国家の存亡をかけた最凶サメ軍団との熱き戦い!本編の八割が虚無なシーンで構成されたZ級奇天烈サメ映画「コマンドーシャーク 地獄の殺人サメ部隊」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(715日目)
「コマンドーシャーク 地獄の殺人サメ部隊」(2018)
サム•クアリアナ監督
◆あらすじ
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核戦争によって文明が崩壊した近未来、新生ソヴィエト軍はドイツ人科学者が生み出した殺人サメ部隊を率い、アメリカへの侵攻を開始。人類の存亡を賭けたジョーズ軍団との最終決戦が今まさに始まろうとしていた。(Amazon.co.jpより引用)
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『文明が崩壊した近未来。ソビエト軍はサメ兵士軍団を作り出し、アメリカへ侵攻を開始。窮地に立たされたアメリカ軍は巨大犬、犬人間、そしてスモールライトを駆使して最終決戦へと臨むのだった!』
という、国家の存亡をかけた男たちの熱き戦い、そしてサメ人間の脅威を描いた異色のZ級奇天烈サメ映画なんですけどもこれは本当に凄かったです!
80分程の作品なんですが、本編の八割以上が必要性を感じないシーンで構成されているため異常なまでにテンポが悪く、これまでに数々のアレな映画を見てきた私でも途中で2回休憩を挟みました。それくらい長く感じましたし、体力を持っていかれました。
生物兵器としてサメの怪物を生み出すという設定や、そのサメ人間がただ被り物をしているだけとか、血がケチャップとか、生首がただのマネキンとか、俳優陣の芝居が酷いとか、そんなのはサメ映画のお約束みたいなものなので私はまったく気にしません。今さらそんなところにツッコミを入れたって何も始まりませんし、そもそもそういうのを求めて見ています。
実際、ストーリー自体はかなり面白いですし、サメ兵士のデザインもチープなところが逆にクリーチャー感というか、歪な感じを醸し出しており個人的にはとても好きでした。サメ兵士役も体格が良い人が担当しているっぽく、サメの被り物プラスで体が大きい(おそらく服の中にクッションとかを詰めています)のでかなり迫力もあります。
サメ兵士たちは自分たちを生み出した悪の科学者•シュローダー博士の言う事しか聞かず、自分の部下(人間)を“その1”、“その2”と呼ぶなど、一般人や他の兵士(人間)に対して常に見下しているような威圧的な態度を取るため大分嫌われています。なもんで部下から「このいじめっ子!」と罵られて逆ギレするなど悪い意味で人間っぽさがかなり残ってます。というか顔がサメになっただけで、中身は人間のままなのかもしれません。
ちなみに今作はFilmarksにおける5段階評価で2.6と決して悪い数字ではなく、なんだったら昨日視聴させてもらった「魔の巣 Manos」(’66)の方が遥かに低評価(1.8)です。
おそらくなんですけども、今作が他のサメ映画に比べてまだあまり知名度が無く、作品として頭一つ抜けることが出来なかった一番の原因はテンポが悪いというところに尽きると思います。
『サメ兵士率いるソビエト軍とアメリカの抵抗軍の戦い。からのアメリカ側の敗北』がしつこいくらいに繰り返されるうえ、その一つ一つが盛り上がるわけでもないので本当に虚無です。良い年したおじさんおばさんがサバゲーをやっているのを傍からただ眺めている感覚に近いかもしれません。また、無駄な会話が非常に多く、集中力が途切れやすくなるためその辺りをスッキリさせたら相当面白くなると思います。
今作の監督を務めたサム•クアリアナ氏は発表作自体は少なめですが、この企画でも視聴させていただいた「スノーシャーク 悪魔のフカヒレ」(’11)の監督•脚本も手掛けており、今作はその「スノーシャーク」に続くサメ映画の第二弾となります。
クアリアナ監督の作品は「年貢のおサメ時」、「高級ヒレンチを味わえ」、「白味は味わいがフカいぞ」等などワードセンスが大変素晴らしく、これからもそんなセンス溢れるZ級サメ映画をたくさん生み出して欲しいなと思っております
今作は現在アマゾンプライムにて100円でレンタルが可能です。
◇核戦争が勃発して文明が崩壊した近未来。ソビエト軍は世界を支配するためにサメのDNAを人間に投与することで凶暴なサメ兵士を生み出す。サメ兵士率いるソビエト軍はアメリカへと侵攻を始め、瞬く間に勢力を拡大。抵抗軍が必死に応戦するも為すすべ無く、敗戦に敗戦を重ねる。しかし、勇敢な青年マーティを筆頭にまだまだアメリカには骨のある奴らが残っていた。懸命に形勢逆転の策を練る中、落ちこぼれ博士のダーマットはとんでもない発明品を隠し持っていた!
