忍者、チャンバラ、アクション好き集まれ!もはやゾンビは添え物だけど格闘シーンに全精力を注いだ珠玉のB級おバカ映画「ニンジャvsミュータントゾンビーズ」【ホラー映画を毎日観るナレーター】(706日目)
「ニンジャvsミュータントゾンビーズ」(2014)
リロイド•リー•バーネット監督
◆あらすじ
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世界大戦争で生き残った4つの忍者一族。ケイジ率いるザ・ロストの5人は、全忍者の最高指揮者・フミタカの招待で平和会議に参加するが、忍者同士の団結を宣言したフミタカがその場で何者かに暗殺されてしまう。濡れ衣を着せられ逃げ出したケイジは、ある恐ろしい真実を知り…。(Filmarksより引用)
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『族長殺しの濡れ衣を着せられた主人公が仲間らと共に地下施設からの脱出、そして真犯人を見つけるべく戦い続ける』という如何にもな内容のB級映画です。
何かと粗が目立つ薄っぺらいストーリー展開なうえに、「ニンジャvsミュータントゾンビーズ」というタイトルを謳っておきながら、その肝心のゾンビの存在は中盤の味変ぐらいのものでしかなく、どのあたりがミュータントなのかも分からない普通のゾンビです。ちなみに原題はNinja Apocalypse(忍者黙示録)なので、これは日本の配給会社が悪いです笑
しかし!
どれだけアクション好きなんだよ!と思わずツッコミを入れたくなるほどに戦闘シーンが多く、そのどれもが異常なまでにクオリティが高いです。体術や武器を使った戦闘はもちろん、身代わりの術や分身の術、火遁の術に超能力、果てはフォースやライトセーバー等などもはやパクりとも思える要素も多々ありますが、それもひっくるめて“これぞB級映画”という感じでめちゃくちゃ面白かったです。
なもんで一番上にも書いてありますが、忍者やチャンバラ、そしてアクション映画が好きな方や私のようなB級映画大好き人間には是非とも見て欲しいです。※間違ってもゾンビ映画だと思って手を出さないようにお気をつけください。でもゾンビが登場するのは事実なのでホラー映画としてカウントさせてもらいます。
監督を務めたリロイド•リー•バーネット氏は「アバター」(’09)や「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ等など数多くのハリウッド映画でVFXを担当しており、今作が長編映画監督デビュー作となります。今作以降は監督として作品を発表することはなく、また今作も2014年の作品なので、もしかしたらもう監督業には戻らないのかもしれません。
様々な映画やアニメ、そして何よりも忍者やアクション映画に対する情熱が感じられると共に、同氏の「俺が撮りたいのはこれだ!」がダイレクトに伝わってくる作品だっただけに別の作品が一作も無いというのは非常に残念でなりません。
ハマる人にはハマる今作は現在DMMTVとU-NEXTにて配信中のほか、アマゾンプライムでは324円からレンタルが可能です。でも無料になったら見るくらいのスタンスで十分だと思います。
◇世界大戦により荒廃した後の世界で生き残った4つの忍者一族。炎を操る南の一族、東の海で生き続ける呪いの一族、広大な砂漠に住む鋭い牙の竜の一族、妖艶さを武器に戦うセイレーン、そしてそのどこにも属さないケイジ率いる破滅の一族。彼らはウロク軍が攻めてくることを危惧した最高指導者フミタカによって召集され、これから来る大きな戦いに向けて協力し合うよう命じられる。しかしその直後にフミタカは何者かによって暗殺されてしまい、あろうことかフミタカ殺しの汚名を着せられ追われる身となったケイジは仲間と共に地下施設からの脱出を図る。そしてこの事件の裏に隠された恐ろしい陰謀を知ることになる…
というのが今作の導入部分です。
基本的にそれ以降の中盤は『他の忍者一族やゾンビと戦ったり、時には逃げたりしながら地下施設を行き来しながら地上を目指す』というのが主な内容で、その後は仲間を失いつつも主人公のケイジと兄のサージが地上に生還し、『フミタカを殺害したのは一体誰なのか』という今作最大の見どころが明らかになるクライマックスに突入するという構成です。
兎にも角にも今作はアクション、戦闘シーンの力の入り具合が異常で、いくらでも見られる素晴らしい出来なんですけども流石にそういったシーンが多過ぎます。作中のほとんどを戦うシーンが占めていると言っても過言ではないです笑
