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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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2023年8月の記事一覧

ママは眠りを殺す~読書記録324~

ママは眠りを殺す~読書記録324~

ジェームズ・ヤッフェ ママシリーズの4作目。

息子のデイブが警察を辞め、公選弁護士の下で調査員として働くようになってからは3作目。
前回に登場した青年ロジャーはデイブの助手となり、この作品の中で活躍している。

舞台は『マクベス』第三幕第三場、バンクォー暗殺の場面にさしかかっていた。刺客の凶刃に倒れるバンクォー。迫真の演技と思いきや、その役者は本当に刺し殺されていた。大勢の観客の見守る中、大胆不

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灯らない窓~読書記録323~

灯らない窓~読書記録323~

1974年、仁木悦子の書き下ろし長編サスペンス推理小説。

睡眠薬入りのビールをパパに飲ませて、夜中の12時にこっそり出かけて行ったママ。そのママが通り魔殺人の容疑で逮捕された! 秋祭りの太鼓の音色に心ときめかせていた平和な家庭を、不意に襲った恐怖の事件――妻を人殺しにされた苦悶の夫と、無実を信じる幼い兄妹の明晰な推理が、謎また謎をあばく長篇推理小説。

主人公は、小学校6年生の男の子。妹、弟がい

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カラダにいいことをやめてみる~読書記録322~

カラダにいいことをやめてみる~読書記録322~

漢方医の桜井竜生先生の本。

さくらい・りゅうせい 1965年、奈良市生まれ。奈良学園高校を卒業後、国立佐賀医科大学(現・佐賀大学医学部)を卒業。消化器、一般外科を専攻。ケンタッキー州立大学を経て帰国後、北里研究所(現・北里大学)東洋医学総合研究所にて漢方の研究と診療に取り組み、現在女子美術大学非常勤講師。

○○を食べると長生きできる・・・・・・? ××を温めると健康になる・・・・・・?
人は究

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マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)~読書記録321~

マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)~読書記録321~

村上春樹翻訳ライブラリーのスコット・フィッツジェラルド作品である。

表題になっているマイ・ロスト・シティーはエッセイであるが、これを読むと20世紀のアメリカの自由と自己責任、一種独特な空気がわかる。

マイ・ロスト・シティー (村上春樹翻訳ライブラリー)  スコット・フィッツジェラルド

収録作品

フィッツジェラルド体験(村上春樹著)
残り火
氷の宮殿
哀しみの孔雀
失われた三時間
アルコール

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宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読~読書記録320~

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」精読~読書記録320~

宗教学者の鎌田東二先生が読み解く宮沢賢治の世界だ。

鎌田 東二は、日本の哲学者、宗教学者。学位は、博士。京都大学名誉教授。放送大学客員教授、日本臨床宗教師会副会長。 神職の資格を持ち、神道ソングライターとして作曲活動も行っている。

未完の美しい物語「銀河鉄道の夜」は,多くの詩人たちにインパクトを与え,想像力を喚起してきた.宗教学者である著者は,ジョバンニの銀河体験をシャーマンの脱魂体験や宇宙体

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和菓子のアンソロジー~読書記録319~

和菓子のアンソロジー~読書記録319~

読書家としても知られる作家・坂木司が、読みたいテーマを読みたい作家たちに“お願い”して実現した、和菓子モチーフの短編集。

「和菓子」をモチーフに、短編を一作書いていただけませんか?読書家としても知られる『和菓子のアン』の著者・坂木司が、今いちばん読みたい人気作家たちに執筆を依頼。日常の謎を描くミステリーから、壮大な世界観を展開するSF、心温まる優しい怪談まで、さまざまな読み味の作品が揃いました。

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なぜ死ぬのが怖いのか?~読書記録318~

なぜ死ぬのが怖いのか?~読書記録318~

鎌倉にある円覚寺の管長である横田南嶺氏と漢方医の桜井竜生氏の対談集だ。

 禅の老師と漢方の名医が、それぞれの立場から、人間の生、病、死について大いに語り合った一冊。二人とも幼少の頃から、死ぬのが怖くて怖くて仕方なかったという。しかし、その恐怖を克服するために、一人は座禅を組み、禅僧となり、もう一人は医学を学び、外科医の道を歩みはじめる。こうして別々の道を歩んだ二人が、しかし今、ほとんど同じところ

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糖質な彼女~読書記録317~

糖質な彼女~読書記録317~

坂木司リクエスト「和菓子のアンソロジー」の中の一作品である。

「和菓子」をモチーフに、短編を一作書いていただけませんか?読書家としても知られる『和菓子のアン』の著者・坂木司が、今いちばん読みたい人気作家たちに執筆を依頼。日常の謎を描くミステリーから、壮大な世界観を展開するSF、心温まる優しい怪談まで、さまざまな読み味の作品が揃いました。疲れたときに読みたくなる、宝箱のような一冊。
読書家としても

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ママのクリスマス ジェ−ムズ・ヤッフェ~読書記録316~

ママのクリスマス ジェ−ムズ・ヤッフェ~読書記録316~

安楽椅子探偵ママの第3弾。

いかにクリスマスだとはいえ、連日深夜までお祭り騒ぎをしてもよい、ということはないだろう。教会の騒音に悩む老夫婦は困り果て、ラビの勧めに従って、デイヴたちのところへ相談にやってきた。これが謎のダイイング・メッセージとユダヤ人差別を巡る難事件の幕開けだったのだ! 黄金時代を思わせるママの鮮やかな名推理!

主人公のデイヴィッド、その母はユダヤ系アメリカ人である。この作品は

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妹たちのかがり火 戦死した兄さんを悼む~読書記録315~

妹たちのかがり火 戦死した兄さんを悼む~読書記録315~

妹たちのかがり火 戦死した兄さんを悼む 仁木悦子編 昭和47年

仁木悦子さん自身も戦争で兄を亡くしていることから、戦争で兄を失った妹の会「かがり火の会」を1971年11月に結成[1]。仁木の投稿が『朝日新聞』の投稿欄「ひととき」に掲載されたことがきっかけとなった。会誌が47号まで刊行され、文集『妹たちのかがり火』が第4集まで刊行された。「かがり火の会」は2007年3月末に閉じた。

この文集を作

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銀河鉄道の夜~読書記録314~

銀河鉄道の夜~読書記録314~

宮沢賢治の名作中の名作だ。貧しく孤独な少年ジョバンニが、親友カムパネルラと銀河鉄道に乗って美しく哀しい夜空の旅をする、永遠の未完成の傑作である。

確か、小学生、中学生の頃と読んだはずなのに何故か忘れてしまっていたという。ああ、認知症お婆さん。。。

内容はこちらが詳しい。

宮沢賢治は熱心な法華経の信者であるのだが、この話は少しキリスト教をかじった人が書いているような気がした。ところどころに賛美

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ママ、手紙を書く ジェ−ムズ・ヤッフェ~読書記録313~

ママ、手紙を書く ジェ−ムズ・ヤッフェ~読書記録313~

原著は1988年にアメリカで出版された。

1952年、短編集として書かれた安楽椅子探偵のママが場所を変えて活躍する。

ママは何でも知っている ジェイムズ・ヤッフェ

毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。ディナーの席でいつもママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。ママは“簡単な質問”をいくつかするだけで、何週間も警察を悩ませている事件をいともたやすく解決し

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