という、大まかなあらすじをみる限りはサメ映画としてかなり面白くなりそうなものです。
文明が崩壊したという割には大きな建物がたくさんありますし、テレビやラジオに車もあります。服もみんなちゃんとしたものを着ており、荒廃した世界観みたいなものは微塵もありません。そういうところに愛おしさを感じるわけですが。
サメ兵士率いるソビエト軍に手も足も出ないアメリカ軍は落ちこぼれ博士のダーマットに協力を依頼するも、ダーマットは喋る犬や人型の犬(全身タイツの犬人間)など変な生き物ばかり生み出しており望み薄。そんな中でも勇敢なマーティはサメ兵士相手に必死の抵抗を続け、反撃のチャンスを待ちます。その後、マーティは本部にいる将軍たちにサメ兵士の情報を伝えるも、そんなことは既に知ってるんだよと言わんばかりに「オマエは忌々しいこの世界でも最悪のクソネズミだ」と罵られる始末で、いかにアメリカ軍に余裕が無いのかが伺えます。
そんな折、アメリカ軍のダンテ曹長が捕虜として尋問を受け、ついにはアジトの場所を吐いてしまいます。御丁寧に表札に「TOP SECRET BASE CAMP」と書かれた公民館の会議室アメリカ軍のアジトまでもがソビエト軍の手に落ち、いよいよアメリカは窮地に立たされます。
しかし、このあたりからサメ兵士が無抵抗な市民を襲うようになり、それを知ったロシアのウォルフガング総帥はそんな蛮行は許されない!と激昂し、サメ兵士の生みの親であるシュローダーを問い詰めます。しかし、シュローダーはサメ兵士を率いて自身が世界を支配しようと企んでおり、あろうことかウォルフガングまでをもサメ兵士にしてしまいます。
さらには超巨大サメ•ガルガンチュアシャークまでもがニューヨークに出現して大暴れ。いよいよアメリカ終焉の時が来たかと思ったその時、ダーマット博士がとんでもない秘密兵器の存在を思い出し、いよいよマーティ率いる義勇軍とサメ兵士率いるソビエト軍の最終決戦が始まります。
一進一退の攻防が繰り広げられる中、片付けられない男でお馴染みのダーマット博士が整理整頓のために発明したスモールライトによってガルガンチュアシャークをミニチュア化し、一気に形勢逆転。サメ人間化したウォルフガング総帥の手助けもあり、とうとうシュローダーを倒します。さらには彼の持っていたリモコンのボタンを押したことでサメ兵士も全滅。アメリカ軍の完全勝利で物語は幕を閉じます。
分かりやす過ぎるアメリカ軍のアジト、あまりにも唐突なスモールライト、ボタン一つで全滅するサメ兵士等などおバカなくだりは相当面白く、ラストでダーマット博士の愛犬ブルーノが巨大化しちゃうというのも可愛らしくて良かったです。あと、サメ兵士が運転していた車が横転するシーンのCGが雑過ぎて初代プレステ以下のクオリティになっているのも非常にポイントが高かったです。
テンポ以外はかなり奇天烈で面白かった今作ですが、最後の最後に『卵型の宇宙人が地球を征服しに来る。これからエッグ卿による支配が始まる』みたいな謎のくだりが入り、頭が混乱しました。手作り感満載の卵パックで出来た宇宙船や本物の卵に合成で顔を付け足されたキャラクターたちは可愛いらしいので嫌いじゃないんですけどもすぐには飲み込めませんでした。続編なのか次回作の構想なのか定かではありませんがもしそうなら楽しみに待ちたいと思います。
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