また、炎や電撃、衝撃波などのCGやVFXも低予算映画の割にはかなりレベルが高く、日曜朝の戦隊ヒーローものの番組と同等くらいのクオリティだと思います。このあたりが戦うシーンでバンバンでてくるので相当面白いです。あと、今作は世界観も非常に魅力的でした。荒廃した後の世界だからか、ちょいちょいSFっぽいところもあり、変に忍者らしい和のテイストにこだわり過ぎていないところに好感が持てましたし、見やすかったです。
今作に登場する忍者たちはいわゆる“The忍者”というよりかは修行を積んだ屈強な人たちが動きやすい格好をしているという感じで、これが揃いも揃って日頃からトレーニングを重ね、ガチでアクションや殺陣に精通している俳優をキャスティングしているため、「これが近未来の忍者なのか」と納得させられますし、一切違和感がありません。
この忍者たちが主人公を含め一癖も二癖もあるのが非常に魅力的で、そんな彼らが至る所で戦いを繰り広げるのは相当面白いです。なもんで戦闘シーンばっかりでも全然見れてしまうのが凄いです。
それぞれの一族ごとに特徴があり、若きリーダーのベッカーが率いる南の一族は火遁の術を操り、ケイジたちの前に幾度となく立ち塞がります。そして竜の一族は顔も爬虫類っぽくなっており、暗闇での戦闘を得意とするアサシン(暗殺者)タイプ。セイレーンはなぜか全員同じ女性(分身の術なのかは定かではありません)でその美貌と妖艶さで色仕掛けをする厄介なくノ一タイプ。呪いの一族だけ大した出番が無かったです。
どの一族も個性的で良いなと思うんですけど、なぜかケイジ率いる破滅の一族に関してはなんの特徴もなければ、なぜ他の一族から忌み嫌われているのか等、バックボーンみたいなものがほとんど描かれておりません。一応、主人公のケイジは兄のサージがいるにも関わらず族長に選ばれており、そのわだかまりもあってか割と作中で兄弟喧嘩をするんですけども、その展開が後々活かされるとか、最後の最後にサージがケイジを庇って死亡するとか、そういった熱い展開はこの作品においては皆無です。なんだったらサージは最後にラスボス(後でご紹介します)を後ろから不意打ちしてトドメを刺す姑息っぷりを見せてくれます。
一応、同じ破滅の一族の紅一点であるマールはフォース的な力を使いますし、スカイは地面や壁に触れるだけで周囲の敵の数を把握するというちょい地味な特殊能力を持っています。あとはよくわかんない青い電撃的な能力を使いますが、ケイジとセージは中盤の兄弟喧嘩の時にその能力を使いすぎて以降は使えなくなります。
正直なところ、主人公のケイジは強いんですけど何のドラマ性もバックボーンもないし、断トツで地味なので盛り上がりに欠けてしまうのはあまりよろしくなかったかもです。なんか常に身につけてるペンダントを意味ありげに時たま開けては、浮かび上がるキレイな女性と可愛らしい少女の映像を眺めるんですけども、これが結局誰だったのかも明らかになりません。おそらくは妻と子供だと思うんですけど、これも後々なんか伏線になったりとかはないです。基本的にこの作品は意味ありげなシーンだったり、関係性だったりは一切回収されません。
あと、どちらかというと南の一族のリーダーであるベッカーの方が正義感が強すぎるが故にケイジを疑ってしまったり、最後は助けに来てくれたりと主人公っぽくて人気が出そうなキャラです。
そして!
皆様も気になっていたと思われる本作の真の黒幕はフミタカの腹心であるヒロシでした。
彼はフミタカが前々からケイジの実力を買っており、近いうちに自分を押しのけてナンバー2になることを知り、犯行を計画。変化の術でケイジに化けて、フミタカを暗殺したのです。忍者としての実力も相当なヒロシはBLEACHの人気キャラクターである朽木白哉の卍解“千本桜”のように大量の刀を出現させて飛ばしてきたり、ライトセーバーのようになった刀でケイジと壮絶な戦いを繰り広げますが、先述した通り、最後はセージの背後からの一撃を受けて倒れます。
あと完全に忘れていましたが、今作にはゾンビも登場します。敵の罠により地下100階まで落とされたケイジたちはそこで大量のゾンビに襲われます。『このゾンビは何なのか』とか『どのあたりがミュータントなのか』みたいな説明はありません。何度も言うように今作は基本的に全部投げっぱなしで謎が明らかになるみたいなことはありません。
アクションや戦闘シーン以外にも色々とやろうとした結果、それらがことごとく中途半端になってしまい評価を下げてしまったようにも思います。ポテンシャルは凄まじいものがあるので、何一つ回収しなかった諸々を丁寧に整理していけばもう少し良くなったようにも思います。個人的には爆裂オススメです!
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