人の今の状況も分からないし
突然連絡をして
どう思われるか

迷惑ではないだろうか?

最悪、連絡をしても
返事などもらえないのではないか・・・

様々な思いが
巡ったが

ためらっていてもしょうがないので
用件と自分の連絡先を記して
メールを送ることにした

連絡がもらえなくても
仕方がないと考えていたが

それほど待たずに
連絡先として記した自分の携帯に
電話がかかってきた

そして初めて話をした
その人は
母が亡くなったことに
とてもびっくりした様子だった

他に何を話したのか
よく覚えていないが

その後にも、やりとりをして
冒頭に記したように
待ち合わせをして
会うことになった

そして
実際に会ってみると
その人に会うまでに
自分が得た
ほんのわずかな情報から
自分の中に出来上がっていたイメージよりも

その人は
穏やかな感じがして
はるかに親しみやすく
まずは
ほっとした

男の子は母親に似ると
よく聞くが
その人を一目見ただけで
外見や雰囲気に
母の遺伝子が
受け継がれているのを感じて

母が亡くなった寂しさの最中で
同じ遺伝子を受け継いでいる
仲間がいてくれたことに
感動を覚えて

思わず私は心の中で母親に
Good job!
と叫びたくなった

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